著者
北迫 勇一
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.142-147, 2015 (Released:2015-04-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1

近年,わが国においても多くの酸性飲食物が国民の食生活習慣に取り入れられる様になり,酸蝕症の問題は臨床上無視出来ない状況にある.成人を対象とした疫学調査では, 酸蝕症の罹患状況は26.1%であった.酸蝕症の臨床対応は,審美的または機能的な損害や不快症状等病的症状を伴わず,生理的な症状にとどまる場合には原則予防処置またはモニタリングを行い,高度象牙質露出に伴う冷水痛または咬合痛や,歯の破折を伴う実質欠損を有する場合には,MI修復の観点からコンポジットレジン修復を行う.
著者
北迫 勇一 高垣 智博 池田 正臣 田上 順次
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.282-288, 2017 (Released:2018-01-09)
参考文献数
20

目的 : 酸蝕症の疫学調査から歯間清掃に関するアンケート調査結果を抽出し, 各世代における歯間清掃用具 (デンタルフロスおよび歯間ブラシ) の使用頻度について, 歯間清掃を始めた動機づけ要因も含め比較検討を試みた.  材料と方法 : 本研究趣旨に同意が得られた被験者1,108名のうち, アンケートに対しすべて回答した969名分 (15~89歳, 平均年齢48.4歳, 男性494名, 女性475名) を対象として, 酸蝕症の疫学調査における口腔衛生状況に関する質問事項として, デンタルフロスおよび歯間ブラシの使用有無 (有の場合はその頻度 : 常時または時々) ならびに歯間清掃を始めた動機づけ要因について調査した. 被験者全員を, 10~20代, 30代, 40代, 50代, 60代および70~80代の6世代に分類し, 同アンケート結果の世代間における比較検討を試みた.  結果 : 全世代における歯間清掃用具の使用頻度は, デンタルフロスの常時使用が30%, 歯間ブラシでの常時使用が28%であった. また, 各世代における同使用頻度について 「常時+時々」 と 「未使用」 を比較した場合, デンタルフロスでは60代が40代を除くほかの世代に比べその使用頻度が高く, 歯間ブラシでは50~80代が10~40代に比べその使用頻度が高かった (p<0.05). また, 同使用頻度について 「常時」 と 「時々+未使用」 を比較した場合は, デンタルフロスでは60代が10~30代に比べ 「常時」 使用している割合が高く, 歯間ブラシでは50~80代が10~40代に比べ 「常時」 使用している割合が高かった (p<0.05). さらに, 歯間清掃を始めた動機づけ要因は, 30代を除くすべての世代において歯科医院からの推奨で開始したと回答する割合が半数以上を占め, 30代ではその割合が低かった (p<0.05).  結論 : 歯間清掃用具の使用頻度は, デンタルフロスで世代間の明確な差を認めなかったのに対し, 歯間ブラシは年齢が増すごとに明らかに使用頻度が増加する傾向を示した. 歯間清掃を始めた動機づけとして, 多くの世代において 「歯科医院からの推奨」 が寄与していることが示唆された.
著者
MATIN KHAIRUL 田上 順次 花田 信弘 北迫 勇一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

新型PC-software(EPC-2000)導入人工口腔装置(AMS:新名称Oral Biofilm Reactor:OBR)の開発を行い、人工biofilmを形成する事に成功した。う蝕原因菌や栄養源を、速度を制御しながら滴下する事により、口腔内に類似した環境を作る事が可能となった。初期う蝕・二次う蝕の発生メカニズムの解明:牛歯・ヒト抜去歯切片をOBRにて人工biofilmを形成し、肉眼所見にてWhite Spot Enamel Lesionを確認した。その後定量的光誘導蛍光装置(QLF)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により、表層下脱灰が認められた。さらに分散形X線分析装置(EDS)を用いて元素分析を行い、無機質のピークの減少も確認できた。また、牛歯前歯・ヒト抜去歯に形成した窩洞内にコンポジットレジンを充填した試料を使用し、複数う蝕原因菌を用いて人工biofilmを形成し、二次う蝕を形成した。その後蛍光顕微鏡、SEM、Micro-CT等を用いて観察及び分析を行い境界部の脱灰processの一端が明らかになった。上記方法により、人工初期う蝕・二次う蝕モデルの確立及びその発生メカニズムの解明に成功した。う触・二次う蝕予防を考慮した歯科材料の検討:歯科におけるSelf-surface-cleaningの実現に向け、新規フッ素樹脂化合物(テフロン)応用修復材料及びフッ素オリゴマー含有コーティング材等を使用し、材料学的・細菌学的に研究を行った。その結果、表面性状の影響を加味した第二世代への移行を遂げた。新しいう蝕予防法の検討:Biofilmの主要構成要素であるglucanに焦点を置き、常在菌叢を破壊しないglucan溶解法を検討した。その結果、アルカリ電解水がglucan溶解に有効な事を見出した。また、RT-PCR及び二次元電気泳動等を用い、菌体定量及び菌表層タンパクに変化が認められ、glucan溶解メカニズム解明の一歩と成り得た。さらに上記二次う蝕モデルを用いて、様々な予防法の開発を行っている。
著者
北迫 勇一
出版者
日本歯科医師会
雑誌
日本歯科医師会雑誌 (ISSN:00471763)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.19-27, 2010-12
被引用文献数
1