著者
氏家 悠太
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.88-93, 2018-12-26 (Released:2019-01-25)
参考文献数
49

The McGurk effect is a well-known illusion that demonstrates the influence of visual speech on voice perception (McGurk & MacDonald, 1976). This effect has robustness, but also diversity. In this paper, we review results of previous studies regarding two topics on diversity of the McGurk effect: cultural differences between Japanese and English speakers (e.g., Sekiyama & Tohkura, 1991; Sekiyama, 1994), and the difference between individuals with Autism Spectrum Disorder (ASD) and neurotypical individuals (e.g., de Gelder, Vroomen & van der Heide, 1991). The differential gaze patterns toward a speaker’s face between the cultures seem to account for the cultural differences of the McGurk effect, but not for the difference between neurotypical and ASD. Although further investigations are required to clarify why McGurk effect is weaker in ASD population, I argue that atypical multisensory integration in ASD population would be the most promising account currently available.
著者
鈴木 萌々香 氏家 悠太 高橋 康介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第19回大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2022 (Released:2022-04-20)

複数の顔写真を周辺視野に次々に提示すると不気味さや歪みを感じる(FFDE)。本研究ではFFDE刺激として顔全体提示、上半分提示、目のみ提示、目非提示、輪郭非提示の5条件を用いて、顔の各部位がFFDEの強さに及ぼす影響を検討した。実験では250 msごとに写真を切り替えながらFFDE刺激を10秒間提示し、刺激観察中に歪み知覚が生じたらボタンを押すこと、刺激提示後に歪みと不気味さの主観的強度を7段階で回答することを求めた。実験の結果、提示する顔部位により歪みや不気味さの主観的強度が異なり、顔全体>輪郭非提示>上半分>目非提示>目のみ提示の順となった。また刺激観察中に歪みを知覚するまでの潜時も提示する顔部位により異なっていたが、主観的強度の順序とは乖離が見られた。以上の結果から顔の全体処理がFFDEの生起に関与すること、またFFDEの強度と潜時には異なる決定要因が存在することが示唆された。
著者
氏家 悠太 西川 琴美 横幕 加奈 髙橋 康介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PR-021, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

近年,健康寿命の延伸やQOL向上の為の効果的な活動としてスポーツが注目されている。日常生活において継続可能なスポーツ習慣を獲得するためには,個人の身体的,心理的特性を踏まえ最適化された動機付けの手法が必須となる。本研究はスポーツ習慣の動機付け手法確立の基礎研究として,幅広い年齢層を対象としたオンライン調査により,スポーツ習慣と心理特性との関連を検討した。調査協力者は20代から50代以上までの男女1600名とした。調査項目として,スポーツや他の活動の習慣化に関する調査項目,心理特性を測定する質問紙(TIPI-10,BIS/BAS,DTDD,LOC,公正世界信念,BREQ-2改変)を用いた。主な結果として,スポーツ習慣のない集団(N=800)においても,潜在的にスポーツ習慣化を希望する割合は全年代を通して50~60%と多く,そのうち大多数(80%以上)が内的動機付けによるものであると示された。また,心理特性との関連では,行動抑制傾向(BIS/BAS)やサイコパス傾向(DTDD)が強いほど,スポーツに限って習慣化を妨げる要因となることが示された。これらの結果は,継続すること自体に困難はなく,スポーツだけが続けられないという個人の心理特性を示唆している。