著者
原田 和生 黒野 友理香 長澤 沙弥 小田 知佳 那須 雄大 若林 孝俊 杉本 幸裕 松浦 秀幸 村中 聡 平田 收正 岡澤 敦司
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
pp.D17-036, (Released:2017-10-26)
参考文献数
16
被引用文献数
5

根寄生植物は重要農作物に寄生し収量を低下させるため,世界の食糧生産に深刻な被害を及ぼしている.近年,我々は放線菌Streptomyces ficellusの生産するノジリマイシン(NJ)が根寄生植物種子の発芽を阻害することを見出した.本研究ではS. ficellusのNJ生産性向上を目指した培地改良,および未精製培養物の根寄生植物防除剤としての適用可能性について検討した.従来のNJ生産培地に使用されていたPharmamedia™を他の汎用的な培地成分に置換したところ,マリンブロスによりNJ生産量が向上した.4日間培養を行ったところ,培地中のNJ含量は710 mg/Lに達し,従来の17倍まで向上した.得られた培養液を各寄生植物種子に処理したところ,NJ 標準溶液と同等の発芽阻害活性を示した.本研究で示した当該培養法は根寄生植物防除剤生産開発につながると期待される.
著者
蓮沼 誠久 原田 和生 三宅 親弘 福崎 英一郎
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.169-174, 2009-03-31

生体試料に含まれる代謝産物の量的情報をMSやNMRを利用して網羅的に解析する代謝プロファイリング技術は,微量な中間代謝物質を含む多様な化合物の一斉分析を可能にしたが,ここで得られる情報は代謝物質を抽出した時点での蓄積量のスナップショットであった.生体内で代謝物質が動的定常状態にある時,総量は変わらずに一定の同じ速度で分解と合成が行われて入れ替わっており,新規合成される物質の存在比率を知るためには安定同位体を用いたin vivo標識が必須である.代謝プロファイリングと安定同位体標識法の組合せを利用した「動的代謝プロファイリング」は,代謝産物の量的変動を網羅的に観測することを可能にする.植物の環境変化やストレスに対する応答はシステマティックな代謝変動に基づくことが予想され,「動的代謝プロファイリング」はこうした複雑な応答機構の解明に寄与することが期待できる.
著者
高橋 京子 川瀬 雅也 東 由子 廣川 和花 宮久保 圭祐 江口 太郎 原田 和生 村田 路人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

博物学的生薬資料並びに医療文化財に基づくプロファイル情報は、実地臨床使用の根拠を有し、伝統医療の国際化に伴う材料天然物の有効性・安全性・均一性を担保できる標準化インデックスであることを示唆した。江戸・享保期の薬種国産化政策の実践例として育種・栽培されてきた大和芍薬を対象に、網羅的元素分析(メタロミクス解析)とγ線を利用したメスバウワー効果測定法を構築し、原料生薬の品質が漢方薬(当帰芍薬散)の臨床効果に反映することを明らかにした。