著者
冨吉 満之 北野 慎一
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.71-77, 2012-06-25 (Released:2014-03-14)
参考文献数
6

This study aims to determine trends in nonprofit organizations (NPOs) engaged in rural activities. By interviewing the members of six NPOs in Suzu city, Ishikawa prefecture, and analyzing their financial data, this paper examines the factors related to the sustainability of these NPOs’activities. The results showed that certain activists concurrently served as board members of multiple NPOs. Moreover, the government’s employment-boosting program played an important part in providing financial support to some NPOs.
著者
北野 慎一
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

漁業・漁村の多面的機能を発揮していると思われる日本国内の事例をピックアップし、一般市民の方が景観に対して持つ様々なイメージに基づいて、その類型化を試みた。空間的特性、歴史文化的特性から4類型が可能であることが明らかとなった。その類型から特に歴史文化的特性を持つ事例(岐阜長良川鵜飼)をピックアップし、経済評価を試みた。伝統漁法が創出するレクリエーション効果(価値)が確認された。
著者
吉野 章 北野 慎一 吉積 巳貴 清水 夏樹 間藤 徹 東樹 宏和 真常 仁志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

農畜産業を低窒素型に変革する可能性の研究に取り組んだ。第一に、30年以上の間無肥料で野菜を栽培している農家の土壌と土壌圏微生物を解析し、限られた養分しかない環境における植物の適応を解明した。そして、そうした農産物の価値を伝える流通業者のマーケティング戦略の特質を指摘した。第二に、日本において山間部で放牧を行う酪農の可能性を評価し、制度的制約と市場競争力が厳しい状況にあることを明らかにした。第三に、兵庫県南あわじの農業を調査し、これまの循環型農業への取り組みと、社会・経済環境の変化に伴う新たな方向の模索を明らかにした。
著者
日高 健 小野 征一郎 鳥居 享司 山本 尚俊 中原 尚知 北野 慎一
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

マグロ養殖業は、オーストラリア、メキシコ、地中海諸国、日本において行われており、現在では総生産量は約4万トンに達し、重要な産業となっている。クロマグロ養殖業は天然資源に原魚を依存したCapture-based aquacultureであり、天然資源との関わりが強い。さらに、長い価値連鎖のため、経済主体間の関係のあり方が養殖経営に与える影響が大きい。そこで、主要生産国における養殖管理制度と主要業者の経営管理を比較分析し、持続的なマグロ養殖管理のための要件抽出を目的として研究を行った。漁業資源管理では、オーストラリアが最も緻密な管理を行っており、養殖業者は各自のITQと自国EEZ内での原魚採捕によって優位性を持つ。これに次いで、スペインではマグロ漁業資源管理の強化が進んでいる。メキシコと日本では漁業資源管理の対象となっていない。価値連鎖における経済主体間関係を軸としたビジネスシステムをみると、スペインは生販統合型、オーストラリアは原魚供給確保型、メキシコの二事例は生販統合型と原魚供給確保型、日本は生販統合型である。これらの中では、メキシコ1のシステムが高いパフォーマンスを示しており、メキシコ2がこれに次ぐ。メキシコが有するビジネスシステムの優位性は、経済主体間の連携の強さに基づくものである。生産コストの低さに加え、生販統合による市場情報に応じた生産と出荷の体制は、日本市場における競争優位を確実にする。ただし、高い天然資源の豊度と緩い漁業資源管理に支えられたものであり、脆弱である。つまり,供給の不確実性に対応するためには、確実な資源管理制度を基盤に、原魚供給確保型と生販統合型の双方の性格を具備したビジネスシステムが必要である。原魚採捕者、養殖業者、流通業者の三者の戦略的提携関係をいかにして構築するか、それを政府がいかに支えるかが持続的な養殖マグロ産業を構築するための要件となる。