著者
大畑 裕嗣
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.10-18, 1987 (Released:2022-07-14)

現代の社会運動のリーダーシップは,復活しつつある群集心理学によっても,またマルクス主義組織論によっても十全に把握することはできない.新たな運動リーダーシップ論の礎石を,従来,利益集団論で主として用いられてきた政治的企業家モデルに求め,集合行為の生成に際して政治的企業家がとる戦略的リーダーシップ・モデルの素描を行う.同時に,このモデルの運動論としての射程の限界にもふれる.
著者
大畑 裕嗣
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.406-419,495-494, 1985-03-31
被引用文献数
2 1

本稿の課題は、大都市近郊のニュータウンにおいて生起した住民運動への賃貸集合住宅居住者の参加メカニズムを、近隣交際ネットワークへの統合を参加への肯定的要因として位置づけつつ、解明することにある。「統合仮説」「紐帯数仮説」「中心性仮説」「政治的企業家仮説」と、参加径路についての二つの仮説が提示される。中層住宅においては、「統合」「紐帯数」「中心性」の各仮説は概して検証された。高層住宅においては「紐帯数」「中心性」の各仮説は棄却されたが、この結果の食い違いは「政治的企業家仮説」を補完的に導入することにより解釈が可能なものだった。参加径路については、多様な径路を想定した「複線仮説」が支持された。