著者
辻 裕美子 木村 武彦 桑野 譲 赤松 達也 斎藤 裕 吾郷 晋浩 矢内原 巧 国谷 誠朗
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.57-61, 1999
被引用文献数
1

女性にとって更年期は心身ともに不安定になりやすい時期である.ストレスとなるライフイベントが重なると,うつ状態を呈することがあり,ときに自殺念慮を生じる場合もある.患者に自殺の可能性が考えられる場合,交流分析の再決断療法では,まず「自殺しない契約」をとることが重要なプロセスであると考えられている.これは,患者自身の決断として,自殺しないことをはっきりと表明するものである.この介入方法について,本法が有効であった更年期外来症例,二例を通して報告した.
著者
長塚 正晃 齋藤 裕 白土 なほ子 藤原 紹生 小塚 和人 奥山 大輔 千葉 博 矢内原 巧
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.777-783, 1999-09-01
参考文献数
23
被引用文献数
4

目的 : Insulin-like growth factor-I (IGF-I)は思春期の身体発育に密接に関与し, 性ステロイドホルモンと強い関連を示すことが知られている. なかでも強い生理活性を有するこれらの遊離型血中濃度の推移が初経発来と身体発育のkeyとなっている可能性がある. そこで今回, 初経発来周辺期で連続追跡し得た思春期女子の身体発育と血中遊離型(f)-IGF-Iと性ステロイドホルモンの推移を, 初経発来を中心に検討した. 方法 : 9歳から12歳の健康な女子20名を対象に4年間連続追跡した. アンケート調査により, 対象の初経発来時期, 1年間の身長増加量(身長増加速度)を求めた. また血中f-IGF-IはSep-PakC_<18>カラムを用いて酸エタノール法により抽出後RIA法により測定した. 血中free testosterone, estradiol値はRIA法で, sex hormone binding globulin (SHBG)をIRMA法で測定した. 成績 : 1)身長増加速度は初経発来前3年(5.6±1.0cm/year, mean±S.D.)から初経発来前1年(7.3±1.6)まで有意(p<0.05)に増加し, 初経発来後2年(3.1±1.3)まで有意に減少した(p<0.01). 2)血中f-IGF-I値は初経発来前3年(3.9±2.0ng/ml)から初経発来前1年(8.1±2.6)と有意(p<0.05)に増加し, 身長増加速度と同様初経発来後2年(3.9±1.5)まで有意(p<0.05)に減少した. 血中free testosterone値は初経発来前3年から初経発来後2年まで有意に増加する一方, 血中SHBG値は初経発来前3年(75.0±13.2nmol/lから初経発来前1年(39.7±14.5)まで有意(p<0.01)に減少した. 3)身長増加速度は血中f-IGF-I値と有意な正の相関(p<0.01)を認める一方, 血中free testosterone値とは初経発来前の身長増加速度にのみに有意な正の相関(p<0.05)を認めた. 結論 : 初経発来周辺時期の身長増加に血中f-IGF-I値が強く関与していることが示された. また初経発来前の身長増加にはtestosteroneの生理活性の増加が密接に関与することが初めて示された.
著者
山崎 峰夫 森川 肇 望月 眞人 佐藤 和雄 矢内原 巧 齋藤 良治 平川 舜 蒲田 忠明
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.925-934, 2002-07-01
参考文献数
14

日本人について妊娠末期のBishop scoreと妊娠・分娩経過との関係を初産・経産別に明らかにする共同調査を行った.妊娠期間,分娩所要時間,分娩様式,羊水混濁の有無,新生児アプガースコアに関し,第1報(日産婦誌2000;52:613-622)では実際の統計量成績を,また第2報(日産婦誌2001;53:1809-1818)では,それらと妊娠末期のBishops coreとの間の強い相関性を報告した.そこで,今回はこれらの事象が妊娠末期のBishop scoreにより予測しうるかを検討した.妊娠37~39週におけるBishop scoreの点数別の該当妊婦ののべ人数と受診後1週以内の分娩例数を集計した.また,妊娠37,38あるいは39週のBishop scoreの点数別に41週0日以降の分娩,分娩所要時間延長(初産婦24時間以上,経産婦12時間以上),手術分娩(吸引分娩,鉗子分娩あるいは緊急帝王切開),羊水混濁および低アプガースコア(出生後1分のアプガースコアが7点以下)の症例数を調べた.次いで,各事象を予測するための基準となるBishop scoreを1点から8点の8通りそれぞれにつき感度と特異度を算出し,ROC曲線により予測に最適なBishop score値(main Bishop score値)を求めた.なお,main Bishop score値の予測への有用性はこれを境とした二群間で各事象の頻度に有意差がある場合とした.初産婦・経産婦とも1週間以内に分娩となる頻度は50%を超えるのは妊娠37~39週のBishop scoreが6点以上のときであったが,感度を考慮すると初産婦では4点以上,経産婦では5点以上のとき予測上の有用性があった.他の各事象を予測するのに有用なBishop scoreは,i)41週以降の分娩:初産婦,経産婦とも妊娠37週3点以下,38週3点以下,39週5点以下,髄)分娩所要時間延長:初産婦では妊娠37週2点以下,38週2点以下,39週4点以下,経産婦では妊娠37週2点以下,妊娠38週1点以下,iii)羊水混濁:初産婦では妊娠37週2点以下,38週1点以下,39週2点以下,経産婦ではいずれの週数でも3点以下であった.なお,手術分娩と低アプガースコアについては,初産婦,経産婦ともBishop scoreによる予測は困難と思われた.以上の成績より,一週間以内の分娩,妊娠期間延長,分娩所要時間延長,羊水混濁を予測するうえで妊娠37~39週のBishop scoreが有用であることが窺われた.
著者
野口 有生 平戸 久美子 斉藤 裕 高崎 克哲 矢内原 巧 中山 徹也 Yusei NOGUCHI Kumiko HIRATO Hiroshi SAITO Katsunori TAKASAKI Takumi YANAIHARA Tetsuya NAKAYAMA 昭和大学医学部産科婦人科学教室 昭和大学医学部産科婦人科学教室 昭和大学医学部産科婦人科学教室 昭和大学医学部産科婦人科学教室 昭和大学医学部産科婦人科学教室 昭和大学医学部産科婦人科学教室 Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Showa University School of Medicine
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 = Acta obstetrica et gynaecologica Japonica (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.359-364, 1988-03-01
被引用文献数
1

分娩時ヒト子宮頚部組織における遊離アラキドン酸生成能と, それに及ぼす妊娠性ステロイドの影響を調べる目的で次の実験を行ない, 以下の成績を得た. 1) 正常分娩のヒト子宮頚部組織800g上清を酵素源とし, L-3-phosphatidylcholine, 1-stearoyl-2-[1-^<14>C]arachidonylを基質とし, インキュベーションを行ない, 遊離されたアラキドン酸産生量よりphospholipase A_2活性を測定し, 更に各種のkineticsを行ない, ヒト子宮頚部組織内でリン脂質より遊離アラキドン酸産生に介在するphospholipase A_2活性が存在することを示した. 2) 培養液中に妊娠中増加する各種の妊娠性ステロイド(cortisol, pregnenolone, 20α-dihydroprogesterone, pregnenolone-sulfate, DHA, DHA-sulfate, estrone, estradiol, estriol)を添加し, 本酵素活性に及ぼす影響を検討した. 各種妊娠性ステロイド添加では, 本酵素活性に対し, 明らかに影響を示すものはなかつた. 3) 分娩第1期に母体にDHA-sulfate (マイリス) 600mgを2時間で点滴静注した後, 分娩に至つたDHA-sulfate投与群と非投与正常分娩例との本酵素活性の比較では, 投与群40±13pmoles/mg protein であり, 非投与正常分娩例の39±7pmoles/mg proteinと比し差はみられなかつた. 以上のことよりヒト妊娠子宮頚部に, phospholipase A_2活性が存在することが明らかとなり, また, 本実験条件下ではprostaglandin合成機構の一過程であるphospholipase A_2活性に対する妊娠性ステロイドの関与は認められなかつた.Prostaglandins (PGs) play an important role in cervical ripening. It is known that the hydrolytic release of arachidonic acid from phospholipids regulates the rate of PG formation. To study the PG biosynthesis in cervical tissue, phosphatidylcholine containing ^<14>C-arachidonic acid in Sn-2 position was incubated with the 800 × g supernatant of cervical tissue obtained from pregnant women at delivery. The only recognizable radiolabeled metabolite, ^<14>C-arachidonic acid, was found on an autor-adiogram of TLC, which corresponded to authentic arachidonic acid. Therefore, phospholipase A_2 activity was calculated as the rate of the release of arachidonic acid from phosphatidylcholine under the conditions used. The optimal pH of phospholipase A_2 activity in 800 × g supernatant was found to be 7.0. It was found that the addition of Ca^<2+> increased the enzyme activity. It was demonstrated that the concentrations of DHA-sulfate (DHA-S) and conjugated estrogens were higher in ripened cervical tissue than in non-ripened tissue and that PGI_2 and PGE_2 production increased following the addition of DHA-S. The effects of steroids mainly derived from feto-placental unit, cortisol, pregnenolone, 20α-dihydroprogesterone, pregnenolone-sulfate, DHA, DHA-S, estrone, estradiol and estriol on arachidonic acid release were also studied in vitro. After the onset of labor, DHA-S was administered to the patients in vivo and their cervical tissues were collected at delivery. It was found that steroids including DHA-S did not affect phospholipase A_2 activity under the conditions used. These results indicate that cervical tissue posseses the ability to release arachidonic acid from phospholipid, although this step in PG formation might not be affected by steroids including DHA-S.
著者
瀬尾 文洋 鈴木 秀宣 上原 一浩 矢内原 巧 中山 徹也
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.1089-1097, 1980-08-01
被引用文献数
1

妊娠中における血中遊離型(F)及び抱合型(C)エストロゲン(E)の動態については未だ明らかにされていないため以下の実験を行った.対象としては正常妊婦及び分娩時の母体末梢血,並びに膀帯動静脈血を用いた.更に妊娠中毒症,胎児発育遅延(IUGR),無脳妃妊娠,胎盤性sulfatase 欠損症等の異常妊娠におけるF及びC.Eの変化も合蛙て検討した,被検血漿中よりエーテルにて抽出した分画をF分画として,次いでβ-Glucmronidase/Arylsulfatase を用いて加水分解を行い,Fとして抽出したものをC分画とした.本加水分解による回収率は85%であり,かつC.V.は5%と一定していた.Sephadex LH-20カラム.クロマトグラフィを用いて,estrone(E_1),estradiol(E_2),estriol(E_3)を分離し,各々を抗E_3-16,17-dihemisuccinyl-BSA血清を用いたRIAにて測宛した.(実験成績)(1)正常妊婦末梢血中E値は妊娠週数に伴いF及びCともに増長する.妊娠経過に伴うC.Eに対するF.Eの比(C/F)は各Eにより異たる.E_1では妊娠中期までは一定した上昇傾向を示さず妊娠末期に上昇する.E_2では俺は全期を通じて一定しているが,妊娠末期に軽度上昇を示す.E_3では妊娠経過に伴い前期で4.5,中期で6.5,末期では8.5と著しく上昇し,Cの増量が著しい.(2)妊娠中毒症及びIUGRではF及びC・Eとも低下し,Cの減少が目立つが,両老間に推計学的有意差は認められなかった.無脳児妊娠及び胎盤性sulfatase欠損症においてはF.EのみたらずC.Eも極めて低値であった.(3)母胎血中と臍動脈血中E値を比較すると,臍動脈血中総E値は母体血中値より高く(7倍).特にE_3値は母体血に比べ18倍の高値を示し,その大部分(98%)はCであった.E_1はCおよびFとも母体に高く,E_2値はFが母体に,Cは臍動脈に高かった.臍帯動脈間の血中各E値を比較するとCでは3Eにほとんど差はなく,Fが臍静脈にE_1, E_2, E_3共に各々5, 8, 1.7倍高値であった.
著者
小松崎 一則 小崎 俊男 橋野 正史 矢内原 巧 中山 徹也 森 弘
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.1095-1102, 1987-07-01

副腎性ステロイドの一つであるC^21Δ^5系Pregnenolone sulfate(P_5S)は胎盤性Progesterone(P_4)の前駆体として知られ、妊娠時に母体胎盤胎児系をめぐる内分泌環境に大きな影響を及ぼす重要な物質の一つである。しかし、in vivoにおけるP5Sの母体胎盤胎児系における代謝動態に関しては不明な点が多い。そこで、非標識P_5S及び重水素標識P_5S(2,2,4,6-d_4-P_5S)を妊娠末期母体へ投与し、追跡実験を行った。I.非標識P_5S投与例:妊娠末期母体(5例)へP_5S(30mg)投与し、15分、30分、60分、120分、24時間後の母体血中P_5S、20P_5S、P_4、20P_4及びDHA-S値を安定同位体を内部標準として用いたGas chromatography-Mass spectrometry(GC-MS)法で測定した。 (1)P_5S:投与後15分で前値に比し約4倍に増量し以後減少、24時間後に前値レベルとなった。 (2)20P_5S:15分後に速やかに約2倍に増加し、120分まで高値を持続、24時間後に前値に復した。 (3)P_4及び20P_4は、実測値では増加傾向を示すが有意差はなく、投与前値を100とした変化率では、15分より上昇し、30分でピークに達し120分まで有意に増加、P_4は24時間で前値に復したが、20P_4は24時間後でも前値に比し高値を示した。 (4)DHA-Sは、実測値、変化率共に時間的変化が認められなかった。 II.重水素標識P_5S(d_4-P_5S)投与例:妊娠末期母体(1例)へd_4-P_5S(30mg)を投与し、60分後の母体血、胎盤組織、臍帯静脈血、及び投与後120分間の母体尿中のP_5S関連ステロイドをGC-MS法にて検索し、各ステロイドごとにd化ステロイドの割合(d%)の算出を試みた。 1)母体血:P_5S(84.5%)、17P_5S(95.5%)、16P_5S(51.6%)、20P_5S(85.1%)、20P_5(71.2%)、P_4(10.9%). 2)胎盤組織:20P_5(16.1%)、20P_4(3.2%)、P_4(3.1%). 3)臍帯静脈:P_4(11.2%). 4)母体尿:P_5S(40.6%)、20P_5S(56.6%)、5β-pregnane 3α、20α diol(34.8%)いずれの検体よりもC_19、C_18系ステロイドは検出されなかった。以上より(1)母体血中P_5SもP_4の前駆物質となり得ることがin vivoで示された。しかし、妊娠血中に著増するP_4の材料としては、母体血中P_5S以外に主に由来することが示唆された。(2)母体血中P_5Sは、C_19、C_18系ステロイドへは、容易に転換されないことが示唆された。
著者
茂呂 信高 長塚 正晃 藤原 紹生 白土 なほ子 小塚 和人 奥山 大輔 千葉 博 齋藤 裕 矢内原 巧
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.333-339, 1998-06-01
被引用文献数
1

近年, 退行性骨粗鬆症を予防するには性成熟期における骨量をより高めることが重要と考えられている.今回, 超音波骨密度測定装置を用いて思春期女子の踵骨骨密度を測定し, さらに骨代謝パラメーターとして血中Intact Osteocalcin(OC)値, 尿中, Deoxypyridinoline(DPYR)値および初経発来との関係について検討した.[方法]対象は健康な6歳から15歳の女子295名である.骨密度測定は, 超音波伝播速度(S0S), 超音波減衰係数(BUA), Stiffness(ST)を測定した.血中OC値はオステオカルシンキット(ヤマサ), 尿中DPYR値はPYRILINKS-D Assay(METRA Biosystems Inc.)を用いて測定した.[成績]1)SOS値は6歳よりその変動は軽微であるが初経発来後は有意な上昇がみられた.BUA値は9歳より漸増, 初経発来後13歳までその上昇は顕著であり, 初経発来群は未発来群に比し有意に上昇した.ST値はほぼBUA値と同様の傾向を示した.また初経発来後のSOS, BUA, ST値の変化についてはその後3年後に変化が顕著であった.2)血中OC値は6歳から11歳にかけてやや上昇するもその後下降する一方, 尿中DPYR値は11歳より13歳にかけて著減しBUA値と有意な負の相関を示した.OC/DPYR比の推移をみると初経発来により明らかな高値を示した.[結論]BUA値は主に骨の緻密度を, SOS値は骨の硬度を表わすとされている.今回初経発来前後の思春期女子の骨密度の推移を超音波により検討したところ, SOS, BUA値は異なった推移を示したことから, 思春期には骨質の変化が生じており, これらは初経発来によりさらに大きく変化することが示された.またOC/DPYR比は初経発来以後明らかな高値を示しており, 思春期の骨密度の増加と初経発来が関連することが示唆された.
著者
宮上 順志 松橋 一雄 金沢 元美 矢内原 巧 中山 徹也
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.19-26, 1980-01-01

胎生期における胎児消化管生理解明の一助として、消化管ホルモンであるセクレチンを取り上げ,妊娠月数による母体血セクレチン値の推移像,胎児血中濃度と母体血との比較,胎児消化管組織申に於けるセクレチン含量の部位による相異を検した.併せてガストリン濃度についても同様の検討を行なった.I測定方法;1)血中セクレチン値はYanaihara et alの方法(1976)^<20>)によるRIA法,ガストリン値はGastrin-RIAkit(ダイナホット杜)により測定した.2)妊娠5カ月,6カ月中絶例につき胎児組織並びに胎盤組織申のセクレチン及びガストリンはWaterboiling法にて抽出,Sephadex G-25 Columnにてゲル濾過,凍結乾燥後に前記RIA法により測定した.II実験成績1)妊婦血中値 非妊婦・男子を対照としての妊婦124例についての成績では,妊娠により血中セクレチン値は増量し,妊娠末期に最高値248±150pg/mlに達する.ガストリン値は妊娠による変化はみられず平均65.4±36pg/mIであった.2)胎児血中値(i)セクレチン値は膀帯動脈血(UA)と騰帯静脈血(UV)中はそれぞれ460±166pg/ml,424±126pg/mlで胎児血は母体血(分娩時)の値307±158pg/mlに比し有意に高値を示した(p<0.05).(ii)ガストリン値はUA・Uv中でそれぞれ101±63pg/ml,91±38pg/mlで母体血(分晩時)の値67±22pg/mlに比しセクレチンと同様胎児血で有意に高値を示した(P<0.05).3)胎児組織中 immunoreactive Secretinは5カ月では小腸,6カ月では十二指腸に多量に存在し,消化管以外の大脳皮質中にも大量のセクレチンが検出された.immunoreactive Gastrinは胎児でも幽門部から十二指腸にかけて高濃度に存在した.