- 著者
-
八木橋 宏勇
- 出版者
- 杏林医学会
- 雑誌
- 杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.1, pp.43-49, 2018 (Released:2018-03-30)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
1
女性と男性を区別しない社会はない。世界には約5,000もの言語があると推定されているが,女性と男性を区別しない言語もないと考えられる。言語は社会の有り様を映し出す鏡であり,両者は常に相互作用しているからである。長く,生物学的にも,文化的にも,両性は異なる社会的役目を担い分業を営んできた。それは言語にも反映されている。一方で,言語を意識的に変えることで,社会に変革を迫ることも可能だと思われる。本稿は,言語現象に垣間見られる女性と男性の姿を社会言語学の観点から紹介するとともに,医療の現場で女性医師のコミュニケーションスタイルが患者の予後に望ましい影響を与えている可能性を指摘する。