著者
内堀 朝子
出版者
神田外語大学
雑誌
Scientific approaches to language (ISSN:13473026)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.71-83, 2006-03-31

本論では,日本語における主文表現の中から,命令・祈願・感嘆表現を取上げ,それらの統語構造について,基本的な性質を検討する。これらの表現の統語構造には,(i)動詞の形態変化,(ii)モダリティを示す補文標識(iii)モダリティを表わす語彙要素,が見られるが,本論では,これらの表現のうち,「こと」「ように」という共通する形態を文末に伴うものを主に議論する。特に(i)(ii)に関しては,動詞の取りうる形態変化上imperativeと,補文標識によって示されるsubjunctiveの相違,また,(iii)に関しては,補文埋込み構造を有する構造について,考察する。具体的には,これらの表現と,主文現象としての丁寧表現との共起が許されるかどうか,また,これらにおいて,非主文現象および名詞性の指標としての「が・の」交替現象が起こるかどうかについて観察し,これらの表現の統語構造を探る手がかりとする。
著者
内堀 朝子 松岡 和美 南田 政浩 矢野 羽衣子
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.67-88, 2011-12-19 (Released:2012-12-20)
参考文献数
33

Since Japanese Sign Language(JSL) is a human language, as clearly shown by previous studies, it should be possible for JSL to have a hierarchical structure that can be generated as a result of the application of syntactic operations. This paper deals with one such case, i.e. embedding a clause into a verb complement position, and is aimed at developing a solid basis for the syntactic analysis of JSL. In order to confirm that JSL actually has a complement structure, clauses selected by a verb of saying and thinking were compared with direct quotation clauses. The differences examined in this paper concern word order, the possibility of topicalization, and the possibility of WH-question formation. The basic word order of a sentence with a complement clause is SOV, whereas that with a direct quotation is OSV. A sentence with a complement clause allows topicalization and WH-question formation, while one with a direct quotation does not allow either of them. The difference in the grammatical acceptability of topicalization and WH-question formation suggests that a sentence with a complement clause can undergo syntactic operations such as Move (or Internal Merge), Whereas one with a direct quotation clause cannot
著者
内堀 朝子 小林 ゆきの 上田 由紀子 原 大介 今西 祐介
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成29年度は本研究プロジェクト3年間のうち1年目として,文末指さしを含む日本手話文のデータ収集に取り掛かった。特に,研究体制として設定した二つの研究グループのうち,「話題要素担当グループ」によるデータ収集に重点を置き,日本手話母語話者の協力のもと調査を行った。調査では,第一に,文頭に話題化非手指標識を伴う要素と,その要素を指示対象とする文末指さしの両方を含む文が,日本手話母語話者にとって自然であると判断される文脈,つまり,その文が文法的かつ談話上適切であるような文脈を設定した。第二に,それと同じ文脈のもとで文頭の話題化要素を省略し,かつ,その要素を指示対象とする文末指さしが許されるかどうか,日本手話母語話者の内省・直観による判断を調べた。なお,第二のデータは,もう一方の研究グループである「非項/陰在的項担当グループ」の収集対象と合致するものが含まれることとなった。調査の結果,日本手話において以下の二つの可能性があることが確認された。すなわち,①話題化要素が省略される可能性(もしくは,空の話題要素が現われる可能性)があること,および②文末指さしが音声化されていない話題要素を指示対象とする可能性である。したがって,この調査は,「研究の目的」で述べた,本研究プロジェクトの課題のひとつである「問題Ⅰ:話題要素を含む文における文末指さしは,何を指示対象とすることができるのか?」に対する肯定的な回答を与えるものと言える。さらに,この調査は,「研究の目的」で述べた,文末指さしを持つ手話言語の類型に関わる問題に対して,日本手話が,文末指さしが主語を指すアメリカ手話と,話題要素を指すオランダ手話の両方の性格を併せ持つことを示唆するものであった。
著者
松岡 和美 内堀 朝子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

【かな由来の手話表現の音韻的制約】指文字が取り込まれて語彙化する「かな由来」の手話単語では手話の音韻パラメータの1つである「位置」と、利き手の身体部位との接触の有無に関連性があることを明らかにした。その理由に接触や追加の動きが手話単語のsaliency(顕著性)を高めることが考えられることを指摘した(論文採択済み)。【愛媛県大島の地域共有手話の研究】数と時の表現について追加のデータを収集し、ろう者と聴者が手話を共有する地域の歴史的・社会的背景の聞き取り調査を行った。他の共有手話や聴者のジェスチャーも考察に入れた論考をまとめた(論文採択済)。海外の研究で用いられた動画を参照しながら、より文化的に適切な動画を作成し、一致動詞の空間使用を調査した。【日本手話の否定とモダリティ】日本手話の否定表現とモダリティ表現の共起関係の制限を手がかりに、否定は3つ、モダリティは2つの異なる位置に生じていることを明らかにした。その構造的位置は、語彙の形態・意味的な性質と深く結びついている仮説を提案した。【数量詞の適用範囲と空間位置】日本・アメリカ・ニカラグアの聴者のジェスチャー動画を収集し、数量詞を含む文を用いる際に'more is up'の空間的メタファーの使用に関して数量的分析を行った(論文投稿中)。【話題化の非手指標識について】文頭の話題化要素に伴って生じる「眉上げ・うなずき」に加えて、文頭に生じる要素には話題化とは別の非手指動作が伴っている例も観察した。例えば「目細め(ないし視線変化)」であるが,これは従来Referential Shiftの非手指標識とされている。今後の研究でも,これらを含め,非手指標識全般について,複数の標識を厳密に見分けた上で互いの分布(特に共起関係)を記述する必要があることが確かめられた。
著者
中條 清美 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日英パラレルコーパスを利用した英語指導法と教材開発を行い, 指導実践によってそれらの学習効果を検証した。さらに, コーパス検索サイトの開発を推進した。主な研究成果を国際学会(AsiaTEFL国際会議, 台湾教育学会, TaLC, World CALL)および国内学会(JACET, 英語コーパス学会)において報告し, 開発した指導法等の詳細を公刊した。本課題に関する論文を掲載した著書がRodopi(アムステルダム)と松柏社(東京)より出版された。研究代表者は本課題に関連して2008年度英語コーパス学会賞を受賞した。