著者
廣幡 健二 相澤 純也 古谷 英孝 見供 翔 大見 武弘 大路 駿介 柳下 和慶 Kate E. Webster
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.433-439, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
25

【目的】日本語版ACL-Return to Sport after Injury(以下,ACL-RSI)scale を作成し,表面的妥当性と内的整合性を検討すること。【方法】国際的なガイドラインに準拠して,日本語版ACL-RSI scale の翻訳を行った。翻訳した日本語版ACL-RSI scale を使用して,術後4 ヵ月以上経過したACL 再建術後患者40名を対象に予備テストを実施した。得られたデータを記述的に要約し,天井および床効果の有無とクロンバックのα 係数を確認した。【結果】日本語版ACL-RSI scale の平均回答時間は1分49秒で,無回答率は0.01%未満であった。平均点数は59.3 点で,天井・床効果は認められなかった。クロンバックのα 係数は0.94 であった。【結論】日本語版ACL-RSI scale は表面的妥当性および内的整合性ともに良好であり,実用性の高い質問紙票であると考えられる。
著者
松村 将司 宇佐 英幸 小川 大輔 市川 和奈 畠 昌史 清水 洋治 古谷 英孝 竹井 仁 篠田 瑞生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.239-246, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
31
被引用文献数
1 3

〔目的〕関節可動域(ROM)と筋力に関して,年代間の相違とその性差を検討すること.〔対象〕若年群,中年群,高齢群に分けられた脊柱,下肢に整形外科的既往のない男女141名.〔方法〕ROMと筋力測定は,股,膝,足関節に対して行った.〔結果〕ROMは,多くの項目が男性は中年群,女性は高齢群で著明に低下し,股関節内転,膝関節屈曲,足関節背屈では性差を認めず,股関節外旋のみ男性が有意に大きく,その他の項目は女性で有意に大きい値を示した.筋力は,多くの項目が男女とも中年群で著明に低下し,若年群の股関節伸展・外転・内転,膝関節伸展・屈曲,中年群の膝関節伸展において男性で有意に大きい値を示した.〔結語〕男女それぞれのROM,筋力の加齢による変化の傾向および性差を考慮した理学療法を実施することが重要である.
著者
廣幡 健二 相澤 純也 古谷 英孝 見供 翔 大見 武弘 大路 駿介 柳下 和慶 Kate E. Webster
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11358, (Released:2017-10-27)
参考文献数
25

【目的】日本語版ACL-Return to Sport after Injury(以下,ACL-RSI)scale を作成し,表面的妥当性と内的整合性を検討すること。【方法】国際的なガイドラインに準拠して,日本語版ACL-RSI scale の翻訳を行った。翻訳した日本語版ACL-RSI scale を使用して,術後4 ヵ月以上経過したACL 再建術後患者40名を対象に予備テストを実施した。得られたデータを記述的に要約し,天井および床効果の有無とクロンバックのα 係数を確認した。【結果】日本語版ACL-RSI scale の平均回答時間は1分49秒で,無回答率は0.01%未満であった。平均点数は59.3 点で,天井・床効果は認められなかった。クロンバックのα 係数は0.94 であった。【結論】日本語版ACL-RSI scale は表面的妥当性および内的整合性ともに良好であり,実用性の高い質問紙票であると考えられる。
著者
見供 翔 市川 和奈 宇佐 英幸 小川 大輔 古谷 英孝 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.869-874, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
29
被引用文献数
2

〔目的〕中殿筋各線維間の異なる作用を明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常男性(平均年齢22~34歳)とした.運動課題は30%最大随意収縮の強度での異なる方向への静止性股関節外転運動(1:外転,2:外転+屈曲,3:外転+伸展)とした.運動課題前後の中殿筋各線維の筋厚と筋腱移行部距離は超音波画像から計測し,ぞれぞれの変化率を算出した.〔結果〕筋厚に関して中殿筋前部線維は課題2で,中殿筋後部線維は課題3で有意に高い変化率を示した.筋腱移行部距離変化率は筋厚変化率と同様の結果を示した.〔結語〕中殿筋前部線維は股関節外転作用に加えて屈曲作用を,中殿筋後部線維は伸展作用を有していることが示唆された.
著者
岡﨑 陽海斗 大坂 祐樹 古谷 英孝 山下 耕平 星野 雅洋
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.61-68, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
56

【目的】腰椎固定術後患者の術前体幹筋量が患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome:以下,PRO)の予測要因になるかを検討した。【方法】腰椎変性疾患に対して腰椎固定術を施行した86名を対象とした(平均年齢70.8歳)。術前の体幹筋量,骨格筋量指数(Skeletal Muscle Mass Index:以下,SMI)は,生体インピーダンス分析より算出した。統計解析は,術後のPROを予測する要因を検討するため重回帰分析を行った。従属変数は術後6か月のOswestry Disability Index(以下,術後ODI),腰痛Visual Analogue Scale(以下,術後VAS)とした。独立変数は,従属変数との単回帰分析において有意水準を満たした変数とした。【結果】重回帰分析の結果,術後ODIの要因として,体幹筋量,固定椎間数が抽出された。術後VASの要因として,Body Mass Index(BMI),体幹筋量,固定椎間数が抽出された。【結論】術後ODIや術後VASには,サルコペニアの指標であるSMIではなく体幹筋量が予測要因になる。
著者
廣幡 健二 古谷 英孝 美﨑 定也 佐和田 桂一 杉本 和隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ca0207, 2012

【目的】 近年,人工膝関節置換術後症例の術後活動レベルは高くなり,日常的移動手段として自転車を利用するだけで無く,余暇活動として荒地以外でのサイクリングも許容されている.当院でも術後に自転車を日常移動手段として求め,利用する症例は多いが,その一方で自転車駆動困難な症例も存在する.自家用の自転車やトレーニング用の固定式自転車において駆動時に必要な術肢膝関節可動域については調査されていない.本研究では,人工膝関節置換術患者の自転車エルゴメータ(cycle ergometer;CE)駆動時おける膝関節屈曲角度を駆動条件毎に調査し,自転車駆動動作の可否を決定する一つの判断基準を作成することを目的とした.【方法】 当院にて2011年6月~2011年9月の期間に片側Total Knee Arthroplasty(TKA)または片側Unicompartmental Knee Arthroplasty(UKA)を施行した症例を対象とした.その他整形外科疾患,中枢神経系疾患の既往を有する者は除外した. 測定項目はCE駆動時膝屈曲角度,CE駆動時自覚的快適度,他動的膝ROMとした.CE駆動時膝屈曲角度の測定にはデジタルインクリノメータ(日本メディックス,デュアラーIQ)を用いた.CEのサドルの位置は,乗車時に1)下死点のペダル上に足部を置き膝15°屈曲となる高さ,2) 膝15°屈曲・足関節最大底屈位にて前足部(MP関節より遠位)が床面に接地する高さ,の2段階とした.ペダルに対する足部の位置は,a)下腿長軸延長線上の踵骨とb)MP関節との2段階とした.上記のサドルと足部の位置を変えた4条件[1-a,1-b,2-a,2-b]にて測定を行った.駆動動作において対象には体幹,骨盤帯での代償動作を行わないように指示し,駆動中の膝最大屈曲角度を測定した.代償動作が著明または駆動困難な場合は,測定を中止した.CE駆動時自覚的快適度は各条件において,「不快」~「快適」4段階のリッカート尺度を用いて聴取した.他動的膝屈曲ROMは背臥位にてゴニオメータを用いて測定した.自覚的快適度から対象を快適群と不快群に分け,その2群の基本属性と各測定項目に対し記述的統計処理を行った.また他動的膝屈曲ROMに対するCE駆動時膝屈曲角度を%ROM(CE駆動時膝屈曲角度/他動的膝屈曲ROM*100)として算出した.【倫理的配慮、説明と同意】 倫理的配慮として,東京都理学療法士会の倫理審査委員会に倫理審査申請書を提出し承認を得た(承認番号:11東理倫第1号).対象者には事前に研究の趣旨を説明し,同意を得た.【結果】 対象は16名(男性4名,女性12名,平均年齢72.4歳,平均術後経過日数58.6日)で,術式はTKA7名,UKA9名であった.全対象の術肢膝屈曲ROMは平均118±10°であった.各条件における測定可能人数とCE駆動時膝屈曲角度は1-a)で16名,79±5°,1-b)14名,90±1°,2-a)13名,91±7°,2-b)10名,104±5°であった.各条件における快適群の人数と,その対象の術側他動的膝屈曲ROM [平均±標準偏差(最小値)]は1-a)で15名,119±10°(105°)であり,1-b)13名,120±9°(110°),2-a)12名,122±8°(110°)で2-b)では快適群2名,不快群8名であり,快適群で133±4°(130°),不快群で119±7°(110°)であった.%ROMは条件1-a),1-b),2-a)の快適群では順に66%,75%,75%であり, 2-b)において快適に駆動できた対象は78%,不快群では87%と高値を示した.【考察】 今回の4つの測定条件では1-a),1-b),2-a),2-b)の順でCE駆動時膝屈曲角度は増加していた.算出した%ROMが75%程度であれば快適にCE駆動が可能であり,90%近くなると不快であった.自転車利用を検討するには,他動的膝屈曲ROMだけでなく,機能的な駆動時の膝屈曲可能ROMを考慮する必要が考えられ,これについては今後も検討が必要である.自転車利用においてサドル高は「両足が地面につく高さ」が推奨されており,今回の結果では条件2-a)にあたる駆動環境が安全性と快適性に優れているのではないかと考えられる.自転車利用困難なTKA,UKA術後患者に対し安全な自転車駆動を達成させるためには,過度なサドル高の調整だけでなく,足部の位置に対する指導も膝関節機能を補う有効な生活指導となると考えられる.【理学療法学研究としての意義】 人工膝関節術後の症例に対し,適切な自転車駆動方法を指導することは,術後QOLや患者満足度の向上につながると考える.