著者
劉 怡伶
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.153, pp.81-95, 2012 (Released:2017-02-17)
参考文献数
22

本稿では,日本語における動作主認識の副詞的成分の特徴を考察した。考察の結果,動作主認識の副詞的成分は先行研究の指摘のように,動作主が動作の実現中に持った感情・感覚を表すものであるということのほか,次の三つの特徴を持っていることが明らかになった。1)動作主認識の副詞的成分は動詞の表す語彙的意味の層で機能するものである,2)動作主認識の副詞的成分の表す感情・感覚は動作主の制御可能な動作によって生起するもののため,動作の結果でもある,3)動作主認識の副詞的成分の表す感情・感覚はある程度制御可能なものである,ということである。 また,本稿ではコーパスにおける使用実態も調査したが,〈快〉の感情・感覚を表す形容詞連用形が動作主認識の副詞的成分として用いられやすいことが判明した。その理由として語用論的理由によることを説明した。
著者
尾高 煌之助 劉 怡伶
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.133-142, 1999-04

戦前期台湾の工産統計に付随して集計された工員統計は,工場に働く工員のほかに家内工業の工員と副業者を包含するとの解釈にたち,これに工場統計から得らる職員,技術員,その他の従業員の数値を加えて,工業の全雇用統計(推定)とする.これに鉱業と公益業との雇用を加え,戦後の雇用センサスの該当数値と連結すれば,第二次産業の雇用動向が明らかになる.これと同産業の実質付加価値生産高とを組合わせて,平均実質労働生産性の変動を観察する.
著者
尾高 煌之助 劉 怡伶
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.133-142, 1999-04

戦前期台湾の工産統計に付随して集計された工員統計は,工場に働く工員のほかに家内工業の工員と副業者を包含するとの解釈にたち,これに工場統計から得らる職員,技術員,その他の従業員の数値を加えて,工業の全雇用統計(推定)とする.これに鉱業と公益業との雇用を加え,戦後の雇用センサスの該当数値と連結すれば,第二次産業の雇用動向が明らかになる.これと同産業の実質付加価値生産高とを組合わせて,平均実質労働生産性の変動を観察する.A new manufacturing employment series of manufacturing employment in pre-WWII Taiwan has been estimated from annual surveys of industrial outputs. The authors claim that the differences between this new series and those reported by factory statistics constitute (1) workers in cottage industries and (2) those economically dependent and yet partially engaged in manufacturing. The series has then been merged with the numbers of office and other employees in manufacturing and of mining and utility workers, to from employment statistics in the "secondary" sector for 1929-66. Average real value-added labor productivity in the said sector has been computed by combining the series with the corresponding, earlier-estimated value added figures.
著者
劉 怡伶
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
世界の日本語教育 (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
no.19, pp.17-31, 2009

本稿は、複合助詞「にしたがって」と「につれて」の意味・用法を明らかにすることを目的とするものである。先行研究においてこの2語の区別は必ずしも明らかにされてはいないが、本稿では、2語を考察した結果、「にしたがって」と「につれて」は次のように記述することができることが明らかになった。 (1) 2 語は同様に〈漸進的な事態間の連動〉を表す用法がある。但し、この場合の「にしたがって」は、二つの事態の連動関係を必然的なものとしているという話し手の認識・認知を含意している。一方、「につれて」はこのような含意がない。 (2)「にしたがって」は「につれて」と異なり、〈規範的な連動〉を表す用法がある。 (3)「につれて」は「にしたがって」と異なり、〈受動的な連動〉を表す用法がある。 この結果に基づき、「にしたがって」の基本的意味は〈必然的な連動〉を表すもの、「につれて」の基本的意味は〈個別的な連動〉を表すものであることを明らかにした。また、このように記述することにより、2 語の類似点と相違点、先行研究で説明されていない問題により一般性のある説明が与えられることを示した。