著者
岩井 祥子 池田 華子 長谷川 智子 吉村 長久 飯田 悠人 川口 恵理 末次 仁美
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

分岐鎖アミノ酸がストレス下の培養細胞に対し、細胞死抑制効果を持つこと、細胞内ATP濃度低下の抑制効果を持つこと、が明らかになった。また、分岐鎖アミノ酸を網膜色素変性モデル動物や緑内障モデル動物に投与することによって、視細胞変性や網膜神経節細胞死が抑制されることが明らかになった。網膜色素変性モデル動物では、分岐鎖アミノ酸投与によって、網膜の機能低下が抑制されることが明らかになった。分岐鎖アミノ酸は、小胞体ストレスの抑制や細胞内ATP濃度低下の抑制、mTORシグナルタンパクの活性化を介して、細胞死抑制効果を示していた。分岐鎖アミノ酸は、眼難治疾患の新たな治療法になる可能性がある。
著者
金児 由美 保谷 卓男 海平 淳青 吉村 長久 福嶋 義光
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1106-1108, 1997-06-15

(26C2-3) 異常な顔貌,心雑音,股関節脱臼,体重増加不良などで染色体異常が証明された生後3か月の女児が眼科に紹介された。前額部の隆起青後頭部扁平,球状鼻,耳介低位付着,小口症があり,生後1年の時点で,全身に発達遅延と肺動脈弁狭窄,両眼に眼瞼下垂,眼瞼狭小,眼球上転障害,小眼球,小角膜,虹彩低色素,片眼の虹彩角膜癒着などがあった。G染色法による染色体分析で,核型は[46,XX,6q+]であり,6p21を切断点とする6pトリソミーであった。本症としては眼所見が多彩であった。
著者
高橋 政代 吉村 長久 高梨 泰至 栗山 晶治 喜多 美穂里 谷原 秀信 小椋 祐一郎 岩城 正佳
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

網膜色素上皮細胞は神経網膜と脈絡膜の間に存在する単層上皮細胞であるが、増殖性硝子体網膜症の発生時に網膜色素上皮細胞の異常な増殖が見られることが知られている。網膜色素上皮細胞に見られるこれらの異常は様々な原因によって惹起されるものであるが、血液眼柵の破綻によって各種の細胞増殖因子が眼内に放出されることも一因として考えられる。そこで以下の4点に関し研究を行った。1)培養網膜色素上皮細胞が産生する細胞増殖因子及びその受容体についてスクリーニングを行うこと。これについては予定していたスクリーニングを終了し、TGF-β、PDGF及びその受容体、aFGF・bFGF及びその受容体、IL-1及びその受容体、TNF-α、IGFなどについてその発現を調べ、学会および雑誌にて発表を行った。2)遺伝子導入が網膜色素上皮細胞にも応用できるかどうかの検討を行うとともに必要があれば遺伝子導入法の基礎的な検討をする。-これに関しては一時的な発現を得ることには成功したが、継続的な遺伝子発現を初代培養の網膜色素上皮細胞を用いて行うことは困難であった。現在各種の細胞株を用いて検討中である。3)細胞増殖因子受容体遺伝子の発現量を変化させて、培養網膜色素上皮細胞の機能がどの様に変化するかについての基礎的な検討を行う。-これについては2)の結果を待って行う予定であるため検討中である。4)網膜色素上皮細胞に特異的な細胞増殖因子受容体の有無についての予備的実験を行う。-網膜色素上皮細胞に特異的に発現する線維芽細胞増殖因子受容体遺伝子を見つけるため共通配列をプラズマ-としたポリメラーゼチェーン反応を行った。これによりいくつかのクローンを獲得したが、その塩基配列並びに機能については現在検討中である。
著者
吉村 長久 大谷 篤史 山城 健児 山田 亮
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ARMS2遺伝子A69Sの迅速検出キットを作成した。A69S多型は滲出型加齢黄斑変性に対する光線力学療法後の視力予後に相関し、抗VEGF治療の後の視力予後には相関しなかったことから、このキットを用いることによって、個別化医療が実現できると考えられた。さらに他の候補として、VEGF遺伝子、PEDF遺伝子が治療後反応を予測し、精度の高い個別化医療の実現が可能であることが分かった。