- 著者
-
前島 英雄
松本 秀和
大沼 邦彦
喜田 祐三
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.3, pp.208-215, 1980-05-15
- 被引用文献数
-
1
本論文では 制御用16ビットマイクロコンピュータに関し 特に制御用として重要な高速演算性能および高信頼性を得るLSIアーキテクチャについて述べる.本マイクロコンピュータは 既存のミニコンピュータと同一の命令体系を維持しながらNチャネルMOSデバイスによって製造する2種のカスタムLSIを基本要素として構成される.LSIの論理方式は コンピュータ・アーキテクチャと同様にプロセッサの処理性能に大きな影響を与えるものである.そこで 高速演算の実現に対し プロセッサ全体の論理構造を命令フェッチ用LSI(IFCU)と命令実行用LSI(RALU)の2つの論理機能に分割するアーキテクチャを採った.また LSI内部では加算回路のキャリ高速伝播方法を提案し マイクロ・サイクル・レベルでの高速化も示す.これによりカスタムLSIが パイプライン制御(命令実行中に次の命令フェッチを並行して行う)機能を備え 300nsのマシン・サイクル時間で動作するための技術を示す.結果として このLSIを用いたマイクロコンピュータは レジスタ・メモリ間加算命令2.3μs ギブソン・ミックス6.8μs の高速性能を達成する.更に 高信頼性の実現に対しては カスタムLSIへRAS機能をオン・チップ化するアーキテクチャを提案する.これによりマイクロコンピュータの部品としてのLSI が単なるデータ処理に止らず 主記憶保護やシステム監視などのエラー検出・処理をも行うことで制御用としての特長を活かし得ることを示す.