著者
海谷 治彦 原 賢一郎 小林 亮太郎 長田 晃 海尻 賢二
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.653-661, 2012-02-15

ソフトウェアを含め,ほとんどの工業製品は以前の製品を改訂し開発されている.よって,既存ソフトウェアの改訂を支援することも重要である.革新的なソフトウェア改訂技法や枠組みが提案はされているが,それらを現実の開発に導入することは現状の開発体制の観点から容易でない場合が多い.特にソフトウェアが中心でない製品の場合,その傾向は顕著である.本稿では,ソフトウェアが中心でない製品におけるソフトウェア改訂において,どのように技術導入をすべきかについての調査および試行結果を報告する.初めに我々はソフトウェアが中心でない製品を開発する産業界の協力者の支援をうけ,どのような作業をどのような技術で支援すべきかを調査した.結果,インパクト分析作業が技術的に支援可能であり,情報検索技術(IR)を用いたトレーサビリティ技術で支援することが適切であると判断した.次に協力者から提供があった実開発のデータに対して,当該技術を適用し,協力者とともに問題点や改善点を模索した.結果として,要求変更の特徴づけを支援するための技術文書の索引付け,IRの入力データの改善を支援する機械学習,間接的なインパクトを知るためのソースコード上の静的解析の3つが,IRに基づくトレーサビリティを改善する追加技術として適切であると判断した.我々はこれら3つの技術を追加したインパクト分析支援ツールを試作し,産業界の協力者に評価を依頼し,期待どおりの改善が見込まれることを確認した.Most industrial products are developed based on their former products including software. Revising existing software according to new requirements is thus an important issue. However, innovative techniques for software revision cannot be easily introduced to projects where software is not a central part. In this paper, we report how to explore and apply software engineering techniques to such non-ideal projects to encourage technology transfer to industry. We first show our experiences with industrial partners to explore which tasks could be supported in such projects and which techniques could be applied to such tasks. As a result, we found change impact analysis could be technically supported, and traceability techniques using information retrieval seemed to be suitable for it. We second had preliminary experiences of a method using such techniques with data in industry and evaluated them with our industrial partners. Based on the evaluation, we third improved such a method by using following techniques; indexing of technical documents for characterizing requirements changes, machine learning on source codes for validating predicted traceability and static source code analysis for finding indirect impacts. Our industrial partners finally evaluated the improved method, and they confirmed the improved method worked better than ever.
著者
藤吉 学 磯本 浩晴 白水 和雄 山下 裕一 小畠 敏生 梶原 賢一郎 掛川 暉夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.1116-1120, 1989-05-01
被引用文献数
28

大腸癌卵巣転移の臨床病理学的特徴を明らかにするとともに,予防的卵巣摘除術の適応を明確にする目的で,原発巣切除を受けた女性大腸癌症例309例を対象として検討を行い,以下の結果を得た.1.卵巣転移を5例に認め,全体では5/309(1.6%),閉経前3/61(4.9%),閉経後2/248(0.8%)であった.2.卵巣転移は,深達度a_2,s以上でなおかつリンパ節転移n_2(+)以上の症例に認められた.3.腹膜播種陽性例では,卵巣転移は3/25(12%)と高率であった.以上より予防的卵巣摘除術の適応は,1)明らかに卵巣に異常のあるもの.2)腹膜播種のあるもの.3)明らかな漿膜浸潤や外膜浸潤があり,リンパ節転移高度なものと考えている.
著者
鎌田 東二 梅原 賢一郎 河合 俊雄 島薗 進 黒住 真 船曳 建夫 原田 憲一 藤井 秀雪 中村 利則 小林 昌廣 尾関 幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語の「モノ」には物質的次元、人間的次元、精神的・霊的次元が含意されているという問題認識に基づき、日本文明の創造力の基底をなすその三層一体的な非二元論的思考の持つ創造性と可能性、またその諸技術と表現と世界観をさまざまな角度から学際的に探究し、その研究成果を4冊の研究誌「モノ学・感覚価値研究第1号~第4号」(毎年3月に研究成果報告書として刊行)と論文集『モノ学の冒険』(鎌田東二編、創元社、2009年11月)にまとめて社会発信した。また最終年度には、「物からモノへ~科学・宗教・芸術が切り結ぶモノの気配の生態学展」(京都大学総合博物館)と、モノ学と感覚価値に関する3つの国際ンポジウムを開催した。