著者
渡辺 啓 大村 孝之 池田 智子 三木 絢子 勅使河原 喬史
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.185-191, 2009
被引用文献数
3

W/O乳化は油性の成分を皮膚に展開しやすく,高いエモリエント性などの特徴がある重要な基剤である。このような機能性の一方で,W/O乳化には技術的に改善すべき課題が存在する。本研究では,乳化剤として複数の水酸基を有する親油性の界面活性剤であり,水との共存系で二分子膜が立方晶型に充填した特異なバイコンティニュアスキュービック液晶を形成することが知られているフィタントリオール(3, 7, 11, 15 -tetramethyl- 1, 2, 3 -hexadecanetriol)に着目した。その結果,非極性油,極性油,シリコーン油などさまざまな油分系において,97%もの高内水相比でありながら安定なW/Oクリームを調製することに成功した。乳化メカニズムを解明するため,水,油,フィタントリオール3成分系における相平衡を詳細に検討した。この結果,本乳化系においては,バイコンティニュアスキュービック液晶と構造的な相関性の高いバイコンティニュアスマイクロエマルション相を外相として有するという興味深い乳化メカニズムが明らかになった。さらに,皮膚に塗布時の溶媒の揮発に伴う組成変化により,薄い液晶膜が皮膚上に展開し,さまざまな機能が付与されることが明らかになった。本技術により,重要な機能であるエモリエント性,オクルーション効果がありながら,べたつき,油っぽさがない,極めてさっぱりとした良好な使用感触のクリームが初めて調製可能となった。
著者
樫村 淳 原 喬 中島 良和
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.117-122, 1993 (Released:2010-02-22)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

パラチノースオリゴ糖 (以下IBOと略す) 摂取がヒトの糞便中の腸内腐敗産物 (インドール, スカトール, p-クレゾール, フェノール), アンモニア, 有機酸 (コハク酸, 乳酸, ギ酸, 酢酸, プロピオン酸, イソ酪酸, 酪酸, イソ吉草酸, 吉草酸) 含量およびpH, 腸内フローラ, 発がんに関係すると注目されているβ-グルコシダーゼ, β-グルクロニターゼ活性に及ぼす影響について検討した。健康なボランティア7名にパラチノースオリゴ糖を1日20g摂取させた。試験期間は20日間で最初の10日間をコントロール期, 次の10日間を摂取期間とした。食事はすべてのボランティアにコントロール期の10日間と摂取期10日間同しメニューを摂取させ, その量については各ボランティアごとに各期で同量とした。各期間の5日目と7日目に新鮮便を回収し, それぞれ測定した。IBO摂取により, アンモニアと腸内腐敗産物のインドール, p-クレゾールが, 統計的に有意ではなかったが減少し, とくに便秘症のボランティアには顕著であった。また有機酸は乳酸, 酢酸, ギ酸が有意に増加した。腸内フローラはBifidobacteriumが有意に増加する一方, Bacteroidaceaeが有意に減少した。また腸内腐敗菌として知られるウェルシュ菌 (Clostridium perfringens) がIBO摂取により検出されなくなった。またpHはIBO摂取により有意に低下した。β-グルクロニダーゼ活性には著しい変化は認められなかったが, β-グルコシダーゼ活性はIBO摂取により有意に上昇した。
著者
渡辺 啓 大村 孝之 池田 智子 三木 絢子 勅使河原 喬史
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.185-191, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

W/O乳化は油性の成分を皮膚に展開しやすく,高いエモリエント性などの特徴がある重要な基剤である。このような機能性の一方で,W/O乳化には技術的に改善すべき課題が存在する。本研究では,乳化剤として複数の水酸基を有する親油性の界面活性剤であり,水との共存系で二分子膜が立方晶型に充填した特異なバイコンティニュアスキュービック液晶を形成することが知られているフィタントリオール(3, 7, 11, 15 -tetramethyl- 1, 2, 3 -hexadecanetriol)に着目した。その結果,非極性油,極性油,シリコーン油などさまざまな油分系において,97%もの高内水相比でありながら安定なW/Oクリームを調製することに成功した。乳化メカニズムを解明するため,水,油,フィタントリオール3成分系における相平衡を詳細に検討した。この結果,本乳化系においては,バイコンティニュアスキュービック液晶と構造的な相関性の高いバイコンティニュアスマイクロエマルション相を外相として有するという興味深い乳化メカニズムが明らかになった。さらに,皮膚に塗布時の溶媒の揮発に伴う組成変化により,薄い液晶膜が皮膚上に展開し,さまざまな機能が付与されることが明らかになった。本技術により,重要な機能であるエモリエント性,オクルーション効果がありながら,べたつき,油っぽさがない,極めてさっぱりとした良好な使用感触のクリームが初めて調製可能となった。