著者
森 貴史
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

オランダの解剖学者ペトルス・カンパーの顔面角理論、ドイツの解剖学者ザムエル・トーマス・ゼメリング、おなじく比較解剖学者ヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハ、博物学者フォルスターなどの18世紀後期の人類学理論が古典主義美学の影響下にあり、その人類学理論と言説が同時代のスイスの文筆家ヨハン・カスパー・ラーヴァターの観相学、ウィーンの神経解剖学者フランツ・ヨーゼフ・ガルの骨相学、19世紀後半の犯罪人類学イタリア学派創設者チェーザレ・ロンブローゾの生来性犯罪者説、フランスの犯罪学者アルフォンス・ベルティヨンの人体測定法、ナチスドイツの反ユダヤ主義人種論まで理論的な影響を与えたことが確認された。
著者
浜本 隆志 R.F Wittkamp 熊野 建 大島 薫 森 貴史 浜本 隆志
出版者
関西大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

最終年度にあたる本年は、ジュヴァルツヴァルト地方の冬至祭礼調査、宮崎県高千穂町での仮面を用いる冬至祭の儀礼調査、秋田県男鹿地方での新年の祭礼であるナマハゲおよびその周辺地域の祭礼調査といった、これまでの複数年度の調査をもとに、分析・考察をおこなった。ドイツ語圏を中心としたヨーロッパの通過儀礼と、日本を中心としたアジアの通過儀礼は意外と類似する部分が多いという認識に到達することになったが、そうした場合は、たいていがキリスト教文化の浸透以前、あるいはあまり浸透していない西欧の地域や地方のものであることが多いようである。あらためて、現在の世界各地で発生している文化摩擦や紛争の主な要因のひとつが、結局のところ、多神教と一神教の対立に起因しているのではないかという推測に蓋然性をみいだすこととなった。したがって、多神教的思考と一神教的思考というこの二項対立、たとえば、それは中沢新一が主張するところの対象性思考と非対象性思考の対立といえるのだが、これを乗り越えるために必要な思想や考え方を、世界の別の地域や住民たちのものにみいだすにしろ、まったく新たに創造していくにしろ、それともこれらのことが可能ではないときにはやはり、このふたつの対立を統合していくべき方法論を将来、模索していかなければならないだろう。本研究に従事した研究者の個別の研究成果によってなされている主張が、現時点における考察の結果の一部ではあるが、これらの成果によって、萌芽研究という本研究の役割は果たされたと思われる。
著者
森 貴史
出版者
関西大学文化財保存修復研究拠点
雑誌
Semawy Menu
巻号頁・発行日
vol.4, pp.117-129, 2013-03-04

After Alexander the Great died, his successor Ptolemy I, known as Ptolemy Soter, became the ruler of Egypt and set about making the Mediterranean city, Alexandria, not only the center of politics, but also the center of learning and culture. Soter also founded the Great Library of Alexandria (hereinafter referred to as the Great Library), and the Great Library became most famous for its collection of cultural and intellectual works in the ancient world. All the remains and sites, however, were under water and their historical details are unclear. "Mouseion" had also the Great Library, and many top scholars and intellectuals were brought together to contribute to the development of the academic achievements during the Hellenistic period. It is also said that the Great Library played an important role in the Greek translation of the Old Testament, "The Septuagint," the translation of the seventy interpreters. The policies on religion included the creation of Serapis, an ancient Egyptian religion. Serapis was actually a composite of the Egyptian god and the Greek god, and was created to form a spiritually integrated world of both the Egyptian and Greek people. As the Ptolemy Dynasty in Egypt began to fade, the Great Library as well as Serapis decreased in strength. Nevertheless, the culture of Alexandria, the ancient academic city, and the characteristics of the Great Library are still worth reviewing because their concept is a prototype of criteria for modern universities and libraries.
著者
森 貴史
出版者
関西大学文化財保存修復研究拠点
雑誌
Semawy Menu
巻号頁・発行日
vol.4, pp.117-129, 2013-03-04

After Alexander the Great died, his successor Ptolemy I, known as Ptolemy Soter, became the ruler of Egypt and set about making the Mediterranean city, Alexandria, not only the center of politics, but also the center of learning and culture. Soter also founded the Great Library of Alexandria (hereinafter referred to as the Great Library), and the Great Library became most famous for its collection of cultural and intellectual works in the ancient world. All the remains and sites, however, were under water and their historical details are unclear. "Mouseion" had also the Great Library, and many top scholars and intellectuals were brought together to contribute to the development of the academic achievements during the Hellenistic period. It is also said that the Great Library played an important role in the Greek translation of the Old Testament, "The Septuagint," the translation of the seventy interpreters. The policies on religion included the creation of Serapis, an ancient Egyptian religion. Serapis was actually a composite of the Egyptian god and the Greek god, and was created to form a spiritually integrated world of both the Egyptian and Greek people. As the Ptolemy Dynasty in Egypt began to fade, the Great Library as well as Serapis decreased in strength. Nevertheless, the culture of Alexandria, the ancient academic city, and the characteristics of the Great Library are still worth reviewing because their concept is a prototype of criteria for modern universities and libraries.大王アレクサンドロスの死後、エジプトの統治者となったプトレマイオス1世(ソテル)は、地中海沿岸都市アレクサンドリアを、政治の中心地だけでなく、文化の中心地にもしようとした。かれが設立したアレクサンドリアのく図書館〉は、古代世界でもっとも有名な知の殿堂となった。しかし現在、その遺跡はすべて水没して、いっさいが不明である。ムセイオンとこの<図書館>は、たくさんの優れた知識人が集うこととなり、ヘレニズム時代の学術の発展に貢献した。ギリシア語訳の聖書『セプトゥアギンタ』 (70人訳聖書)の成立にも大きな役割をはたしたとされる。また、宗教政策としては、セラピス神創造があげられる。これによって、ギリシア人とエジプト人のふたつの神を統合した神セラピスをつくることで、両市民の精神世界の統合をめざしたのである。やがて、プトレマイオス朝とともに、<図書館>やセラピス信仰も衰退していったが、学術都市アレクサンドリアの文化や<図書館>は、現代の大学や図書館の原型となっているため、いまもなお一顧するに足る対象であるだろう。
著者
森 貴史
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

イギリス海軍ジェームズ・クックの第2次世界航海に同行したゲオルク・フォルスターは、その知見を『世界周航記』(1778-80)として出版した。この航海記は、現代の視点で通常の航海記文学として読めば、クックの航海を年代記的に記しているにもかかわらず、非常に難解なカオス的な構造をもった航海記であるとの仮説に立脚し、この著作を「文学テクスト」および「自然科学と文化史のデータベース」としての両面から分析した論考を、ドイツで上梓した。
著者
溝井 裕一 細川 裕史 齊藤 公輔 浜本 隆志 森 貴史 北川 千香子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、ナチスによる集合的記憶の乱用の問題について調査を実施した。その結果、ナチスが過去の「アーリア人の遺産」に由来する要素を、建築、祝祭、演説などに織り込み、これによってドイツ人のアイデンティティを変化させ、彼らに人種主義的かつ優生学的な思想を植え付けようとしたことが明らかとなった。ナチスが実施した絶滅動物の復元も、「過去の想起」に関連するものであった。我々はまた、戦後の大衆文化における「集合的記憶におけるナチスのイメージ」も研究対象とした。そして、ナチスのイメージは現実というよりも我々の期待を反映したものにすぎず、世代交代や社会環境の変化に合わせて変質していくものであることを解明した。