- 著者
-
吉村 直人
山田 祐樹
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2019, 2019
<p>我々が情景を眺め,それを思い出そうとする時,実際には眺めていなかった景色の範囲までも眺めていたかのように想起されることがある。この現象は「境界拡張」と呼ばれ,空間的連続性を有する外界に適応するための一種の記憶エラーとされている。この境界拡張が生じる要因の一つとして情景の奥行き感の想起が重要であると言われている。また境界拡張は情景の記銘の時点で生じている可能性が報告されている。これらの報告から,記名時の奥行き感覚が境界拡張に影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで本研究では観察者の奥行き感覚が境界拡張にどのような影響を及ぼすのかを検討する。上体を逆転させて股の間から観察すると奥行き感が不明瞭になると言われている。そこで,本研究は,正立状態あるいは股のぞき状態で記名を行い,その後の境界拡張の程度を比較する。上体の逆転によって奥行き感が損なわれた場合,境界拡張は弱まることが予測される。</p>