著者
貝塚 隆史 作田 祥司 鈴木 雅人 坂本 俊彦 鈴木 栄 荻原 勲
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.269-275, 2008-04-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

フィルム包装して給水処理を行ったコマツナを低温・弱光下に保存したときの新鮮重,葉色などの品質および葉内の硝酸態窒素濃度の変化を検討した.フィルム包装して給水処理をおこなったコマツナは,フィルム包装による蒸散の抑制と,主根からの継続的な吸水が行われるため萎れが観察されず,保存後に新鮮重が増加した.弱光照射によって葉緑体の形成などが行われたため葉の緑色は退色しなかった.光合成,呼吸,葉緑体形成などで窒素が代謝されるので,各葉位および各部位(葉身と葉柄)ともに硝酸態窒素濃度が低下し,特に,14℃の条件で保存4日後に約36%の減少が認められた.以上のことから,コマツナを収穫後にフィルム包装,給水処理,弱光照射および低温条件を組み合わせて保存すると,品質の低下が少なく,硝酸態窒素濃度の低い植物体の生産ができることがわかった.
著者
澁澤 栄 荻原 勲 千葉 一裕 南石 晃明 小島 寛明
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

土壌情報及び農作業の記録データに基づき,農家の判断プロセスを模倣した農業AIシステムと知農ロボットスキームを提案した。農産物流通プロセスの記録技術を基礎にして,情報付き農産物の新流通スキームとアグロメディカルフーズの生産構想を提案した。本庄PF研究会が生産出荷する「本庄のトキメキ野菜」のブランド化に成功した。生産者と仲買・卸および小売の役割や利害関係の裏付けを入手するのが困難であった。
著者
山本 俊哉 持田 耕平 今井 剛 土師 岳 八重垣 英明 山口 正己 松田 長生 荻原 勲
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 2003-03-01

17種類のマーカーを用いて,交雑育種で育成されたモモ9品種,枝変わり2品種,偶発実生由来5品種の合計16の日本のモモ栽培品種の親子鑑定を行った.交雑育種により育成された9品種では,すべてのSSR座において親の対立遺伝子が矛盾なく子供に伝達されていたことから,親子の関係が確認された.枝変わり品種の「暁星」は,原品種の「あかつき」と全く同じ遺伝子型を示したことから,枝変わりであることが示唆された.一方,枝変わり品種とされる「日川白鳳」では,原品種の「白鳳」と比較して,12ヶ所のSSR座で異なる遺伝子型を示した.このことから「日川白鳳」は「白鳳」の枝変わりではないことが明らかとなった.偶発実生由来と考えられている4品種「阿部白桃」,「川中島白桃」,「高陽白桃」,「清水白桃」では,各SSR座で推定親の「白桃」の対立遺伝子の一方を持っていた.これらの結果から,この4品種は,枝変わりではなく,「白桃」の子供であることが示唆された.以上のことから,SSRマーカーは,限られた遺伝資源に由来しているとされる日本の栽培モモ品種の親子鑑定に有効に利用することができた.
著者
樋口 幸男 北島 章好 荻原 勲 箱田 直紀 志村 勲
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.744-748, 2000-11-15
被引用文献数
2 1

異なる温度条件下におけるプリムラ・オブコニカのプリミン分泌状況を調査し, 幼苗期におけるプリミン検定の可能性について検討した.1. 'Crystal Apricot'では子葉展開期からプリミンの分泌が認められたが, フリー品種の'Libre Light Salmon'では認められなかった.2. 'Crystal Apricot'を低温(昼温20℃, 夜温13℃)および高温(昼温30℃, 夜温23℃)下で育苗し, 個体別および葉位別にプリミン分泌率を調査した.低温下で育苗した場合は, 第1葉展開期にはすべての個体がプリミンを分泌していた.さらに, 低温下では下位葉のプリミン分泌率も高く維持された.一方, 高温下で育苗したところ, プリミン分泌の開始が遅れ, 一度分泌したプリミンの消失も早かった.また, 育苗温度に関わらず最上位葉の一つ下位の葉においてプリミン分泌率が高かった.3. プリミンを保有している'Crystal'シリーズ4品種について葉位別のプリミン分泌率を調査した.プリミン分泌の早晩には, 品種間差異が認められたが, 各品種とも低温下では第1葉展開期の子葉において, また, 高温下では第5葉展開期の第4葉においてプリミン分泌率が100%であった.4. 幼苗期に毛じの形態からプリミン分泌の有無を判定するには, 低温下では第1葉展開期の子葉を, 高温下では第5葉展開期の第4葉を調査すればよいことが明らかとなった.