著者
勝山 正則
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-5, 2020-01-05 (Released:2020-02-06)
参考文献数
3

森林流域に形成された湿地における水文生物地球化学的過程について検討した論文「勝山正則, 伊藤雅之, 大手信人, 谷誠 (2018) 森林流域に存在する渓畔湿地内の水文生物地球化学的過程とその表流水質に与える影響, 水文・水資源学会誌, 31, 178-189. DOI: 10.3178/jjshwr.31.178.」に2019年水文・水資源学会論文賞が与えられた.本稿は当該論文の背景や経緯とその後を記述するものである.
著者
田中 洋太郎 勝山 正則 長野 龍平 鷹木 香菜 谷 誠
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

滋賀県南部の桐生試験地において、鉛直及び横方向の地中水移動過程における溶存有機態炭素の動態解明を目的に、土壌水、地下水、渓流水を採取し、三次元蛍光分析を行った。検出されたピークは、難分解性フルボ酸様物質(A)、易分解性フルボ酸様物質(C)、変質性フルボ酸様物質(M)、アミノ酸様物質(T)であった(Wu et al., 2009)。土壌水のフルボ酸様物質の蛍光強度は表層0-20cmの鉛直浸透過程で分解・吸着によって急低下した。下層では蛍光強度が表層に比べ緩やかに低下するとともに、ピークM,Tが複数回確認された。地下水帯表層でも強度の低下が継続した。しかし、地下水帯下層では再び蛍光強度が上昇し、ピークC,Mが下層土壌層 と同程度の強度になった。Katsuyama et al. (2005)は、地下水帯下層が斜面部で基岩に浸透した地下水によって涵養されることを示したが、本結果はこの水が土層の蛍光特性を保持したまま移動することを示唆する。飽和帯地下水帯での横方向移動から渓流流出に至る過程では蛍光強度の変動は小さかった。以上から、DOC蛍光特性は地下水帯に至るまでに概ね決まるとともに、渓流へのDOC供給源を考える場合、地下水帯の層位に着目した質の評価が必要である。
著者
青木 康真 勝山 正則
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>山地流域において基岩層に浸透する降水の割合が比較的高いことが近年研究によって明らかになっている一方で、これらの流出過程はまだ明らかになっていない。本研究では降雨の強度や継続時間に対する応答を明らかにするために滋賀県大津市の桐生試験地において赤外線サーモグラフィを設置し、基岩浸出水の定点観測を行った。2018年9月29,30日において、総雨量40mmの降雨開始30分後に浸出水と周囲の温度差が大きくなる現象が観測された。またその面積は降雨規模が大きい時間帯では広がりをみせることがあり、降雨に対して浸出水が比較的早い応答をしていることが示された。また同ポイントの付近の斜面土層内において、地中の温度変化として飽和側方流の発生が観測された。この飽和側方流の出現は同じく総雨量40mmの降雨イベントに対して降雨開始から20時間ほど時間遅れがあり、20時間ほど観測された後消えた。赤外線サーモグラフィは浸出水の面的な縮小拡大を明らかにする方法として有用である。また、時間・空間分解能の高いデータを得ることで基岩浸出水だけでなく飽和側方流など土壌層中の水の動きを検出できる可能性がある。</p>
著者
小杉 賢一朗 水山 高久 里深 好文 堤 大三 宮田 秀介 勝山 正則 佐山 敬洋 藤本 将光
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

土石流に対するハード対策・ソフト対策を的確かつ効率よく実施する為に,豪雨に伴う表層崩壊の発生と崩土の土石流化のメカニズムを解明し,予測手法を開発した。表層崩壊については,地形のみでは発生メカニズムを十分に説明できず,基岩内部の地下水流動を把握する必要があることが明らかとなり,電気探査や空中電磁探査に基づく予測手法が提示された。さらに,基岩からの湧水が土石流の規模を増大させる可能性があることが確かめられた。