著者
クリフォ ジュリアーノ 児玉 寛
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.207-246, 1988-10-07
著者
児玉 寛
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ヴィーコ(1688〜1744)は、『弁論術講義』のなかで「訴訟類について」と題して、推定・定義・属性という3つの争点(status)ごとに、伝統的な修辞学のトポスの応用を例解している。このかぎりではキケローやクインティリアーヌスの弁論術と大差はない。しかし、ヴィーコにおける修辞学と法学との関係は、単純ではない。その結節点は、そのような例解にではなくて、伝統的な修辞学を「個別事情を考慮した自然的衡平の実現」という法学の構想に接合した点にある。ヴィーコにおける法学は、(1)ingeniumによって適切な中名辞を帰納的に発見すること、(2)中名辞による連結をエピケイレーマによって補強すること、(3)中名辞をメタバシスによって重層的に操作すること、を通じて可能となるというのが、本研究の結論である。Ingeniumとは、「遠く離れた相異なっている事物において類似的関係を見る能力」であり、これによって、大命題と小命題を連結する中名辞を見出す。三段論法の推論形式では、キケローと同じく5分肢説によるエピケイレーマが妥当とされ、小前提を補強するための論拠や敷衍が推論の説得力を強めるために導入される。メタバシスでは、論証を三段論法の二つの前提には含まれていない論点へと移行させる手法であり、これによって、大前提の射程が個別事情に応じて制約されて、より妥当な結論に導くことが可能となる。
著者
渡邉 雅一 児玉 寛 長谷川 浩二 伊藤 佳子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.3, pp.221-231, 2007 (Released:2007-09-14)
参考文献数
22

パタノール®点眼液0.1%は,塩酸オロパタジンを有効成分として,抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用を併せ持つアレルギー性結膜炎治療剤である.本剤は結膜肥満細胞からのヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離抑制作用と,選択的かつ強力なヒスタミンH1受容体拮抗作用により痒感,充血などのアレルギー性結膜炎症状を改善させると考えられている.非臨床試験において眼の即時型アレルギーに対する抑制作用,ヒスタミン誘発血管透過性亢進に対する抑制作用,各種化学伝達物質の遊離抑制作用および選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を示した.第III相臨床試験では,対照薬のフマル酸ケトチフェン点眼液に劣らない有効性を示し,安全性において副作用発現率は有意に低かった.長期投与試験では10週間の連続点眼を行ったが副作用は認められず,結膜抗原誘発試験では本剤のアレルギー性結膜炎に対する有効性と効果の持続時間が確認された.本剤は,抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用という2つの作用によりアレルギー性結膜炎症状の改善をもたらし,高い安全性を有することが示された.
著者
児玉 寛
出版者
九州大学法政学会
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.p579-607, 1993-03
著者
児玉 寛希 樋口 秀 中出 文平 松川 寿也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.505-510, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

地方都市では、昨今の財政難や今後の人口減少に伴い、税収が減少に転じている。持続可能なまちづくりを行うためには、税収の確保が求められるが、中心市街地・既成市街地の衰退により、都市全体の固定資産税収を減少させている。本研究では、長岡市・松本市・上田市・高知市を研究対象として、固定資産税収動向を市街地区分別に把握するとともに、どのような市街地指標が固定資産税収に影響するかを検討した。その結果、市街地指標と固定資産税収には関連性が見られ、市街地指標が優位な都市では固定資産税指標が高く、低位にある都市では固定資産税収の減少が大きくなっていることが明らかとなった。固定資産税収を確保するためには、評価額の低下を防ぐ必要があり、中心市街地やその周辺の既成市街地へ開発を誘導することが重要といえる。
著者
川角 由和 中田 邦博 児玉 寛 岡本 詔治 森山 浩江 若林 三奈 松岡 久和 潮見 佳男
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、第一にEU域内市場の拡大・展開を受け、EUレベルで進行する私法の統一化の動きを全体として跡付けてその特質を解明すること、第2に、こうした動きを基礎づける近代ヨーロッパ私法の原理(とくに契約法にみられる原理的共通性)や統一私法典の構想等を分析し、わが国の私法への影響を考察することにある。今回の研究期間内には、とくにこうしたヨーロッパ私法統一の動向そのものの分析と、日本法に対してそれがどのような影響を及ぼすのかを比較法的手法を用いて解明することに重点を置くものとした。この期間内には、本研究の中核メンバーによってヨーロッパ契約法原則の意義を明らかにし、それが日本法にどのような影響を及ぼすかを検討するシンポジウムを、比較法学会において開催した。また、こうした研究作業の基礎資料となる「ヨーロッパ契約法原則」についての翻訳プロジェクトに取り組み、すでに潮見佳男=中田邦博=松岡久和『ヨーロッパ契約法原則I・II』(法律文化社、2006)の刊行を終わり、IIIの刊行を予定している。また、これまでの研究成果を集大成した『ヨーロッパ私法の展開と課題』の刊行が予定している。以上のように、本研究は、さらなる展開を示しつつあるヨーロッパ私法・契約法の全体像を解明するために、さまざまなプロジェクトにおいて深化し、またすぐれた研究成果を挙げている。