著者
山本 雅史 福田 麻由子 古賀 孝徳 久保 達也 冨永 茂人
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-12, 2010 (Released:2010-01-26)
参考文献数
28
被引用文献数
8 9

奄美大島の東側に位置する喜界島特産の在来カンキツであるケラジミカン(C. keraji hort. ex Tanaka)の来歴について検討した.Inter Simple Sequence Repeat(ISSR)分析において,多型が認められたバンドを用いて共有バンド率を算出した.ケラジミカンはクネンボ(C. nobilis Lour.)と最も共有バンド率が高く(0.823),次いでキカイミカン(C. keraji hort. ex Tanaka)との共有バンド率が高かった(0.688).ケラジミカンに認められた16本のバンドはすべてキカイミカンまたはクネンボにも出現した.この3者間でケラジミカンのみに出現する独自のバンドは無かった.この結果から,ケラジミカンがクネンボとキカイミカンとの交雑種である可能性は否定できなかった.葉緑体DNA分析においてはケラジミカン,クネンボおよびキカイミカンは常に同一のバンドパターンを示し,識別できなかった.いずれも自家不和合性であるケラジミカン,キカイミカンおよびクネンボ間の交雑では,ケラジミカンとキカイミカンの正逆交雑において不和合関係が認められ,両者の不和合性に関する遺伝子型が一致することが確認できた.この両者はクネンボとは交雑和合性であった.クネンボとキカイミカンがケラジミカンの親であると仮定した場合,キカイミカンが花粉親の場合に,ケラジミカンはキカイミカンと不和合性になる.以上から,ケラジミカンはクネンボを種子親,キカイミカンを花粉親として発生した可能性があることがわかった.
著者
松山 友美 笹ヶ迫 直一 小池 明広 松浦 理城 古賀 孝臣 川尻 真知 大八木 保政 岩城 徹 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.249-254, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
21
被引用文献数
15 14

症例は63歳の男性である.1998年右手脱力,翌年に左手脱力が出現し,徐々に進行した.2003年首下がり,2004年11月下肢脱力が出現した.臨床的には進行性の下位運動ニューロン症状が主体であった.2005年2月嚥下性肺炎で緊急入院した.入院9日後気管切開,同13日後心電図モニター上ST上昇,特徴的心エコー所見からたこつぼ型心筋症と診断した.循環管理をおこない一旦小康状態になるもふたたび血圧低下し,治療に反応せず入院37日後死亡した.剖検上心筋に梗塞巣はなく,心尖部・心基部のびまん性心筋変性と線維化をみとめたが死因は確定できなかった.神経病理学的には筋萎縮性側索硬化症(ALS)の所見であった.ALSでたこつぼ型心筋症を合併した例のはじめての剖検報告である.