著者
内島 幸江 栗原 泰子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.95-100, 1977-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15

電子レンジ加熱食品の貯蔵によるでんぷんの老化を検討する目的で米およびさつまいもを加熱後, 6℃ あるいは -20℃ に保存 (解凍は 30℃ ± 2℃) し, α 化度, X 線回折の測定, 官能テストなどを行い, 他の加熱方法と比較した.1) 電子レンジ加熱食品は加熱後水分が蒸散しやすく放置することにより硬くなった.2) 米飯, 団子, さつまいものいずれも貯蔵によってα化度は減少し, 冷蔵に比べ冷凍貯蔵は減少率が小さかった.また電子レンジ加熱の場合は, いずれの食品も従来の加熱方法に比較して α 化度が貯蔵により低下した.3) X 線回折法では, 米飯は冷蔵 4 日では電子レンジ加熱の場合が電気釜加熱よりも回折強度が強かったが, 14 日冷蔵では両者に差がなかった.また冷凍飯の場合はいずれの加熱方法でも結晶構造の復元はみられなかった.さつまいもでは, 冷凍 1 ヵ月で電子レンジ加熱の場合に結晶構造が認められた.4) 官能テストの結果, 総合評価では電子レンジ加熱の解凍飯は, 未保存飯, 24 時間室温放置の冷飯, 電気釜加熱の解凍飯の中でもっとも劣っていた.さつまいもでは天火加熱の評価がいちじるしく高いが, 解凍いもは加熱方法による差がなかった.
著者
酒井 映子 末田 香里 内島 幸江 サカイ エイコ スエダ カオリ ウチジマ ユキエ Eiko SAKAI Kaori SUEDA Yukie UCHIJIMA
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 = Journal of Nagoya Women's University. Home economics・natural science
巻号頁・発行日
vol.40, pp.145-153, 1994-03-05

"中国貴州省吾南部の苗族と布依族の食文化の特徴の一端を栄養的側面から明らかにすることを目的として,日常の食事状況について調査研究を行った.中国における栽培作物の事情は,1980年の「包産到戸」,すなわち農家の個人販売許可によって,食料作物から経済作物へと変化している.このような状況の中で,少数民族である苗族や布依族においても食料事情には変化が生じているものと考えられる.そこで,主として日常の食物摂取状況から両民族間の比較検討を行い,さらに,現状の栄養的問題についても若干の検討を行ったので報告する."
著者
酒井 映子 末田 香里 内島 幸江
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.145-153, 1994-03-05

中国貴州省吾南部の苗族と布依族の食文化の特徴の一端を栄養的側面から明らかにすることを目的として,日常の食事状況について調査研究を行った.中国における栽培作物の事情は,1980年の「包産到戸」,すなわち農家の個人販売許可によって,食料作物から経済作物へと変化している.このような状況の中で,少数民族である苗族や布依族においても食料事情には変化が生じているものと考えられる.そこで,主として日常の食物摂取状況から両民族間の比較検討を行い,さらに,現状の栄養的問題についても若干の検討を行ったので報告する.
著者
"内島 幸江" "ウチジマ ユキエ" Yukie" "UCHIJIMA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.16, pp.59-64, 1970-03-15

"パイ皮の材料に関する検討を行ない,大豆たんぱく粉を添加した,大豆油を用いたパイ皮を試作し,その保存中の成分の変化について研究した結果,次のことが認められた.大豆油を用いたパイ皮へ,大豆たんぱく粉を添加した場合,四種の大豆たんぱく粉のうちでエスサンミートがたんぱく質含量が高く,嗜好的にも好まれ,ミートパイ,ピッツアパイようの食品として利用できた.また大豆たんぱく粉を添加した場合.パイペーストにスープを用いたものが.官能テストの評価が高く,油脂の酸敗度も少なかった.すなわちスープを加えたパイ皮は保存性が高められ,味も良好であり,また大豆たんぱく粉は小麦粉の10%まで添加可能であった.パイ皮のデンプンのα化度においては油脂の添加量が少なく,加水量の多いものほど高かったが保存中の変化はほとんどみられなかった.終りに本研究に御協力いただきました寺沢敏子,中村章子の諸嬢にお礼申し上げます.また試料を提供していただいた豊年製油KK,味の素KK,大日本製糖KKに感謝致します."
著者
内島 幸江 平野 年秋 南 廣子 胡 国文
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.125-135, 1994-03-05

近年,照葉樹林文化論を中心として日本文化の基層を追求する研究が展開されている.最近の比較民族学的研究により,中国西南部(貴州省・雲南省)からヒマラヤ南麓にいたる照葉樹林帯における民族文化の特色と,わが国の伝統的な文化の間には極めて強い共通性と類似性が見られることが明らかにされてきた.すなわち,モチ,茶,大豆発酵食品をはじめとする食文化や,歌垣,各種の民話や稲作を中心とした農耕文化などの日本と共通した特色がみられることが知られるようになった.また,栽培稲の起源地として,このアジア大陸の亜熱帯圏に属する丘陵山岳地帯である「アッサム・雲南」を中心に考えられており,この地域から揚子江流域へと伝播し揚子江に沿って東へ展開した稲作が,江南一帯から東シナ海を渡って日本の北九州に達しだとするのが,日本へのコメ渡来説の中で最も確実性が高いルートの一つと考えられている.この稲の起源地の周辺の雲南・貴州一帯に走る大高原は起伏の激しい山地であり,そこにさまざまな民族が錯綜して居住している.中国ではそれぞれの民族が相互に交渉しつつ中国の歴史を形成してきたのであり,各民族の習俗・習慣も相互に影響を受けながら,種々の要素が複合した文化を育んできたものと考えられる.貴州省では現在少数民族として公認された集団のなかで苗族が最も多く,第2位は布依族が占めている.中国の苗族総人口の約半数が貴州省で生活(368.6万人)し,また全国の布依族のほとんどが貴州省に居住(247.8万人)しており,両民族とも古い歴史を持ち,多くは漢族の南下に伴い,漢族の勢力に圧迫されてこの地に移住してきた民族であり,照葉樹林文化を継承してきた人々である.一般に少数民族のあいだには,東アジアの古層文化が残存していると考えられているが,貴州省についてのこれまでの民族文化に関する報告は東部,中部を主体としており,西南部地域の苗族,布体族の人々の食生活の実態については,いまだ多くの知見は見られない.この貴州省西南部は交通の不便な辺境の地であるが,数年後に完成予定の鉄道敷設や空港建設,大型ダムの建設計画があり,今後これらの急激な開発の影響を受けて自然環境や社会環境が変化し民族の特色が消失する危惧が持たれるところである.なお,中国の経済政策等の変化も注目されるところであり,それに伴って食生活も多元的に変容するものと思われる.そこで現在の食形態を調査し,この地域の苗族および布依族の食文化の特色を明らかにし,今後の食生活の方向を探ることを目的として本研究を行った.本報ではこの地域の苗族,布依族の現在の食生活状況を把握するため現地調査を行い,食文化の諸側面のうち食品の利用状況について比較検討した.