著者
吉田 和也
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(目的)本研究の目的はインプラント埋入手術の際に使用されるサージカルテンプレートを応用してボツリヌス毒素を外側翼突筋に正確かつ簡単に注入する方法を開発することである。(方法)対象は不随意の開口を生じ、咀嚼障害や構音障害を主訴とする開口ジストニア17例(男性9例、女性8例、平均年齢47.6歳)とした。上顎の石膏模型をスキャンしたデータとCTデータをコンピュータ上で重ね合わせた。サージカルテンプレートを分析するソフトNobelClinician(ノーベル・バイオケア・ジャパン社)を用いて、注射針の先端が外側翼突筋下頭内の最も理想的な位置となるよう、両側2本ずつアンカーピンとして設計し、光造形法で刺入用ガイドを作製した。ガイドを患者の口腔内に確実に装着し、注射針をアンカーピンのスリーブに挿入し、筋電計で針先が筋内にあることを確認し、生理食塩水で希釈したボツリヌス毒素(ボトックス: グラクソ・スミスクライン社)を25-50単位注入した。顎口腔領域のジストニアの客観的評価法3を用いてボトックス注射の治療効果と合併症をガイドの有無で比較した。(結果と考察)ボツリヌス療法をガイドなしで31回、ガイドを装着して30回行った。注射針の刺入はきわめて容易で、偶発症はまったくみられなかった。ガイド使用によって(63.0%)、ガイドなし(54.1%)より有意に(P<0.002)客観的評価法による改善度が上昇した。本法は外側翼突筋へのボツリヌス治療の際に正確かつ安全な注射を行うために有用であると考えられた。
著者
鋤納 心 坂根 直樹 大原 こころ
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,低AGEs食レシピの開発を目的に,血中AGEsと食事の要因を探索するため食習慣の改善を中心としたダイエットプログラムにおいて,AGEsの変化と栄養素の変化を検討し,また調理方法の違いにおいて血中AGEs濃度の影響を調べた.栄養素の変化ではビタミンD,食物繊維,不溶性食物繊維に負の相関が見られ,体重とは関係なく独立してビタミンDの変化が血中AGEsの変化と関連した.血中CMLは食事摂取より増加が見られたが,その増加量は一般食と低AGEs食で同程度であった.一方,食後2時間の血糖値やインスリンは一般食よりも低AGEs食の方が低かった.
著者
佐藤 哲子 長谷川 浩二 小谷 和彦 小川 佳宏
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

申請者らが構築した肥満・糖尿病・メタボリック症候群のデータベース1050例を対象に、ヒト単球の採取とその機能解析により、単球機能(炎症M1・抗炎症M2マーカーなどの質的異常)と既知の心血管病リスクが強く関連し、さらに糖尿病薬や高脂血症薬によりヒト血中単球機能が改善することを初めて報告した。この研究成果より、肥満・糖尿病・メタボリック症候群における単球機能改善を標的とした早期動脈硬化進展の診断法や心血管病予防・治療戦略の可能性が示唆された。
著者
長谷川 浩二 尾野 亘 森崎 隆幸 米田 正始 平家 俊男 森崎 隆幸 米田 正始 平家 俊男
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

心不全のより根本的治療を確立するためには、心筋細胞情報伝達の最終到達点である核内の共通経路を標的とした治療法を確立する必要がある。我々は内因性ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有するp300とGATA帳写因子群の窃力(p3O0/GATA経路)が心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であることを示した(Mol Cell Biol 2003; 23: 3593-606、Circulation 2006: 113: 679-90)。本研究においては、p300によるGATA4のアセチル化部位を同定し(J Biol Chem. 2008;283:9828-35)し、またp300の特異的アセチル化阻害作用を持つクルクミンが心不全の進行を抑制することを高血圧性心疾患ならびに心筋梗塞後の2つの慢性心不全ラットモデルにおいて証明した(J Clin Invest 2008;118:868-878)。一方、心筋細胞の脱落が激しい末期心不全の根本的な治療には心筋再生療法が必須である。我々は、多分化能と無限増殖能を持つ胚性幹(ES)細胞において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)による刺激が、ヒストンや転写因子GATA4をアセチル化し、心筋分化効率を著名に上昇させることを見出した(J Biol Chcm 2005; 280: 19682-8)。本研究においては、マウス胚性幹(ES)細胞においてCyclin dependent kinase (CDK) 9が転写調節因子GATA4と結合し、その分化に関与していること(2007年11月, American Heart Association にて発表)、ES細胞の分化過程で発現が上昇するmiRNA-1がCDK9の翻訳抑制を通じて心筋分化を負に制御しているという新たな知見を得た(Circ J in press)。ES細胞と同様の多分化能と無限増殖能を持つ人工多能性幹(iPS)細胞において心筋分化システムを確立し、iPS細胞の株間には大きな分化効率の差異が存在すること、心筋分化効率が極めて低いiPS細胞株でもTSAにより、著明に心筋分化が亢進することを見川した(2008年Rcgenerative Medicine & Stom Collで発表)