著者
山本 耕司 角谷 直哉 山本 敦史 鶴保 謙四郎 森 義明
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.137-144, 2005-03-25 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
5 6

大阪市では2000年3月から全域で高度浄水処理水が給水されている。高度処理水をやかん, 電気ポットで加熱, 沸騰させたときのトリハロメタン, 全有機ハロゲン (TOX) の減少経過について検討した。トリハロメタンについては, これまでの水道水にみられた沸騰直前の急激な濃度上昇は見られず, 加熱に伴って減少し, 煮沸1分で消失した。蛇口水でのTOXに占めるTHMの割合は32%であった。TOXの加熱・煮沸に伴う減少経過から, TOXは揮発性と不揮発性のハロゲン化合物から構成されていた。高度処理水のTOXはやかんで沸騰時に17%, 電気ポットで40%しか減少されなかった。
著者
田上 幸治 松井 潔 島 貴史 山本 敦子 林 拓也
出版者
日本小児科学会
雑誌
日本小児科学会雑誌 (ISSN:00016543)
巻号頁・発行日
vol.115, no.9, pp.1456-1460, 2011-09-01
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
山本 敦也 菅野 貴久 町田 善康 中束 明佳 鈴木 雅也 田中 智一朗 金岩 稔
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.125-131, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

北海道美幌町内の小河川において越冬中の外来種ウチダザリガニ抱卵個体を選択的に捕獲することにより,より高い駆除効果を得ることを目的とし,ウチダザリガニの抱卵個体に電波発信器を装着して放流し,越冬中に再捕獲することによって越冬環境について調査を行った.同時に,ドローンに電波受信器を搭載して河道上空を飛行させることにより電波発信源をある程度特定し,その後指向性アンテナを用いて詳細な電波発信位置を特定する方法の開発も行った.2017 年 10 月に 3 個体に電波発信器を装着して放流し,同年 12 月にドローンと八木式アンテナを用いて 3 個体全ての越冬場所を特定,回収した.抱卵個体は河岸より 1-2 m,表土から 60-90 cm の地点の蛇行区間の内側の土中で発見され,越冬環境は蛇行区間の内側といった高水敷全体に広がるものと思われた.そのため,越冬中の抱卵個体の選択的な捕獲は現実的に不可能と思われた.一方で,ドローンと八木式アンテナを用いた電波発信源の特定方法は土中かつ水中でも有効であることが示され,今後の応用が期待される.
著者
山本 敦史 高岸 憲二 岡邨 興一 設楽 仁 山口 蔵人 一ノ瀬 剛 小林 勉 大沢 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.471-474, 2010 (Released:2010-09-03)
参考文献数
9
被引用文献数
6

The purpose of this study was to investigate the influence of the variance of posture on shoulder pain and rotator cuff tears. A medical checkup was conducted for the residents of a mountain village in Gunma prefecture. The subjects consisted of 525 people including 1050 shoulders; 193 males including 386 shoulders and 332 females including 664 shoulders, with a mean age of 61.9 years old. We took their side view picture in a standing position, and divided them into 5 types according to the classification of Nakatani; normal (type 1), thoracic kyphosis (type 2), lumbar kyphosis (type 3), flat back (type 4), lumbar lordosis (type 5). We examined their background factors, physical examinations and ultrasonographic diagnosis of rotator cuff tear on both shoulders. We elucidated the prevalence of shoulder pain and rotator cuff tears with respect to each variance of posture. Additionally the subjects were divided into 2 groups; namely a Normal group (type 1), and a postural abnormality group (type 2-5). The differences between the 2 groups were evaluated.The normal type was present in 50.1%, thoracic kyphosis type in 24.6%, lumbar kyphosis type in 4.2%, flat back type in 6.7%, and lumbar lordosis type in 14.5%. Residents having shoulder pain frequently demonstrated thoracic kyphosis, flat back and lumbar lordosis. In addition, residents having rotator cuff tears frequently demonstrated thoracic kyphosis and lumbar kyphosis. The postural abnormality group was most commonly associated with elderly patients, who showed a decreased active forward elevation, a weaker external rotation strength, a positive finding for impingement sign and a decreased QOL. A logistic regression analysis revealed age, gender, present shoulder pain, an active forward elevation and EuroQOL (5 item) to all be significantly associated with an abnormality in the posture of these subjects.
著者
阿部 廣二 山本 敦 古山 宣洋
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.27-30, 2018-07-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
8

往復の旅程において,往路よりも復路のほうが短いと感じる,リターントリップエフェクトと呼ばれる現象がある.本稿では,まずリターントリップエフェクトの発生メカニズムについて,先行研究のレビューを行った.その後,先行研究の問題点を指摘した上で,生態心理学を理論仮説として,リターントリップエフェクトの生成メカニズムを理論的に検討した.その結果,1)往路と復路において同一対象であっても知覚される面が異なる可能性があること,2)表面/裏面のどちらからでも同一対象であることが特定できる付着対象であるランドマークの探索が失敗したとき,”もうここか/まだここか”といった経験をする可能性があること,3)視角の制約や環境内の対象によってもたらされるランドマークの遮蔽のタイミングが,往路と復路で違う可能性があり,復路において早期の段階でスタート付近のランドマークが知覚されたとき”もうここか”といった経験をする可能性があることが示唆された.最後に今後の実証研究の方向性として定性的分析,および実験研究の可能性が示された.
著者
濱野 哲敬 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 佐々木 毅志 高岸 憲二 角田 陽平 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.810-814, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

腱板修復術後の筋萎縮・脂肪浸潤の変化について検討を行った過去の報告は,腱板修復術の手術操作そのものによる影響を考慮しておらず正確な評価がなされていない.本研究の目的は腱板修復術により腱板構成筋群の筋萎縮,脂肪浸潤が改善しうるか,術後早期と術後1年のMRIを用いて検討することである.2010年4月から2012年3月の間に肩腱板断裂の診断にて鏡視下腱板修復術を行った52例52肩を対象とした.筋萎縮の評価はThomazeauらの方法に準じて,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋のOccupation ratioを計測し,脂肪浸潤の程度は同じスライスでGoutallier分類に準じて評価した.修復術後2週と1年でのそれぞれの評価を比較検討すると,筋萎縮は棘上筋のみで有意に改善し,この変化は中断裂以下で認められ,脂肪浸潤は棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の全てで有意に改善し,この変化は大・広範囲断裂例で認められた.
著者
山本 敦子 橋本 健志 森本 優香 加藤 正樹 木下 利彦 四本 かやの
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.213-221, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,地域で生活する統合失調症患者の社交不安症状に対する作業療法の効果を検討することである.ケースシリーズ研究で,3症例に対する6ヵ月間の作業療法介入前後の社交不安障害尺度得点,陽性・陰性症状評価尺度得点,日常生活場面での対人交流の状態を比較した.結果,6ヵ月間の作業療法介入によって,統合失調症患者の社交不安症状に改善がみられ,対象者全員に精神症状の改善も認められた.社交不安症状が中等度の患者は,重度の患者と比較し,より大きな改善がみられた.作業療法介入が,統合失調症患者の社交不安症状の改善に寄与できる可能性が示唆された.
著者
加藤 敏文 井上 嘉則 上茶谷 若 齊藤 満 加賀谷 重浩 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.335-340, 2012-04-05
参考文献数
21
被引用文献数
5

固相抽出剤形状の多様化を目的として,逆相/陰イオン交換複合モード型ポリマー系吸着剤をポリエチレン粉末で焼結した多孔質円柱状の固相抽出剤を調製し,固相抽出特性を評価した.作製した焼結型固相抽出剤はモノリス様の連続孔を有しており,高流速下でも被検化合物を定量的に抽出可能であった.中性,塩基性及び酸性薬物を用いて抽出特性を調べたところ,中性及び塩基性薬物は疎水性相互作用により明確に保持され,メタノールで定量的に回収された.酸性薬物は疎水性相互作用と陰イオン交換相互作用が加味された複合相互作用により保持され,ギ酸添加メタノールで定量的に回収可能であった.焼結用樹脂の<ruby><rb>撥</rb><rp>(</rp><rt>はっ</rt><rp>)</rp></ruby>水性によるイオン交換相互作用の低下が懸念されたが,その影響はほとんどなく明確なイオン交換相互作用を発現した.本検討で用いた焼結法は円柱状だけでなく多彩な形状の固相抽出剤を作製可能であるため,固相抽出剤の多様化手法として有用である.
著者
山本 敦 牧野 遼作
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 100回 (2024/02) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.90-94, 2024-02-20 (Released:2024-02-20)

「非典型的相互行為atypical interaction」とは、会話分析を主な分析手法としてコミュニケーション障害の相互行為的側面に着目した研究を行う比較的新しい学際的領域である。本発表では、非典型的相互行為者("障害を呈する"相互行為参与者)について従来の"能力が損なわれている不完全な典型者"という見方から、"限定された能力を駆使して相互行為状況に適応しようとする非典型者"、さらには"典型者とは異なる形の能力を持つ非典型者"という見方が提示されてきた流れを概観する。そのうえで、この流れを推し進め非典型者の"コミュニケーション能力の特有性"を分析していく際には、会話分析の手法には理論上の限界があるだけでなく、誤った知見を体系的に生み出してしまう危険がある可能性を指摘し、その問題の解決策についても論じたい。
著者
上田 凌大 今井 啓輔 山田 丈弘 猪奥 徹也 長 正訓 崔 聡 徳田 直輝 山本 敦史 加藤 拓真
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.303-309, 2023 (Released:2023-07-25)
参考文献数
21

【背景および目的】中大脳動脈水平部開存型の内頸動脈閉塞症(ICOPM)に対する急性期血行再建術(EVT)の成績と転帰関連因子を明らかにする.【方法】2014年5月から2021年7月にEVTを実施した511例中,ICOPM例を対象とし,背景因子と時間指標,治療内容,手術成績を検討した.対象を転帰良好群(3カ月後mRS 0–2:G群)と転帰不良群(同3–6:P群)に分類し,比較した.【結果】対象は36例で年齢85歳,NIHSS 17.5点,発症–来院時間200分,穿刺–再開通時間(P2R)84.5分(中央値),術中血栓移動9例,有効再開通32例であった.G群は13例でP群と比較しP2Rが短かった.【結論】EVTを受けたICOPM例は36例で,有効再開通32例,転帰良好13例と成績不良ではなかった.転帰良好例ではP2Rが短かったが,ICOPMは複雑な病態であり,P2R短縮が転帰改善に直結するとはいえない.
著者
上田 凌大 今井 啓輔 山本 敦史 猪奥 徹也 角谷 昌俊 濱中 正嗣
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.624-629, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
19

症例は57歳男性.1型糖尿病と気管支喘息,副鼻腔炎の既往あり.上気道炎罹患後,急速進行性の手袋靴下型の感覚障害と左右非対称性の運動障害を生じた.血液検査で好酸球増多,神経伝導検査で多発性単神経障害をみとめた.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis,以下EGPAと略記)とGuillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome,以下GBSと略記)を疑い,免疫グロブリン大量静注療法とステロイドパルスを実施するも奏効せず,腓腹神経生検による血管炎の病理診断後にシクロホスファミドパルス療法を追加すると,症状は改善し血中の好酸球数も正常化した.GBS様の急性経過をとるEGPAでは早期の神経生検による診断と適切な免疫療法の選択が重要である.
著者
友野 貴之 山本 敦 古山 宣洋 三嶋 博之
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.386-399, 2020-09-01 (Released:2020-09-15)
参考文献数
79

This paper reviews the research on how one passes through an aperture between non-human objects or between humans. In particular, we discuss what it has so far elucidated and what should be investigated in the future. The previous studies have focused on aperture passability between non-human physical objects and revealed the relationship between how people actually pass through an aperture and how they perceive themselves in relation to environmental characteristics by looking at how people judge passability of an aperture (often formalized as π-number). Most researchers have attended to the factors associated with an actor passing an aperture and/or non-human objects constituting an aperture, but few have examined how one passes an aperture comprised of humans. This may be because it is difficult to experimentally control underlying factors such as conversations and/or physical/social interactions between humans, symmetry of an aperture due to different shapes of the human body, anisotropic shape of personal space, eye gaze, and/or eye contact. Despite these difficulties, we consider it important to study how people pass an aperture between humans, because, first and foremost, that is what we do in everyday life, and, secondly, the outcome will illuminate how people consider socio-cultural factors, personal space,opportunities of actions (i.e., affordances) by ourselves and others. Possible solutions to the difficulties may include use of virtual reality technologies, computer simulation to control the experimental settings to guarantee reproducibility. There are the pros and cons with these methods to discuss, because, depending on how they are employed, they may possibly spoil the very social and interactive (improvisational) nature of the phenomenon under discussion.
著者
猪奥 徹也 井上 岳司 九鬼 一郎 今井 啓輔 山本 敦史 長 正訓
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.123-129, 2022 (Released:2022-02-19)
参考文献数
30
被引用文献数
1

16歳男性.発熱,群発型けいれん重積で救急搬送,febrile infection-related epilepsy syndrome(FIRES)と診断した.発作と多発する合併症の管理に苦慮した.超難治てんかん重積状態(super-refractory status epilepticus,以下SRSEと略記)に対し,他の抗けいれん薬とともにケタミン持続静注,デキサメタゾン髄腔内投与を追加した.第170病日に人工呼吸器から離脱,月単位の焦点運動発作と中等度の運動障害を残したが自宅生活が可能となった.SRSEが遷延するFIRESにおいて,より積極的な治療の追加も選択肢となりうる.
著者
山本 敦久
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.119-128,139, 2001-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

本稿は、キックボクサーたちの試合に備えた禁欲的な生活や厳しいトレーニングによる身体の磨き上げのプロセスに注目し、なぜ彼らが身体的危険や苦痛が伴うにもかかわらず「闘い続ける」のかを、フィールドワークをもとにしながら分析した。第1に、試合前2週間の減量や欲望の抑制に注目し、ジムの選手たちの相互監視によって、身体が自己規律化されるプロセスに注目した。第2に、キックボクサーの禁欲的な生活実践と、彼らが生きている社会的コンテクストとの結びつきを分析した。第3に、それらをふまえた上で、なぜ彼らは「格闘し続けるのか」を分析した。その結果、彼らが生きてきた (生きている) 社会的な条件のもとで繰り返される欠如 (「ハングリーの場所」) の体験を刻み込んだ身体図式が、試合に備えて減量や欲望の抑制によって欠乏感を駆り立てる身体図式のパターンときわめて一致することが明らかとなった。そして、試合前の減量の体験や欲望の抑制による禁欲的な生活実践を繰り返していくうちに、そこから生みだされる欠乏感を格闘に向けていくことなしには、自分のアイデンティティを保てないほど、彼らは格闘を欲していくことになるのである。
著者
山本 敦司 米田 渥 波多野 連平 浅田 三津男
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.37-42, 1996-02-20
被引用文献数
1

静岡県榛原郡の日本曹達(株)榛原農業研究所内の柑橘園から採集し, ヘキシチアゾクスで抵抗性および感受性への淘汰を繰り返したヘキシチアゾクス抵抗性および感受性ミカンハダニ(Panonychus citri MCGREGOR)を実験室内で混合することにより, 抵抗性の安定性を調査した.感受性と抵抗性を50 : 50および30 : 70で混合した集団では, 第1世代ですみやかに感受性復元が認められたが, 10 : 90および2 : 98で混合した集団では第12世代でも感受性復元は不十分であった.次に, ヘキシチアゾクスを7年間に19回連続処理し抵抗性発達が認められた柑橘園において, 調査樹6本に寄生するミカンハダニのヘキシチアゾクスに対する感受性変化と個体数変動を調査した.その結果, いずれの樹においてもヘキシチアゾクスの使用を中止した後33か月の間に感受性が徐々に復元した.またミカンハダニ雌成虫の個体数変動は, ヘキシチアゾクスの使用中止前と直後では樹ごとに異なったが, 使用中止約1か月後からは樹間で同調する傾向にあった.圃場における感受性復元の原因は, 感受性個体群の柑橘園内での残存と他園からの移入, 不完全劣性であるヘキシチアゾクス抵抗性の遺伝, および抵抗性個体の繁殖能力の低下であると推察された.
著者
片平 浩孝 山本 敦也 増渕 隆仁 今津 雄一郎 山口 泰代 渡邊 典浩 金岩 稔
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.191-195, 2019

<p>アユ冷水病の蔓延を防ぐためには遊漁者の協力が不可欠であるが,現場でどの程度理解を得られているのか未だ把握されていない。そこで本稿では,三重県内のアユ釣り大会開催に際し集積されてきた意識調査を報告する。2015年から2018年にかけて集められた総回答数598件(回答者343名)のうち,冷水病への対策を講じているとの回答は393件(65.7%),対策なしとの回答が135件(22.6%)であった。調査期間内で追跡できた回答者のうち,22名で対策を講じる意識改善が見られたが,反対に20名が対策をやめるか不明となる変化も見られた。これらの結果は,冷水病への当事者意識は未だ十分ではなく,さらなる普及啓発が必要であることを示唆している。</p>