著者
畑 直樹 桝田 正治 小林 昭雄 村中 俊哉 岡澤 敦司 村上 賢治
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.93-100, 2011-09-01 (Released:2011-09-01)
参考文献数
63
被引用文献数
1 2

Altered growth habits and leaf injuries occurring under continuous light are comprehensively reviewed for Solanaceae and Cucurbitaceae crops. Continuous light can accelerate growth by providing a high daily light integral, but many species and cultivars develop leaf injuries and abnormal growth. Other environmental factors may alter responses to continuous light.
著者
小川 拓水 岡澤 敦司 太田 大策
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.51-57, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
15

リピドミクスは試料中に含まれる脂質の総体を研究対象とする学問分野である。主要な膜脂質であるグリセロリン脂質は、1 分子のグリセロール骨格に 1 分子の極性頭部と 2 分子の脂肪酸がエステル結合しており、極性頭部の種類によってクラス分類がなされている。その構造多様性をもたらす要因は、極性頭部の種類、2 分子の脂肪酸の種類 (炭素鎖長と不飽和結合数) であるが、それらの組み合わせを考慮した場合、試料中に含まれることが予想される脂質分子種の数は膨大なものとなる。しかし、公共のデータベースに収集されている脂質の実測データは,膨大な数の脂質分子種に対して未だ限定的であり、このことが個々の脂質分子種の同定作業を困難なものにしていた。一方、MS 測定においてそれぞれの脂質クラスに特徴的なイオン開裂反応が起こることが知られていた。そのためリピドミクスでは、計算機上 (インシリコ) で脂質分子種の MS/MS 測定を行って仮想的な MS/MS スペクトルを生成し、それらを参照ライブラリ (インシリコ MS/MS ライブラリ) として利用した脂質同定ツールが開発されてきた。本稿では、これらの脂質同定ツールのリピドミクスへの貢献について概説する。
著者
原田 和生 黒野 友理香 長澤 沙弥 小田 知佳 那須 雄大 若林 孝俊 杉本 幸裕 松浦 秀幸 村中 聡 平田 收正 岡澤 敦司
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
pp.D17-036, (Released:2017-10-26)
参考文献数
16
被引用文献数
5

根寄生植物は重要農作物に寄生し収量を低下させるため,世界の食糧生産に深刻な被害を及ぼしている.近年,我々は放線菌Streptomyces ficellusの生産するノジリマイシン(NJ)が根寄生植物種子の発芽を阻害することを見出した.本研究ではS. ficellusのNJ生産性向上を目指した培地改良,および未精製培養物の根寄生植物防除剤としての適用可能性について検討した.従来のNJ生産培地に使用されていたPharmamedia™を他の汎用的な培地成分に置換したところ,マリンブロスによりNJ生産量が向上した.4日間培養を行ったところ,培地中のNJ含量は710 mg/Lに達し,従来の17倍まで向上した.得られた培養液を各寄生植物種子に処理したところ,NJ 標準溶液と同等の発芽阻害活性を示した.本研究で示した当該培養法は根寄生植物防除剤生産開発につながると期待される.
著者
岡澤 敦司
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

我々は,進化的に光合成能を失った全寄生植物および腐生植物について,その光シグナル伝達経路を光合成を行う植物と比較した場合に,どのような相違点が存在するかを明らかにすることを目的として研究を行っている.その相違点は,これらの植物が光合成能を失ったことに関連する遺伝子の変化によってもたされていると考えられ,この遺伝子の変化を明らかにすることによって,植物の光シグナル伝達経路に重要な情報が得られると期待されるからである.本課題では,特に光シグナル伝達経路の最上流に位置する光受容体,フィトクロムA(PHYA)に着目して研究を行った.三種の寄生植物および一種の腐生植物についてそのcDNAをクローニングし,光合成を行う高等植物との配列比較を行った.その結果,光合成植物では保存されているアミノ酸において残基の置換が観察された.特に,実験室レベルでも栽培が可能であるヤセウツボのフィトクロムA(OmPHYA)についてさらに詳細に研究を行った.その結果,OmPHYAは光合成を行う植物のPHYAと同様に,光によってその発現量ならびに局在が制御されていることが明らかになった.さらに,OmPHYAの機能を調べるために,これをシロイヌナズナのPHYA欠損変異株より調整したプロトプラスト内で一過性に発現させた.このプロトプラストに遠赤色光を照射し,この条件でPHYAによって誘導される遺伝子の発現量を測定した.この結果,OmPHYAは一部の転写因子の発現を誘導出来るが,PHYA二よって誘導される光合成関連の遺伝子の発現を誘導出来ないことが明らかになった.これらの実験によって,光合成能の喪失に伴う,PHYAの機能変化が明らかになり,光シグナル伝達経路の解明に光合成を行わない植物を用いることの有用性が示された.