- 著者
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北村 徹
- 出版者
- 昭和大学・昭和歯学会
- 雑誌
- 昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.211-230, 1989-06-30 (Released:2012-08-27)
- 参考文献数
- 26
- 被引用文献数
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有歯顎者20名 (男10名, 女10名) について, 無声破裂音 [P, t, k], 有声破裂音 [b, d, g], 弾音 [r], 鼻音 [m, n] の周波数分析および時間波形の拡大描記をDigitalSonagraph (7800型KAY社製) によって行い, 先行子音継続時間および後続母音移行部の第2ホルマント周波数を計測した.1.時間要素の観察および計測は, 時間波形の時間軸を最大96倍まで延長して行った.子音発音区間をDI, DII, DT, BZに区分し, それぞれの時間およびDI/DT (%) 求めた.すなわち, 子音の開始から後続母音成分の出現までをDT, さらに, この中で, spike創e減衰までを (DI), それ以降を (DH) とした.その結果, (1) 調音方法の違いによって時間波形に差異が認められた. (2) [k]では後続母音の違いによる差異が認められた. (3) 無声破裂音間および有声破裂音間では調音部位が後方のものほどDTは長い. (4) 対応する無声破裂音より有声破裂音はDI, DTとも有意に短い.2.第2ホルマント始端周波数については各被験者の [a] の定常的な部分の第2ホルマントの周波数 (FHa) を基準値として, これに対する各被験音の第2ホルマント始端周波i数 (FHT) の差 (ΔTa) を求めた.また, 各後続母音の定常的な部分の周波数(FIIT)との差 (Δa) を求めた.その結果, (1) FIITの平均値は, [P, b, m] は低く, [t, d, r] は中間, [n, k, g] は高い. (2) 第2ホルマント始端から後続母音への遷移の軌跡を延長した仮想線は, [t, d] では, 子音発音時点で一点に集束し, [r, n] も同様の傾向がみられる.また, [p, m]では下方に, [k, 9] では, 上方に向かっている.以上のように, それぞれの音について時間要素および第FH遷移での特性が認められた.