著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.67-72, 2018-10-31 (Released:2019-01-26)
参考文献数
11

本研究は,大学アメリカンフットボール選手の可動性不良群38名と可動性良好群14名を対象とし,可動性の改善を目的としたエクササイズを週3回,12週間実施した.可動性不良群において,Functional Movement Screen(FMS)のスコアは,合計スコアとDeep Squat(DS),Shoulder Mobility Reaching(SMR),Active Straight Leg Raising (ASLR)に12週時点で有意な改善が認められた.SMRとASLRは可動性が必要な動作であり,本研究で実施したエクササイズにより,可動性の項目だけでなく複雑な動作パターンであるDSの改善にも寄与することが示唆された.
著者
廣幡 健二 相澤 純也 古谷 英孝 見供 翔 大見 武弘 大路 駿介 柳下 和慶 Kate E. Webster
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.433-439, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
25

【目的】日本語版ACL-Return to Sport after Injury(以下,ACL-RSI)scale を作成し,表面的妥当性と内的整合性を検討すること。【方法】国際的なガイドラインに準拠して,日本語版ACL-RSI scale の翻訳を行った。翻訳した日本語版ACL-RSI scale を使用して,術後4 ヵ月以上経過したACL 再建術後患者40名を対象に予備テストを実施した。得られたデータを記述的に要約し,天井および床効果の有無とクロンバックのα 係数を確認した。【結果】日本語版ACL-RSI scale の平均回答時間は1分49秒で,無回答率は0.01%未満であった。平均点数は59.3 点で,天井・床効果は認められなかった。クロンバックのα 係数は0.94 であった。【結論】日本語版ACL-RSI scale は表面的妥当性および内的整合性ともに良好であり,実用性の高い質問紙票であると考えられる。
著者
廣幡 健二 相澤 純也 古谷 英孝 見供 翔 大見 武弘 大路 駿介 柳下 和慶 Kate E. Webster
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11358, (Released:2017-10-27)
参考文献数
25

【目的】日本語版ACL-Return to Sport after Injury(以下,ACL-RSI)scale を作成し,表面的妥当性と内的整合性を検討すること。【方法】国際的なガイドラインに準拠して,日本語版ACL-RSI scale の翻訳を行った。翻訳した日本語版ACL-RSI scale を使用して,術後4 ヵ月以上経過したACL 再建術後患者40名を対象に予備テストを実施した。得られたデータを記述的に要約し,天井および床効果の有無とクロンバックのα 係数を確認した。【結果】日本語版ACL-RSI scale の平均回答時間は1分49秒で,無回答率は0.01%未満であった。平均点数は59.3 点で,天井・床効果は認められなかった。クロンバックのα 係数は0.94 であった。【結論】日本語版ACL-RSI scale は表面的妥当性および内的整合性ともに良好であり,実用性の高い質問紙票であると考えられる。
著者
相澤 純也 小山 貴之 塩田 琴美 高梨 晃 磯崎 弘司
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】人工股関節全置換術(以下、THA)後の爪切り動作では術後合併症である脱臼の回避と、足先の目視が必要であり、代償的な動作が限定されるため、動作獲得には良好な股関節可動域(以下、ROM)が不可欠となる。動作獲得に向けた効果的な介入には、客観的なROM評価と、動作自立に要するROMの詳細情報が重要な根拠となる。本研究目的は、THA後の爪切り動作自立に要するROMの一水準を得ることである。<BR>【対象と方法】対象はTHA後患者34名の48下肢、年齢64.3±10.5歳、身長152.9±6.3cm、BMI23.0±4.2kg/m<SUP>2</SUP>であった。原因疾患は変形性股関節症46肢、大腿骨頭壊死2肢であった。手術アプローチは後外側が44肢、前外側が4肢であった。ROMは、同一検者が日本リハビリテーション医学会・日本整形外科学会制定法に従い、東大型角度計(TTM-KO)を使用して測定した。測定項目は股関節屈曲、外転、外旋角度とし、無作為順に測定した。対象動作は坐位、膝関節屈曲位で、単純股関節屈曲位もしくは、股関節屈曲・外転・外旋位での爪切り動作とした。動作自立度の判定は、検者による動作観察と、被験者の主観的評価によりa.不可能、b.かろうじて可能、c.容易に可能、の3段階で行った。統計学的分析は、群別に各データの平均値及び標準偏差を算出した後、一要因分散分析及び多重比較(LSD法)を用いて、群間での各データの有意差をみた(5%水準)。<BR>【結果】年齢、身長、BMIに群間での有意差は認めなかった。各群(N:a群12、b群21、c群15)の角度平均値及び標準偏差は、屈曲a群72.3±11.8、b群88.3±13.2、c群96.2±12.0度、外転a群7.7±9.1、b群10.6±6.0、c群15.4±5.3度、外旋a群14.8±8.4、b群21.4±8.5、c群20.8±10.1度、屈曲+外転+外旋a群94.7±24.8、b群120.4±19.2、c群132.4±17.4度であった。a群と比較して、b群において屈曲、外旋、屈曲+外転+外旋が有意に高値を示し、c群においては屈曲、外転、屈曲+外転+外旋が有意に高値を示した。b群とc群の比較では、c群で外転のみ有意に高値を示した。<BR>【考察】THA後の爪切り動作の自立には屈曲と外旋のROM増大が特に重要であると示唆され、容易な動作遂行に要するROMとしてc群の角度データが一水準になると考えられた。また、b群と比較し、c群での外転が有意に高値を示したことから、安楽な動作遂行には外転ROMの増大が重要になると考えられた。爪切り動作のような足部へのリーチ動作において、多軸関節である股関節では、屈曲、外転、外旋各々のROM不足を相互に代償しうる特性を持つことから、3つの角度の総和も動作自立に要するROMの一指標になりうると考えられた。<BR>
著者
中丸 宏二 相澤 純也 小山 貴之 新田 收
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.414-420, 2014-12-20 (Released:2017-06-13)
被引用文献数
2

【目的】日本語版Lower Extremity Functional Scale(以下,LEFS)の信頼性・妥当性・反応性を検討する。【方法】対象は下肢症状を訴える外来患者112名とした。初回に日本語版LEFSとThe Short Form Health Survey(SF-36),1週間後と4週間後にThe patient's global impression of change(以下,PGIC)と日本語版LEFSに回答してもらった。内的整合性を見るためにクロンバックα係数を算出し,再現性は1週間後に安定群を対象に級内相関係数(intraclass correlation coefficient:以下,ICC)を算出した。収束的妥当性は日本語版LEFSとSF-36の下位尺度との相関をPearsonの相関係数を用いて検討した。反応性は,4週間後の安定群と改善群における日本語版LEFSの点数変化を対応のないt検定で検討し,最小可検変化量(minimal detectable change:以下,MDC)を算出した。【結果】クロンバックα係数は0.96,ICCは0.92であった。収束的妥当性は身体機能にかなり強い相関(r=0.75)が認められた。反応性は4週間後における安定群と改善群に有意な差が認められた(p=0.02)。MDCは8.14点であった。【結論】外来患者における日本語版LEFSの高い信頼性,妥当性,反応性が認められた。
著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也 新田 收
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101210, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】アメリカンフットボールでは頭頸部外傷が高率に発生するが、その多くがタックルやブロックの際の衝突によるものであり、頸部周囲筋の筋力強化やタックル・ブロックの技術向上、防具の使用などが予防的に勧められている。頭頸部外傷のなかでも、脳震盪や重症頭部外傷を除くと、頸椎捻挫とバーナー症候群がその代表的な外傷として挙げられる。これらは発症しても練習や試合参加を中止する選手が少なく、頸部障害を有しながらも競技を続けている場合が多い。そのため、練習を中止しリハビリテーション期間をとることが少なく、メディカルスタッフによる医学的管理が不十分になりやすい。頸椎捻挫またはバーナー症候群によってどの程度の頸部障害を有し、競技に支障を来たしているかを知ることは、アメリカンフットボールにおいて外傷管理をするうえで極めて重要であるが、競技シーズン中の頸部障害の程度に関する報告は少ない。そこで本研究は、頸部既往によって主観的アウトカムにどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は大学アメリカンフットボール選手109名とした。選手は秋季シーズン終了時点で自己記入式の質問紙票に回答した。質問紙票は、秋季シーズン前の合宿開始時点からシーズン終了までの間、1)ヒットなどで首に強い痛みが出たか、またはその後首の最終可動域で痛みが出たか、2)ヒットなどで肩から腕に電気が走るようなしびれや脱力感が生じたか、についての有無を回答し、1)を頸椎捻挫、2)をバーナー症候群の症状としてそれぞれ扱った。1)2)について経験ありと回答した者に対して、痛みの程度、競技能力への影響、フルコンタクト時の恐怖感について、それぞれ痛みが出現していた時期における程度を100mm visual analog scaleで回答し、1)2)を理由とした練習中止の有無を回答した。また頸部障害の程度を知るために、日本語版Neck Disability Index(NDI-J)を回答させ、50点満点に換算した。分析は、回答者を既往の有無から頸椎捻挫のみの発症(頸椎捻挫群)、バーナー症候群のみの発症(バーナー症候群)、頸椎捻挫・バーナー症候群の合併(合併群)の3群に分類し、痛み、競技能力への影響、恐怖感はBonferroni法による多重比較検定、NDI-JスコアはBonferroni法の不等式を用いたMan-Whitney検定により、各群間差の比較を行った。【倫理的配慮、説明と同意】研究調査目的と内容および個人情報保護に関する説明文を質問紙票とともに配布し、同意の得られた選手のみ回収した。質問紙票には匿名で記入させ、配布・回収は研究代表者以外の者が行った。【結果】自己記入式質問紙票は122名に配布し、109名から回収した(回収率89.3%)。109名中、頸椎捻挫群が8名、バーナー症候群が21名、合併群が17名おり、計46名(全体の42.2%)がいずれかの症状を経験していた。練習を中止した選手は、合併群の2名(4.3%)のみであった。各項目の記述統計値は、頸椎捻挫・バーナー症候群・合併群の順に、痛みの平均値(標準偏差)が56.0(28.5)mm・55.4(18.2)mm・65.8(19.8)mm、競技能力への影響が24.8(26.0)mm・35.9(22.0)mm・48.4(32.0)mm、恐怖感が38.0(34.6)mm・56.9(24.5)mm・60.7(32.8)mm、NDI-Jの中央値は3.3・1.1・5.6だった。各群間差は、痛み・競技能力への影響・恐怖感には有意差を認めず、NDI-Jは合併群がバーナー症候群よりも有意に高かった。【考察】質問紙票による頸部既往の調査の結果、約4割の選手がシーズン中に発症しており、うち練習を中止した選手は46名中2名とわずかであった。また痛みや恐怖感は中等度の訴えがあった。高い発症率であるのに加えて、ほとんどの選手が中等度の痛みや恐怖感を抱えながら競技をそのまま継続していることが分かった。NDI-Jは日常生活活動の10項目における症状の程度から頸部障害を把握するための評価であり、5点以上で軽度の頸部障害とされる。今回の結果では、3群間に痛みの程度で差は認めなかったが、NDI-Jスコアは合併群がバーナー症候群よりも有意に高かったことから、頸部既往に伴う症状の把握には痛みの評価だけでなくNDI-Jを用いることの有用性が示唆された。また、頸椎捻挫とバーナー症候群を合併することでNDI-Jの中央値が軽度障害のレベルとなることから、合併した選手に対してはさらに重点的なリハビリテーションが必要であることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】頸椎捻挫およびバーナー症候群は発症率が高いうえに競技を中止することが極めて少なく、合併すると日常生活活動上の頸部障害も引き起こしていた。これらの結果は、一般的に練習や試合を1日以上中止した場合に記録される傷害統計には反映されないため、継続的に調査することで外傷の管理およびその予防の観点から重要な示唆を得ることができる。
著者
塩田 琴美 細田 昌孝 高梨 晃 松田 雅弘 宮島 恵樹 相澤 純也 池田 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.817-821, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

[目的]本研究は,静的・動的なバランス能力と筋力の相関性および静的・動的バランステストの特異性について,検討することを目的として行った。[対象]対象者は21名(21-82歳)であった。方法:はじめに,静的バランス能力として,開眼および閉眼での30秒間の静止立位での重心動揺面積を測定した。次に,動的バランス能力として,Equi-testを用いてAdaptation testを施行した。更に,筋力テストとして,膝関節伸展筋力,足関節底屈および背屈筋力を測定し,静的・動的バランス能力との相関関係を明らかにした。[結果]今回の研究結果から,静止立位での重心動揺面積と筋力には相関は認められなかった。一方で,動的バランス能力と筋力においては,有意な相関関係が認められた(p<0.05)。[結語]これらの結果より,静止立位で重心動揺面積などを単に測定することは,姿勢定位のみに対する評価であり,対象者の動作課題に対する身体能力を反映しえないと考えられた。しかしながら,動的バランス能力の測定は,下肢筋力などと相関が高く,日常生活に即した有用な姿勢制御の安定性の評価となりえると考えられた。
著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也 新田 収
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】近年,アスリートに対する動作スクリーニングとしてFunctional Movement Screen(FMS)が用いられている。FMSは7つの動作(ディープスクワット;DS,ハードルステップ;HS,インラインランジ;IL,ショルダーモビリティリーチング;SMR,アクティブストレートレッグレイジング;SLR,トランクスタビリティプッシュアップ;TSP,ロータリースタビリティ;RS)からなり,定義された動作指示のもとに各動作を行い,0~3点(21点満点)で点数付けされる。FMSが14点以下の場合に重症外傷の頻度が有意に高くなるとの報告から,外傷予防の観点でシーズン前にFMSを実施する意義は高い。加えて,FMSの各動作のスコアから課題を探り,修正のためのエクササイズを重点的に実施することで,外傷を予防できる可能性がある。本研究は,可動性に焦点を当てたコレクティブエクササイズの実施がFMSのスコアに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】対象は大学アメリカンフットボール選手95名とした。学年は1年生が39名,2年生が23名,3年生が18名,4年生が15名,ポジションはOLが13名,QBが3名,WRが23名,RBが10,DLが12名,LBが14名,DBが20名だった。オフシーズン期である2016年2~3月にベースラインのFMSを測定し,4月から12週間,コレクティブエクササイズを週3回実施した後,終了時のFMSを再測定した。この間,怪我等で練習を一定期間中止した選手は除外した。FMSの点数付けは,FMS level 1のライセンスを持つ理学療法士から十分な指導を受けたスタッフが理学療法士の監視のもと行った。ベースライン測定の結果から,可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズのプログラムを作成し,選手への点数のフィードバックとともに実技指導した。統計学的分析は,FMSの総合スコアと各動作スコアについてベースライン時と終了時の差を比較するため,Wilcoxonの符号付順位検定を行った。有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】各スコアの中央値(四分位範囲)は,ベースライン時・終了時の順に総合スコアが15(14-16)・16(15-17),DSが2(2-2)・2(2-3),HSが2(2-2)・2(2-2),ILが2(2-3)・2(2-3),SMRが3(2-3)・3(2-3),SLRが3(2-3)・3(2-3),TSPが2(2-3)・2(2-3),RSが2(2-2)・2(2-2)だった。検定の結果,総合スコアとDS,SMR,SLR,TSPにおいてベースライン時よりも終了時のスコアが有意に高かった。</p><p></p><p>【結論】コレクティブエクササイズの実施により,12週間でFMSスコアの改善が認められた。FMSの各動作は相互の影響があり,可動性の低下はDSやHSのスコア低下につながることが多い。本研究では可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズを実施したことで,可動性を主な要素とするSMRやSLRだけでなく,DSやTSPの改善にもつながったと考えられる。</p>