著者
安彦 鉄平 島村 亮太 安彦 陽子 相馬 正之 小川 大輔 新藤 恵一郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.935-938, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
19

〔目的〕体幹と骨盤の動きを必要とする座位に着目し,骨盤の傾斜角度の違いが背筋群の筋活動に与える影響を検討した。〔対象〕腰痛の既往のない健常成人男性10名。〔方法〕測定肢位を骨盤軽度後傾位(以下後傾位)と骨盤軽度前傾位(以下前傾位)とし,課題を安静座位と腹部引き込み運動とし,肢位と課題の組み合わせの4条件下での腰部脊柱起立筋と腰部多裂筋の筋電図を導出した。課題間の比較は,一元配置分散分析後,多重比較検定を実施した。〔結果〕安静座位と腹部引き込み運動の課題において,多裂筋の筋活動は後傾位に対し前傾位で有意に増加したが,脊柱起立筋の筋活動に有意な差はなかった。これは骨盤前傾作用として多裂筋の筋活動が増加したと考える。〔結語〕前傾位は脊柱起立筋の筋活動を有意に増大することなく,選択的に多裂筋の筋活動を高めることができる姿勢と考える。
著者
高野 真理子 小川 大輔 重松 照伸 藤井 総一郎 早川 信彦 岡崎 守宏
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.519-522, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
21

症例は72歳男性.アルコール性肝硬変と糖尿病の既往があり,認知症のため近医に入院し,クエチアピン100 mg/日の投与が開始された.投与開始約5カ月後に発熱が出現し,血糖666 mg/dl, HbA1c 14.0%, CRP 37.0 mg/dlと高値の上,尿中ケトン体が陽性のため,当院へ搬送された.受診時動脈血ガスでpH 7.12と低下しており,また,胸部X線写真にて肺炎像を認め,糖尿病性ケトアシドーシスおよび肺炎と診断され,入院となった.入院後はクエチアピン内服を中止とし,輸液とインスリン,抗生剤投与にて加療した.徐々に状態は改善し,血糖に関してはコントロール良好となり,最終的にインスリンを離脱することができた.クエチアピンは血糖値を上昇させる副作用があり,まれに糖尿病性昏睡や糖尿病性ケトアシドーシスを来たすことが報告されている.クエチアピンを投与する際は,定期的に血糖を測定し,これらの重篤な副作用を未然に防止することが重要である.
著者
松村 将司 宇佐 英幸 小川 大輔 市川 和奈 畠 昌史 清水 洋治 古谷 英孝 竹井 仁 篠田 瑞生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.239-246, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
31
被引用文献数
1 3

〔目的〕関節可動域(ROM)と筋力に関して,年代間の相違とその性差を検討すること.〔対象〕若年群,中年群,高齢群に分けられた脊柱,下肢に整形外科的既往のない男女141名.〔方法〕ROMと筋力測定は,股,膝,足関節に対して行った.〔結果〕ROMは,多くの項目が男性は中年群,女性は高齢群で著明に低下し,股関節内転,膝関節屈曲,足関節背屈では性差を認めず,股関節外旋のみ男性が有意に大きく,その他の項目は女性で有意に大きい値を示した.筋力は,多くの項目が男女とも中年群で著明に低下し,若年群の股関節伸展・外転・内転,膝関節伸展・屈曲,中年群の膝関節伸展において男性で有意に大きい値を示した.〔結語〕男女それぞれのROM,筋力の加齢による変化の傾向および性差を考慮した理学療法を実施することが重要である.
著者
小川 大輔 中嶋 信美 玉置 雅紀 青野 光子 久保 明弘 鎌田 博 佐治 光
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.41-50, 2005-03-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
47
被引用文献数
2

オゾンは光化学オキシダントの主要成分で強い酸化力を持ち, 農作物や樹木を枯らす等の被害をもたらしている。一過的に0.2ppm以上の高濃度のオゾンにさらされた植物の葉では, 可視的な障害が発生する。その可視障害は, オゾン暴露後に合成される植物ホルモン (エチレン, サリチル酸, ジャスモン酸) によって調節されていると考えられている。植物ホルモンは, 植物の成長分化, あるいはストレス応答に重要な物質で, 多岐にわたる反応を誘導する。近年, 遺伝子組換え技術によって植物の形態や生理機能を内在的に変化させた形質転換体を用いた解析や, シロイヌナズナの植物ホルモンの合成, シグナル伝達欠損変異体を用いた解析から, オゾン暴露時の植物ホルモンの役割が明らかにされはじめている。本総説では, エチレン, サリチル酸, ジャスモン酸がどのように合成され, どのような反応, シグナルを誘導するのかを紹介した。
著者
見供 翔 市川 和奈 宇佐 英幸 小川 大輔 古谷 英孝 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.869-874, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
29
被引用文献数
2

〔目的〕中殿筋各線維間の異なる作用を明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常男性(平均年齢22~34歳)とした.運動課題は30%最大随意収縮の強度での異なる方向への静止性股関節外転運動(1:外転,2:外転+屈曲,3:外転+伸展)とした.運動課題前後の中殿筋各線維の筋厚と筋腱移行部距離は超音波画像から計測し,ぞれぞれの変化率を算出した.〔結果〕筋厚に関して中殿筋前部線維は課題2で,中殿筋後部線維は課題3で有意に高い変化率を示した.筋腱移行部距離変化率は筋厚変化率と同様の結果を示した.〔結語〕中殿筋前部線維は股関節外転作用に加えて屈曲作用を,中殿筋後部線維は伸展作用を有していることが示唆された.
著者
伊左治 俊策 吉永 直子 寺石 政義 小川 大輔 加藤 悦子 奥本 裕 土生 芳樹 森 直樹
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
pp.D18-036, (Released:2018-08-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1 10

イネ(Oryza sativa)は干ばつで枯死するとその後に給水しても復活することはないが,酢酸水溶液を与えたイネは,乾燥ストレスで一度地上部が枯れながらも,再給水すると新たに地上部を伸長させる特異な乾燥耐性を獲得する.処理中の酢酸代謝を解明するために,13Cで標識した酢酸をイネに処理し,LC-MS及び13C-NMRで13C標識された酢酸代謝物を追跡した.根抽出物のLC-MS及び13C-NMRの分析結果から,処理された酢酸はイネ体内に取り込まれ,グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)によってγ-アミノ酪酸(GABA)に代謝されると示唆された.酢酸処理したイネのGABA蓄積量を調べると,根に続いて地上部でGABAが蓄積され,また地上部のGABA蓄積量に比例して乾燥ストレスに対する生存率が増加した.以上から,地上部のGABA蓄積が酢酸によるイネの乾燥耐性に寄与する可能性がある.
著者
清水 洋治 須永 遼司 宇佐 英幸 市川 和奈 小川 大輔 畠 昌史 松村 将司 竹井 仁
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.200-209, 2016 (Released:2018-09-26)
参考文献数
18

本研究の目的は,条件の異なるスクワット動作遂行中における下肢関節角度の関係と下肢関節間の運動比率の存在,筋活動量の特性を明らかにすることとした。対象は,健常成人男性8 名とした。運動課題は,足圧中心の3 つの異なる条件(1:中間位,2:前方位,3:後方位)での両脚スクワット動作とした。結果,3 条件とも股関節角度に対する膝・足関節角度の関係は,直線回帰式で示せた。股関節角度を基準とした膝・足関節角度の運動比率(膝/股比,足/股比)は,3 条件とも一定に推移したがその値は条件間で異なり,条件1・2 ではそれぞれ1.1,0.4,条件3 では0.9,0.2 となった。筋活動量は3 条件とも,大腿直筋,内側広筋,外側広筋,前脛骨筋の活動が動作開始から終了にかけて有 意に増加した。前脛骨筋のみ動作間の違いがあり,条件2,1,3 の順で有意に活動量が多かった。本研究より,スクワット動作では下肢関節間に一定の運動比率が存在したが,その値は足圧中心位置により異なり中間・前方位より後方位で小さいことが示された。
著者
宇佐 英幸 竹井 仁 畠 昌史 小川 大輔 市川 和奈 松村 将司 妹尾 淳史 渡邉 修
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.155-164, 2011-12-25

健常者24名(男女各12名)を対象に(平均年齢:男性21.3歳女性20.6歳),大腿・骨盤の動きと仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを,腹臥位と腹臥位・膝関節伸展位での股関節5・10・15°伸展位,15°伸展位から10・20N・mの伸展方向への加重を大腿遠位部に加えた肢位の6肢位で撮像したMRI(Magnetic Resonance Imaging: 磁気共鳴画像)を用いて解析した。結果,男女とも,股関節伸展角度の増加に伴って,大腿は骨盤に対して伸展し,骨盤は前傾した。股関節非伸展側の仙腸関節では前屈,第3/4・4/5腰椎椎間関節と腰仙関節では伸展の動きが生じた。しかし,第3/4腰椎椎間関節を除く各部位の動きは,10N・m加重時と20N・m加重時の間では女性だけにみられた。これらの結果から,他動的一側股関節伸展時の腰椎骨盤-股関節複合体を構成する関節の正常な動きが明らかになった。
著者
松村 将司 宇佐 英幸 小川 大輔 市川 和奈 畠 昌史 見供 翔 竹井 仁
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100760-48100760, 2013

【はじめに】アライメントは理学療法を行っていくうえで必ず評価するものだが、その基礎となるデータを包括的に示した研究は少なく、特に日本人を対象として年代別に調べたものはない。そこで今回、骨盤と下肢アライメントの年代比較と性差を分析した。【方法】被験者は20-79歳の健常成人141名(男68名、女73名)とし、A群:20-30歳代(男25名、女25名)、B群:40-50歳代(男21名、女25名)、C群:60-70歳代(男22名、女23名)の3群に分けた。平均年齢はA群:男26.6歳、女27.8歳、B群:男49.1歳、女50.3歳、C群:男69.9歳、女69.6歳であった。立位アライメントの測定は、一眼レフカメラ(Canon EOS Kiss X4)を用い正面像、側面像を撮影した。画像解析にはシルエット計測(Medic Engineering社)を用い、矢状面:骨盤前傾角度・膝伸展角度、前額面:骨盤傾斜角度・大腿脛骨角度(以下、FTA)・大腿四頭筋角度(以下、Q-angle)の解析を行った。navicular drop test(以下、NDT)は計測器を作成し測定した。立位での踵骨角度、腹臥位での大腿骨前捻角の測定はゴニオメーターで行った。分析には、各年代の男女それぞれにおいて左右の測定値に有意差がないことを確認し左右の平均値を用いた。結果は、二元配置分散分析と多重比較検定(Bonferroni法)で処理し、有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は研究安全倫理委員会の承認を得た上で、被験者には事前に研究趣旨と方法について説明した後、書面での同意を得て実験を行った。【結果】括弧内に平均値を、性差は男:女の順に示す。骨盤前傾角度とFTAは交互作用を認め、年代と性別に主効果を認めた。骨盤前傾角度は男性には年代差はなく、女性においてA群(17.5°)とB群(17.7°)がC群(13.7°)より有意に大きく、性差はA群(14.2°:17.5°)とB群(13.6°:17.7°)で女性が有意に大きかった。FTAは、男性には年代差はなく、女性においてC群(176.5°)がA群(174.5°)とB群(173.4°)より有意に大きく、性差はA群(178.1°:174.5°)とB群(176.7°:173.4°)において男性が有意に大きかった。以下の項目は交互作用を認めなかった。前捻角、Q-angle、膝伸展角度については、年代と性別に主効果を認めた。それぞれ、A群(10.6°、17.8°、180.8°)とB群(11.0°、19.0°、179.8°)がC群(8.3°、14.8°、176.5°)より有意に大きく、性差は女性が有意に大きかった(7.5°:12.3°、15.2°:19.1°、177.4°:180.7°)。NDTは性別に主効果を認め、男性が有意に大きかった(9.2mm:8.2mm)。骨盤傾斜角度、踵骨角度は有意差を認めなかった。【考察】年代比較の結果から、男性には年代による差がみられず、女性では60-70歳代に骨盤前傾角度が小さくなり、FTAが大きくなった。また、前捻角、Q-angle、膝伸展角度については男女含めた全体の平均として60-70歳代に小さくなっている。前捻角が小さいと股関節が外旋し、運動連鎖としてQ-angleは小さくなるため、以上の結果から、健常成人は60-70歳代に膝内反・屈曲傾向が強まり、特に女性では骨盤後傾と膝内反が強まることが示された。次に性差をみると、A群とB群において骨盤前傾角度は女性が、FTAは男性が大きく、C群では有意差を認めなかった。また、前捻角、Q-angle、膝伸展角度については、従来から言われている通り女性のほうが大きい結果を示した。そして、足部の回内程度を表すNDTは、男性のほうが大きい値であった。これらから、性差を比較すると男性は股関節外旋、膝内反・屈曲、足部回内位、女性は股関節内旋、膝外反・伸展位となっており、年代比較と同様、60-70歳代に女性の骨盤後傾、膝内反が強まることで、それ以前に存在した男女差がなくなったと考える。以上から、健常成人の場合、男性のみでは年代によって変化は現れないが、女性では60-70歳代に変化が現れることがわかった。特に骨盤前傾角度とFTAについては、女性特有の変化として注目する必要があると考える。また、男女含めた健常成人では股・膝関節に関連する項目が60-70歳代に変化しており、この年代がアライメントに変化が生じ始める重要な年代であると考える。【理学療法学研究としての意義】日本人における年代別間の骨盤と下肢アライメントを網羅して比較したデータはなく、健常成人における基礎データとなると考える。
著者
小川 大輔 古屋 挙幸 藤岡 唯志 宮本 芳城
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
雑誌
和歌山県農林水産総合技術センター研究報告 (ISSN:13455028)
巻号頁・発行日
no.13, pp.15-23, 2012-03

紀州ファインルビー'を種子親として,スターチス・シヌアータ新品種'紀州ファインバイオレット'および'紀州ファイングレープ'を育成した。両品種の特性は次のとおりである。'紀州ファインバイオレット' 1. がくの色は'デュエルバイオレット'と同等の濃い青紫色である。 2. 初期の切花長がやや短いが,収量性が高く,草姿は立性で作業性がよい。 3. 低温要求性は比較的高く,培養温度によっては3~4週間の低温処理が必要である。 '紀州ファイングレープ' 1. がくの色は'紀州ファインバイオレット'よりやや赤みを帯びた紫色である。 2. 草丈が伸びやすく,採花初期から秀品率が高い。また,収量性も高い。 3. 低温要求性は比較的高く,培養温度によっては3~4週間の低温処理が必要である。
著者
宇佐 英幸 竹井 仁 畠 昌史 小川 大輔 市川 和奈 松村 将司 妹尾 淳史 渡邉 修
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.155-164, 2011-12-25

健常者24名(男女各12名)を対象に(平均年齢:男性21.3歳,女性20.6歳),大腿・骨盤の動きと仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを,腹臥位と腹臥位・膝関節伸展位での股関節5・10・15°伸展位,15°伸展位から10・20N・mの伸展方向への加重を大腿遠位部に加えた肢位の6肢位で撮像したMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて解析した。結果,男女とも,股関節伸展角度の増加に伴って,大腿は骨盤に対して伸展し,骨盤は前傾した。股関節非伸展側の仙腸関節では前屈,第3/4・4/5腰椎椎間関節と腰仙関節では伸展の動きが生じた。しかし,第3/4腰椎椎間関節を除く各部位の動きは,10N・m加重時と20N・m加重時の間では女性だけにみられた。これらの結果から,他動的一側股関節伸展時の腰椎骨盤-股関節複合体を構成する関節の正常な動きが明らかになった。
著者
槇野 博史 和田 淳 小川 大輔
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

糖尿病性腎症の病態の初期には細胞肥大が重要であり、その後慢性炎症が糖尿病性腎症の進展を促進させている。核内受容体のmodulatorはこれらの病態を総合的に改善する薬剤の候補である。Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)-δアゴニストおよびLiver X receptor (LXR)アゴニストは抗炎症作用によって治療効果を発揮し、Retinoid X receptor (RXR)アンタゴニストは主として細胞周期の異常を是正して細胞肥大を抑制することが判明した。核内受容体のmodulatorは糖尿病性腎症に有効であると考えられる。