- 著者
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前田 健
水谷 哲也
田口 文広
- 出版者
- 獣医疫学会
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.88-93, 2011 (Released:2013-10-08)
最近,新興感染症の原因ウイルスのレゼルボアとして,コウモリが注目されている。コウモリから直接ヒトへの感染による新興感染症の発生は稀であるが,コウモリ由来のウイルスが家畜や他の野生動物に感染し,そこからヒトへの感染が拡大し,致死率の高い感染症となることは,ニパウイルスやヘンドラウイルス感染症,重症急性呼吸器症候群(SARS)の例に見られるように,コウモリ由来ウイルスによる新興感染症の一つのパターンかもしれない。SARSコロナウイルスの起源がコウモリ由来ウイルスの可能性が指摘されてから,コウモリからのコロナウイルス分離に限らず未知のウイルス遣伝子の分離が盛んに行われる様になった。また,遺伝子探索方法も飛躍的に進展し,種々のウイルス遺伝子のコウモリからの分離が報告されるようになった。本稿では,これらのコウモリから分離されたウイルスで新興感染症に関係するウイルスのみならず,新たに分離されたウイルスに付いても言及する。