著者
田中 雅人 尾崎 敏文 沖原 巧 渡邉 典行 瀧川 朋亨 塩崎 泰之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

抗菌薬をリン酸化プルランに含有した新規骨補填材の有用性について検討した。骨補填材からの抗菌薬徐放能を検討し、新規骨補填材では従来の骨補填材と比較し良好な徐放能を示した。また、黄色ブドウ球菌をマウス骨髄内に注入し作成した骨髄炎マウスモデルを用いて検討を行い、従来の骨補填材と比較し有意に強い抗菌作用を認めた。以上より抗菌薬含有リン酸化プルランは感染治療に有用であることが示唆された。
著者
小松崎 一則 小崎 俊男 橋野 正史 矢内原 巧 中山 徹也 森 弘
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.1095-1102, 1987-07-01

副腎性ステロイドの一つであるC^21Δ^5系Pregnenolone sulfate(P_5S)は胎盤性Progesterone(P_4)の前駆体として知られ、妊娠時に母体胎盤胎児系をめぐる内分泌環境に大きな影響を及ぼす重要な物質の一つである。しかし、in vivoにおけるP5Sの母体胎盤胎児系における代謝動態に関しては不明な点が多い。そこで、非標識P_5S及び重水素標識P_5S(2,2,4,6-d_4-P_5S)を妊娠末期母体へ投与し、追跡実験を行った。I.非標識P_5S投与例:妊娠末期母体(5例)へP_5S(30mg)投与し、15分、30分、60分、120分、24時間後の母体血中P_5S、20P_5S、P_4、20P_4及びDHA-S値を安定同位体を内部標準として用いたGas chromatography-Mass spectrometry(GC-MS)法で測定した。 (1)P_5S:投与後15分で前値に比し約4倍に増量し以後減少、24時間後に前値レベルとなった。 (2)20P_5S:15分後に速やかに約2倍に増加し、120分まで高値を持続、24時間後に前値に復した。 (3)P_4及び20P_4は、実測値では増加傾向を示すが有意差はなく、投与前値を100とした変化率では、15分より上昇し、30分でピークに達し120分まで有意に増加、P_4は24時間で前値に復したが、20P_4は24時間後でも前値に比し高値を示した。 (4)DHA-Sは、実測値、変化率共に時間的変化が認められなかった。 II.重水素標識P_5S(d_4-P_5S)投与例:妊娠末期母体(1例)へd_4-P_5S(30mg)を投与し、60分後の母体血、胎盤組織、臍帯静脈血、及び投与後120分間の母体尿中のP_5S関連ステロイドをGC-MS法にて検索し、各ステロイドごとにd化ステロイドの割合(d%)の算出を試みた。 1)母体血:P_5S(84.5%)、17P_5S(95.5%)、16P_5S(51.6%)、20P_5S(85.1%)、20P_5(71.2%)、P_4(10.9%). 2)胎盤組織:20P_5(16.1%)、20P_4(3.2%)、P_4(3.1%). 3)臍帯静脈:P_4(11.2%). 4)母体尿:P_5S(40.6%)、20P_5S(56.6%)、5β-pregnane 3α、20α diol(34.8%)いずれの検体よりもC_19、C_18系ステロイドは検出されなかった。以上より(1)母体血中P_5SもP_4の前駆物質となり得ることがin vivoで示された。しかし、妊娠血中に著増するP_4の材料としては、母体血中P_5S以外に主に由来することが示唆された。(2)母体血中P_5Sは、C_19、C_18系ステロイドへは、容易に転換されないことが示唆された。
著者
茂呂 信高 長塚 正晃 藤原 紹生 白土 なほ子 小塚 和人 奥山 大輔 千葉 博 齋藤 裕 矢内原 巧
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.333-339, 1998-06-01
被引用文献数
1

近年, 退行性骨粗鬆症を予防するには性成熟期における骨量をより高めることが重要と考えられている.今回, 超音波骨密度測定装置を用いて思春期女子の踵骨骨密度を測定し, さらに骨代謝パラメーターとして血中Intact Osteocalcin(OC)値, 尿中, Deoxypyridinoline(DPYR)値および初経発来との関係について検討した.[方法]対象は健康な6歳から15歳の女子295名である.骨密度測定は, 超音波伝播速度(S0S), 超音波減衰係数(BUA), Stiffness(ST)を測定した.血中OC値はオステオカルシンキット(ヤマサ), 尿中DPYR値はPYRILINKS-D Assay(METRA Biosystems Inc.)を用いて測定した.[成績]1)SOS値は6歳よりその変動は軽微であるが初経発来後は有意な上昇がみられた.BUA値は9歳より漸増, 初経発来後13歳までその上昇は顕著であり, 初経発来群は未発来群に比し有意に上昇した.ST値はほぼBUA値と同様の傾向を示した.また初経発来後のSOS, BUA, ST値の変化についてはその後3年後に変化が顕著であった.2)血中OC値は6歳から11歳にかけてやや上昇するもその後下降する一方, 尿中DPYR値は11歳より13歳にかけて著減しBUA値と有意な負の相関を示した.OC/DPYR比の推移をみると初経発来により明らかな高値を示した.[結論]BUA値は主に骨の緻密度を, SOS値は骨の硬度を表わすとされている.今回初経発来前後の思春期女子の骨密度の推移を超音波により検討したところ, SOS, BUA値は異なった推移を示したことから, 思春期には骨質の変化が生じており, これらは初経発来によりさらに大きく変化することが示された.またOC/DPYR比は初経発来以後明らかな高値を示しており, 思春期の骨密度の増加と初経発来が関連することが示唆された.
著者
宮上 順志 松橋 一雄 金沢 元美 矢内原 巧 中山 徹也
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.19-26, 1980-01-01

胎生期における胎児消化管生理解明の一助として、消化管ホルモンであるセクレチンを取り上げ,妊娠月数による母体血セクレチン値の推移像,胎児血中濃度と母体血との比較,胎児消化管組織申に於けるセクレチン含量の部位による相異を検した.併せてガストリン濃度についても同様の検討を行なった.I測定方法;1)血中セクレチン値はYanaihara et alの方法(1976)^<20>)によるRIA法,ガストリン値はGastrin-RIAkit(ダイナホット杜)により測定した.2)妊娠5カ月,6カ月中絶例につき胎児組織並びに胎盤組織申のセクレチン及びガストリンはWaterboiling法にて抽出,Sephadex G-25 Columnにてゲル濾過,凍結乾燥後に前記RIA法により測定した.II実験成績1)妊婦血中値 非妊婦・男子を対照としての妊婦124例についての成績では,妊娠により血中セクレチン値は増量し,妊娠末期に最高値248±150pg/mlに達する.ガストリン値は妊娠による変化はみられず平均65.4±36pg/mIであった.2)胎児血中値(i)セクレチン値は膀帯動脈血(UA)と騰帯静脈血(UV)中はそれぞれ460±166pg/ml,424±126pg/mlで胎児血は母体血(分娩時)の値307±158pg/mlに比し有意に高値を示した(p<0.05).(ii)ガストリン値はUA・Uv中でそれぞれ101±63pg/ml,91±38pg/mlで母体血(分晩時)の値67±22pg/mlに比しセクレチンと同様胎児血で有意に高値を示した(P<0.05).3)胎児組織中 immunoreactive Secretinは5カ月では小腸,6カ月では十二指腸に多量に存在し,消化管以外の大脳皮質中にも大量のセクレチンが検出された.immunoreactive Gastrinは胎児でも幽門部から十二指腸にかけて高濃度に存在した.