著者
勅使河原 三保子 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.291, pp.39-44, 2005-09-09
被引用文献数
1

本研究では日本のアニメにおける善玉と悪玉の音声の比較を行った.不快感情を表すことが多い悪玉の声は, 不快感情が持つ音声的特徴を反映するという仮説が立てられ, Laverの声質記述の枠組みを用いた受聴による分析により, 悪玉の声には咽頭部分の狭めまたは拡張が聴覚的に認められた.咽頭部分の狭めやそれに伴う調音的特徴は, 不快感情を表す音声に予測された特徴であった.日本語母語話者を対象とした聴取実験において, 咽頭部分の形状について対比させた刺激音を用い, 咽頭部分の形状が人物の印象(外見, 性格, 感情)を左右することが確認された.
著者
金水 敏 定延 利之 渋谷 勝己 山口 治彦 鄭 惠先 松井 智子 山口 治彦 定延 利之 鄭 惠先 勅使河原 三保子 渋谷 勝己 松井 智子 吉村 和真 岡崎 智子 菅 さやか
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

役割語とは、一定のキャラクタと対応関係を持つ話し方(語彙、語法、音声的特徴等)のヴァリエーションのことである。本研究では、1)役割語の理論的基盤、2)幼児の役割語獲得のプロセス、3)個別の役割語についての記述的研究と歴史的起源の探求、4)日本語と外国語との対照研究、5)教育への応用、という5つの問題について、検討してきた。その結果、社会的属性が役割語の中核となること、役割語の知識が5歳までに獲得されること等を明らかにした。
著者
勅使河原 三保子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.60-76, 2004-04-30

日本のアニメーションにおける善玉と悪玉の声は日本文化における良い人物,悪い人物の声のステレオタイプを反映すると考えられる。本研究では日本のアニメにおける善玉と悪玉の音声の比較を行った。不快感情を表すことが多い悪玉の声は,不快感情が持つ音声的特徴を反映するという仮説が立てられ,Laverの声質記述の枠組みを用いた受聴による分析により,悪役の声には咽頭部分の狭窄または拡張が聴覚的に認められた。咽頭部分の狭窄やそれに伴う調音的特徴は,不快感情を表す音声に予測された特徴であった。日本語母語話者を対象とした知覚実験において,咽頭部分の形状について対比させた刺激音を用い,咽頭部分の形状が人物の印象(外見,性格,感情)を左右することが確認された。咽頭の狭窄または拡張を伴う話者は不快感情を抱いているという評価を受けた。自由記述による感情のラベルも分析され,感情と声質の対応関係が考察された。