著者
吉田 和也 梶 龍兒 飯塚 忠彦
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.563-571, 2000-10-20
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

Oromandibular dystonia is characterized by involuntary contraction of the masticatory and tongue muscles, causing difficulties in mastication or speech. Muscle afferent block (MAB) therapy by intramuscular injection of lidocaine and alcohol is aimed at reducing muscle spindle afferents. We treated 37 patients with oromandibular dystonia by intramuscularly injecting 5 to 10ml of 0.5% lidocaine with 0.5 to 1ml of 99.5% alcohol. The muscles for injection were chosen from among the masseter, the inferior head of the lateral pterygoid muscle, the anterior belly of the digastric muscle, the genioglossal muscle, the medical pterygoid muscle, the sternocleidomastoid muscle, and the trapezius muscle. The effect of therapy was assessed subjectively on a linear self-rating scale ranging from 0 (no improvement) to 100 points (complete cure). All patients showed clinical improvement with reduced EMG activity in the affected muscles. The mean number of injections was 10.1±5.8. The overall subjective improvement rate was 60.8±25.4%. Maximal mouth opening (26.0±7.7mm) in patients with restricted mouth opening increased significantly (<I>p</I><0.0001, <I>t</I> test) after treatment (37.1±7.6mm). Some patients had tenderness, stiffness, or swelling of the muscles after repeated injection. The discomfort disappeared spontaneously after discontinuing therapy. MAB therapy is an effective means of treating oromandibular dystonia that has no major side effects.
著者
前澤 仁志 松橋 眞生 吉田 和也 澤本 伸克 美馬 達哉 長峯 隆 別所 和久 福山 秀直
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3+4, pp.258-267, 2009 (Released:2011-06-30)
参考文献数
14

脳磁図は非侵襲的にヒトの脳活動を捉える技術であるが、磁性を帯びた金属がアーチファクトとなり計測を妨げることがある。本研究では18種類の歯科用金属の組成の違いが脳磁図計測へ与える影響、磁気共鳴画像装置(MRI)による高磁場の影響、さらにハンディタイプの消磁器の効果を検証した。それぞれの金属材料を(1)未処理、(2)消磁器による消磁後、(3)MRIによる磁場印加後、(4)再度の消磁後の4つの状態で磁場計測した。各材料を往復運動させた時の磁場を全頭型脳磁図計で計測し1分間の平均パワーを求めた。対照として材料のない状態での状態の磁場を1分間、10回ずつ記録し、平均値+標準偏差の5倍をアーチファクトの判定基準値とした。主成分が強磁性体の8種類のうち状態1から4で基準値以上であった材料は、それぞれ6、5、8、7種類であった。強磁性体でない10種類では、それぞれ1、0、4、2種類であり、状態1での1種類も基準値を6.2%上回るのみであった。以上より、1.強磁性体でない材料では脳磁図計測に大きな影響を及ぼさない可能性が高いこと、2.強磁性体であっても脳磁図計測に支障をきたさない材料も存在すること、3.MRI検査による磁場の印加では磁性体の性質に関わらず材料が磁化する可能性が高いことが示された。この結果は様々な歯科用金属を装着する被験者の脳磁図計測の際に役立つ。
著者
吉田 和也
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(目的)本研究の目的はインプラント埋入手術の際に使用されるサージカルテンプレートを応用してボツリヌス毒素を外側翼突筋に正確かつ簡単に注入する方法を開発することである。(方法)対象は不随意の開口を生じ、咀嚼障害や構音障害を主訴とする開口ジストニア17例(男性9例、女性8例、平均年齢47.6歳)とした。上顎の石膏模型をスキャンしたデータとCTデータをコンピュータ上で重ね合わせた。サージカルテンプレートを分析するソフトNobelClinician(ノーベル・バイオケア・ジャパン社)を用いて、注射針の先端が外側翼突筋下頭内の最も理想的な位置となるよう、両側2本ずつアンカーピンとして設計し、光造形法で刺入用ガイドを作製した。ガイドを患者の口腔内に確実に装着し、注射針をアンカーピンのスリーブに挿入し、筋電計で針先が筋内にあることを確認し、生理食塩水で希釈したボツリヌス毒素(ボトックス: グラクソ・スミスクライン社)を25-50単位注入した。顎口腔領域のジストニアの客観的評価法3を用いてボトックス注射の治療効果と合併症をガイドの有無で比較した。(結果と考察)ボツリヌス療法をガイドなしで31回、ガイドを装着して30回行った。注射針の刺入はきわめて容易で、偶発症はまったくみられなかった。ガイド使用によって(63.0%)、ガイドなし(54.1%)より有意に(P<0.002)客観的評価法による改善度が上昇した。本法は外側翼突筋へのボツリヌス治療の際に正確かつ安全な注射を行うために有用であると考えられた。
著者
村山 良雄 小菅 浩文 鍋谷 重吉 吉田 和也 山田 昌弘 太田 圭子 山下 明美
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1073-1076, 1995

日本全国で大規模災害の発生する危険性があるが, 当院のある明石市周辺は交通の要衝であり, 大規模交通災害の起こる可能性が少なくない. 平成4年の信楽高原鉄道事故を期に当院独自の大規模災害対応策を検討し, 各種緊急資材の配備やマニュアルを試作してきた. これらを基に信楽高原鉄道, 大阪ニュートラム事故, 名古屋空港事故を例にシュミレーションを行った. 事前に準備しておくと単独でもかなりな規模の交通災害に対応可能と考えられたが, より大規模な災害では単独では限界があり, 全国的な国立病院の支援, 協力態勢が不可欠であり, 災害の正確な情報伝達, 複数期間の統括, 救護班の派遣, 資材の備蓄, 空床の確保などの問題点が示唆され, これらを考慮した総合的な訓練の必要性が痛感された.