著者
大塚 英志 小松 和彦 安井 眞奈美 エルナンデス アルバロ 荒木 浩 劉 建輝
出版者
国際日本文化研究センター・プロジェクト推進室
雑誌
日文研大衆文化研究叢書 全5巻序論集
巻号頁・発行日
2022-03-17

国際日本文化研究センターによる大衆文化研究プロジェクト(人間文化研究機構機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」)の成果として刊行された「日文研大衆文化研究叢書」シリーズ全5巻 [『日本大衆文化史』(KADOKAWA, 2020年9月)、『禍いの大衆文化 : 天災・疫病・怪異』(KADOKAWA, 2021年7月)、『身体の大衆文化 : 描く・着る・歌う』(KADOKAWA, 2021年11月)、『〈キャラクター〉の大衆文化 : 伝承・芸能・世界』(KADOKAWA, 2021年11月)、『戦時下の大衆文化 : 統制・拡張・東アジア』(KADOKAWA, 2022年2月)] の序論を集めたもの
著者
唐 権 劉 建輝 王 紫沁
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.131-172, 2021-03-31

来舶清人とは、清朝の頃に大陸から日本に渡航した中国人の中で、優れた教養を持っている一部の人たちに対する総称である。江戸中期に成立し、戦前まで広く使われていたが、戦後になると廃れてしまい、今や一部の美術史家と古美術愛好者の間でしか通用しなくなっている。しかし、この概念こそ、近世以来の日中文化交流ないし東アジア文化発展の歴史を解くための重要なツールではないか、と我々は考えている。来舶清人の中で名を後世に残した人物は、果たしてどのくらい数えられるか、という素朴な疑問から出発して、基礎データの整理作業に取り組んだ。本稿は、いわばその中間報告である。 本稿は3 つの部分からなっている。すなわち解説、参考文献と一覧表である。解説の部分はカテゴリーとしての来舶清人に注目し、概念としての特質、成立の経緯、日本文芸の世界における位置付け、我々が考えた来舶清人の外延などを説いている。参考文献の部分では、我々は来舶清人に関する日中両国の現存文献と関連の研究に可能な限りアクセスし、文献調査の結果を提示したものである。最後の一覧表は、上記の文献調査に基づいて作成したもので、計355 名の来舶清人に関する基礎データを、一人ひとりにまとめたものである。
著者
劉 建輝 鈴木 貞美 稲賀 繁美 竹村 民郎 上垣外 憲一 劉 岸偉 孫 江
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

中国の東北部、つまり旧「満州」は日本の近代史においてきわめて重要な場所である。なぜならば、日清戦争はさることながら、その後の日露戦争、日中戦争、さらに日米戦争に至るまで、いわば日本の運命を決めた戦争という戦争は、究極のところ、全部この地域の権益をめぐって起こされたものであり、ある意味において、日本の近代はまさに「満州」を中心に展開されたとさえ認識できるからである。しかし、近代日本の進路を大きく左右したこの旧「満州」について、これまではけっして十分に研究したとは言い難い。むろん、旧「満州」、とりわけ「満鉄」に関する歴史学的なアプローチに長い蓄積があり、多くの課題においてかなりの成果を挙げている。だが、よく調べてみれば、そのほとんどがいずれも政治、経済、あるいは軍事史に偏っており、いわゆる当時の人々の精神活動、あるいは行動原理に深く影響を与えた社会や文化などについての考察が意外にも少数しか存在していない。本研究は、いわば従来あまり重視されなかった旧「満州」の社会や文化などの諸問題を取り上げ、関連史実等の追跡を行う一方、とりわけその成立と展開に大きく関わっていた「在満日本人」の活動を中心に、できるかぎりその全体像を整理、解明しようとした。そして三年間の研究を通して、主に以下のような成果を得ることができた。1.これまで重視されなかった旧「満州」の社会や文化などの問題について比較的総合かつ多角的に追及し、多く史実(都市空間、公娼制度、秘密結社、文芸活動など)を解明した。2.海外共同研究者の協力を得て、多くの史料、とりわけいわゆる在満日本人の発行した各分野の現地雑誌を発掘し、その一部(「満州浪曼」、「芸文」)を復刻、またはその関連作業に取り組み始めた。3.従来、難しかった現地研究者との交流を実現させ、三回の国際研究集会を通じて、多くの中国や韓国研究者とさまざまな問題について意見を交換した。以上のように、この三年間は、現地調査などを通して、多くの貴重な史料を入手したばかりでなく、現地研究者との間に比較的親密な協力関係も築いたため、今後もこれらの成果を生かすことにより、一層の研究上の進展が得られるだろうと思われる。