著者
平田 栄一朗 針貝 真理子 寺尾 恵仁 北川 千香子 三宅 舞
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

最近の欧米の政治思想研究は「根拠なき見せかけ」や「擬制」などの演劇的な特徴、すなわち「シアトロクラシー」の側面をデモクラシーの特性の一つとして検討している。この特性は、従来の政治思想研究において否定的に評価されていたが、最近の政治研究は、演劇的な特徴の良し悪しを多角度から再検証することで、LGBTや移民などを取り込む開かれた民主主義の発展の可能性を議論している。本研究は国内の演劇学・芸術学の研究者に加え、政治学者や海外の研究者も交えた研究会・講演会を通じて、最近のヨーロッパの演劇学が独自に発展させてきた政治-演劇論の意義を検証し、それらの論から民主主義の発展の可能性に寄与する考え方を導き出す。
著者
溝井 裕一 細川 裕史 齊藤 公輔 浜本 隆志 森 貴史 北川 千香子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、ナチスによる集合的記憶の乱用の問題について調査を実施した。その結果、ナチスが過去の「アーリア人の遺産」に由来する要素を、建築、祝祭、演説などに織り込み、これによってドイツ人のアイデンティティを変化させ、彼らに人種主義的かつ優生学的な思想を植え付けようとしたことが明らかとなった。ナチスが実施した絶滅動物の復元も、「過去の想起」に関連するものであった。我々はまた、戦後の大衆文化における「集合的記憶におけるナチスのイメージ」も研究対象とした。そして、ナチスのイメージは現実というよりも我々の期待を反映したものにすぎず、世代交代や社会環境の変化に合わせて変質していくものであることを解明した。