著者
光本 滋
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.151-162, 2018-03-30

国立大学における生涯学習部門は,理念的には大学開放と大学改革をつなげることを 使命としながら,現実には生涯学習政策を推進するものとして整備されてきた。法人化後,生涯 学習部門の多くは地域連携部門に吸収され,雇用創出や人材育成の面から大学の地域機能を高 めようとする政策の展開に伴い,役割を打ち出すことが困難になっている。このような中で,生 涯学習部門には,原点に立ち返ることにより存在意義を発揮することが期待される。国立大学 生涯学習系センター研究協議会の近年の活動にも同様の問題意識を確認することができる。生 涯学習の視点から大学組織のあり方を探究することは高等継続教育論の課題である。
著者
姉崎 洋一 木村 純 光本 滋 千葉 悦子 浅野 かおる 長澤 成次 町井 輝久 町井 輝久 石山 貴士
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、世紀の時代転換期において、大学が迫られている知識基21盤型社会への主体的対応、さらには研究・教育・社会貢献のありようについての比較調査研究である。とくに、日中韓の東アジアにおいて大学のガバナンス、マネジメントにおいて、どのようなリーダーシップとパートナーシップがとられようとしているかについて、実証的動態分析を行った。今後の方略についての貴重な実践的知見が得られたといえる。
著者
光本 滋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「1968年」の大学改革は、欧米では新しい社会批判の理論や社会運動の生成などとも絡めて旺盛に研究されている。日本でもこの時期、各大学でとりくまれた改革は大学の課題をほぼすべて取り上げており、改革の方向としても優れたものを豊富に含んでいた。にもかかわらず、大学はその成果を継承し発展させることができていない。それはなぜなのか。この問いに答えるために、本研究は、「1968年」を歴史的な参照点とし得ていない、日本の高等教育研究の水準が何によってつくりだされたのかを検証する。そのために、同時代の大学改革の内実を明らかにし、理論・実践の到達点と高等教育論の展開に資する視点および課題を明らかにする。
著者
光本 滋
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.151-162, 2018-03-30

国立大学における生涯学習部門は,理念的には大学開放と大学改革をつなげることを使命としながら,現実には生涯学習政策を推進するものとして整備されてきた。法人化後,生涯学習部門の多くは地域連携部門に吸収され,雇用創出や人材育成の面から大学の地域機能を高めようとする政策の展開に伴い,役割を打ち出すことが困難になっている。このような中で,生涯学習部門には,原点に立ち返ることにより存在意義を発揮することが期待される。国立大学生涯学習系センター研究協議会の近年の活動にも同様の問題意識を確認することができる。生涯学習の視点から大学組織のあり方を探究することは高等継続教育論の課題である。This paper discusses about the current status and issues of the lifelong learningdepartment on national universities in Japan. It is the department's mission to reconcileuniversity extension and university reform. In particular, the organization was establishedfor implementation of the policy to promote lifelong learning. After becoming a cooperation,national universities accelerate reorganization of the department one after another. In manycases, they were absorbed into department of collaboration with local community. Due tothe policy on reorganization, especially organization for education and research, nationaluniversities are forced to use evaluation standards for contributions to increase regionalemployment, placement recruitment rate of new graduates, and community development.As a result, it is very difficult for the lifelong learning department to show the meaning ofexistence. In this situation, the department need to go back to basics to create a favorablesituation. It would be important to develop existing practical exchanges and joint researchactivities among universities that they have cultivated. Moreover, it is an issue for higherand continuing education to explore how to maintain educational organization in connectionwith lifelong learning.
著者
光本 滋
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.455-466, 2007-12

教育基本法(1947年)の下、研究・教育の自由の保障とボトムアップを基礎に築かれてきた戦後日本の大学統治は、その十全な展開を見ることなく、今日、"教育外"からの圧力による構造改革にさらされている。法人化により国公立大学の内部の統治はトップダウン型のマネジメントへと移行し、教授会の権限は縮小した。一方、予算配分の裁量権と評価権を手に入れた政府の統制力は拡大している。ここに、「改正」により教育基本法の法理が歪められたことは、社会貢献を評価の対象とすることによる、いっそうの大学統制へと帰結するおそれがある。設置者毎の判断に委ねられている公立大学の法人化も、行財政水準の低さを克服することにつながらないばかりか、行財政改革の論理が優先される結果となっている。これら大学法人制度の欠陥を克服し、さらに、社会との多様な対話のチャンネルを形成するような制度構想と大学の統治改革が求められている。