著者
前島 英雄 桂 晃洋 安田 元 木原 利昌
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.16-24, 1982-01-15
被引用文献数
1

本論文では 高集積マイクロコンピュータに適した新しいマイクロプログラム制御方式について述べる.マイクロコンピュータの性能・柔軟性・信頼性を向上するためのマイクロプログラム制御方式として2つの主要な手法を提案する.まず 高い性能及び柔軟性を得るため マクロ命令解読機能をマイクロプログラム・メモリ(μ-ROM)と一体化する構成をとる.このような構成に伴い マクロ命令の解読は命令デコーダといった付加機構を介することなく 直接 μ-ROMのアドレス・デコーダ上で実現する.すなわち マクロ命令からマイクロ命令実行までの応答時間を縮めることで高速性を得る.また 柔軟性に関してはマクロ命令にページ情報を持たせることでμ-ROMを論理的なページに分割し ページ間でのアドレス・パターンに独立性を与える方法で実現できることを示す.次に 高信頼性を得るため マイクロ命令の実行シーケンスの合理性をチェックする.すなわち マイクロ命令中に実行可能な位相を指す位相指示ビットを与え これを基準クロックの位相と比較することで実現する.以上の手法により マクロ命令の解読時間が省略されるとともに 複数の命令セットがμ-ROM の内容だけを変更することで柔軟に対処できる.さらに マイクロ命令の実行レベルでマイクロプログラムの暴走を効果的に検出し得る.
著者
前島 英雄 松本 秀和 大沼 邦彦 喜田 祐三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.208-215, 1980-05-15
被引用文献数
1

本論文では 制御用16ビットマイクロコンピュータに関し 特に制御用として重要な高速演算性能および高信頼性を得るLSIアーキテクチャについて述べる.本マイクロコンピュータは 既存のミニコンピュータと同一の命令体系を維持しながらNチャネルMOSデバイスによって製造する2種のカスタムLSIを基本要素として構成される.LSIの論理方式は コンピュータ・アーキテクチャと同様にプロセッサの処理性能に大きな影響を与えるものである.そこで 高速演算の実現に対し プロセッサ全体の論理構造を命令フェッチ用LSI(IFCU)と命令実行用LSI(RALU)の2つの論理機能に分割するアーキテクチャを採った.また LSI内部では加算回路のキャリ高速伝播方法を提案し マイクロ・サイクル・レベルでの高速化も示す.これによりカスタムLSIが パイプライン制御(命令実行中に次の命令フェッチを並行して行う)機能を備え 300nsのマシン・サイクル時間で動作するための技術を示す.結果として このLSIを用いたマイクロコンピュータは レジスタ・メモリ間加算命令2.3μs ギブソン・ミックス6.8μs の高速性能を達成する.更に 高信頼性の実現に対しては カスタムLSIへRAS機能をオン・チップ化するアーキテクチャを提案する.これによりマイクロコンピュータの部品としてのLSI が単なるデータ処理に止らず 主記憶保護やシステム監視などのエラー検出・処理をも行うことで制御用としての特長を活かし得ることを示す.
著者
西井 修 荒川 文男 石橋 孝一郎 中野 定樹 志村 隆則 鈴木 敬 橘 貢 戸塚 米太郎 津野田 賢伸 内山 邦男 山田 哲也 服部 俊洋 前島 英雄 中川 典夫 成田 進 関 光穂 島崎 靖久 里村 隆一 高須賀 知哉 長谷川 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.23, pp.17-24, 1998-04-24
被引用文献数
6

2命令を同時に実行し、チップサイズが58mm^2のマイクロプロセッサを開発した。0.25ミクロン, 5層配線CMOSプロセスを用い、200MHz動作時の消費電力は1.2Wである。本報告は、チップ概要、低電力のための機構、および高性能化のために行った設計内容について述べる。浮動小数点演算の高性能化のため、1クロックにつき7個の単精度浮動小数点演算を処理可能なグラフィックFPU、およびサポート命令を設けた。このグラフィックFPUは2ステージ構成の4元内積(積和)演算器を有する。該内積演算器のディレイ(シミュレーション値)は3.69nsである。