- 著者
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原田 峻
- 出版者
- 日本NPO学会
- 雑誌
- ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.77-87, 2017 (Released:2018-03-15)
- 参考文献数
- 17
本稿では,NPO法制定過程における立法運動の組織間連携の要因を分析し,NPO法制定以前は異なる分野や団体形態で活動していた市民団体が,なぜ法制定に向けて連携できたのかを明らかにした.まず,阪神・淡路大震災以前は「先行する社会的紐帯」としての1980年代からの分野内・分野間の連携経験と,アメリカ視察等を通した「理念の共有」が,連携を容易にする要因となっていた.法案が国会で議論されるようになると,争点をめぐって分野間の連携に障壁があり,それぞれが独自の運動を展開したが,争点に妥協ができるまで法案が修正されるとともに,衆議院での法案通過という政治的機会,そして参議院での法案通過を前にした連立政権の解消という危機が存在したときに,大きな連携が形成された.NPO法の制定過程そのものが市民団体間の連携を拡大させる契機となっており,その過程で,各分野が抱いている法人制度への理念の相互理解が図られていったと言える.