著者
植野 真臣 吉田 富美男 石橋 貴純 樋口 良之 三上 喜貴 根木 昭
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.115-128, 2001-09-20
被引用文献数
8

本論では,多人数の複数クラスにおける遠隔授業の特性を明らかにし,その授業方法論の構築に貢献することを目的とする.具体的には,複数の工業高等専門学校に対する遠隔授業の実施とそれに伴うアンケート結果,客観データを数量化III類法を用いて要因分析を行った.本分析の特徴は,5段階の順序性を持つ授業の好ましさに係わる質問項目とその理由を聞く名義尺度項目を同一尺度上で数量化したことにある.その結果,複数クラスにおける遠隔授業の特性として授業の好ましさに関する項目の重要度は,「遠隔授業という授業方法について」,「教育テレビに比較してよかったか」,「実感が持てたか」,「教師との親近感」,「学校間の違い」「質問ができたか」,「授業回数」,「授業内容の理解」の順であり,評定の理由に関する項目として,「学習者が教師に認識されているかどうか」が主な要因となっていることが示された.すなわち,質問などの顕在的な双方向性以上に,まず認識的な教師との双方向性(相互作用)が重要であり,複数クラスにおける遠隔教育でも,教師-学習者個人の関係が要求されていることが示された.
著者
タンスリヤボン スリヨン 安中 美成 吉田 富美男 花木 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.605, pp.37-44, 1997-03-19
参考文献数
6
被引用文献数
1

先に著者らは「状況表現層」と「メッセージ交換層」とを備えたコミュニケーションモデルを提案し、それをグループの活動に応用した仮想研究室VILLAをMS-DOS環境で開発した。このシステムでは、個々のユーザ端末にVILLA専用の管理・通信ソフトを組み込む必要があるため、遠隔地からのユーザの参加はあまり容易ではなかった。そこで、Java言語及びHORB言語を用いて、WWWブラウザからアクセス可能な一般的なホームページとして発展させた遠隔型仮想研究室VILLAシステムを開発した。これにより特殊なソフトを組み込まないでも、双方向のインタラクションで遠隔地からのVILLAへの参加が容易に可能となった。既に開発し運用中のMS-DOS版VILLAとの共存・整合性も配慮した。本報告では、このシステムの構成、特徴、実現方法及び運用実験について報告する。
著者
スリヨン タンスリヤボン 吉田 富美男 花木 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1139-1147, 1999-07-25
被引用文献数
5

人同士が直接会って話す面談や通信手段を介した通話の実現過程では, 相手の居場所情報が必要であり, 都合を判断する「情報」を事前に知ることが望ましい. そのような情報を伝えて面談開始を支援したり, 円滑な通話を支援するために, 本論文では実研究室レイアウトと仮想の部屋を混在させた仮想環境を2次元グラフィックスで表現し, その上にメンバの顔アイコンを表示するようにして仮想研究室VILLAを構築した. VILLAが構築されているサイバースペースを2分して, 顔アイコンが実空間での持ち主の位置をほぼ実時間で反映している部分空間を状況表現空間, それ以外の部分空間をサイバー利用空間とし, 顔アイコンがどちらの部分空間にあるかによってそれぞれバーチャルシャドウ, アバタと呼んで区別し, それらの特性の違いを明確にした. VILLAはJava言語で書かれ双方向ホームページとして実現された. wwwブラウザによって遠隔地から自由にアクセスできるので開かれた研究支援環境として利用することができる.