著者
長谷川 匡弘 石田 惣 松井 彰子 松本 吏樹郎 長田 庸平 初宿 成彦 植村 修二 和田 岳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.117-156, 2022-02-28

大阪府下から記録されている哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、昆虫類、その他無脊椎動物、コケ類、維管束植物について、主に明治時代以降に持ち込まれたと考えられる外来種を整理し目録を作成した。結果として哺乳類11種、鳥類12種、爬虫類3種、両生類2種、魚類45種、昆虫類・クモ類196種、その他無脊椎動物68種、コケ類3種、維管束植物種800種がリストアップされた。This list shows non-native species that are thought to have been introduced mainly after the Meiji era and were recorded in Osaka Prefecture. As a result, the following species were listed, Mammals: 11 species, birds: 12 species, reptiles: 3 species, amphibians: 2 species, fish: 45 species, insects and spiders: 196 species, other invertebrates: 68 species, mosses: 3 species, vascular plant species: 800 species.
著者
和田 岳
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.466-473, 2005-12-25
被引用文献数
8

博物館学芸員の大半は、いくつもの仕事を抱えており、研究に時間や労力を割くことは難しい。しかし、多様な市民との接点の多い博物館の利を活かせば、市民を巻き込むことにより、研究活動を行うことが可能なのではないだろうか。さらに市民と連携した調査活動は、市民への普及教育でもあると考えることができ、調査の内容によっては資料収集活動の一環とも考えられる。本稿では、メーリングリストやウェブサイトを活用した市民を巻き込んだ調査研究の方法論と成果を、1)カラスのねぐら調査、2)ヤモリの分布調査、を実例として紹介する。
著者
吉田 雅則 西澤 真樹子 見明 暢 和田 岳
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本申請研究においては当初の目的どおり、博物館や資料館に収蔵されている動物(主に哺乳類)の骨格標本から「手」を題材としてフォトグラメトリーにより3Dデータ化、3Dプリンタによる立体出力を行い、手作業による組み立てを経て正確な交連骨格標本のレプリカを作成する。さらにデザイン関係者やアートの実践者、博物館関係者に向けて広く公開し、様々な意見や活用方法に関するレスポンスを得るなどし、それぞれの専門分野への応用の糸口を探ることを目的としている。当該年度においては、昨年度に確立したクリーンなデータを得る手法や立体出力のノウハウを基盤とし、それを実践。撮影方法やデジタルツールの使用法を工夫しつつさらなる効率化を獲得することができた。また「大阪市立自然史フェスティバル」、「いきもにあ」などの展示イベントへの出展や日本哺乳類学会における自由集会での発表なども行うことができ、デザイン関係者や博物館関係者からの意見を収集するなど、当初の目的に適った発表を行うという点においても順調である。さらに、特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワークの協力により、ヘラジカの前肢の骨格を借り受けてスキャンを実現した。前年ながら欠損した部分が数点見つかったため、現在は今後は足りない部分を他の標本から流用したりゼロから仮の形状の制作を行うなどの展開を見込んでいる。また、現在は大阪市立自然史博物館より、カバ、シカ、ゾウの前肢を借り受けてスキャンを行っている。 新たな展開としては微細な動物の拡大模型についても検討中である。
著者
和田 岳
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.41-51,77, 1994-03-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
17

京都大学構内の6.1haの調査地において,キジバト(Streptopelia ortentalis)の繁殖に関する観察を行なった.キジバトは京都では一年中観察することができ,京都大学構内でも樹木に巣をかけて繁殖している.鳥類において,繁殖に古巣を利用する例は多く知られている.そのうち樹洞で繁殖を行なう種や猛禽類のなかには,新しく巣を造るという選択ができずに古巣を利用していると考えられるものもある.一方で新しく巣を造ることができ,また事実新しく巣を造ることがあるにも関わらず,古巣を利用する種もある.このような種の古巣利用に影響を与える要因としては,繁殖期の初期には古巣利用の頻度が高いこと,また存在している古巣が多いほど古巣利用の頻度が高いことが指摘されている.キジバトは,新しく巣を造って繁殖するだけでなく,頻繁に古巣を利用して繁殖する.また古巣利用には,過去に自分が利用した巣を再び利用する場合と,他個体によって造られ自分は一度も利用したことのない古巣を利用する場合を区別することができる.そこで本稿では,以前に利用したことがある古巣と一度も利用したことのない古巣とを区別して,どのような要因が古巣利用に影響を与えているかについて分析を行なった.すべての繁殖のうち,47.4%で新しい巣を利用し,14.1%で利用経験のある古巣を,10.9%で利用経験のない古巣をそれぞれ利用した(n=192).新しい巣と古巣,利用経験のある古巣と利用経験のない古巣,いずれの間でも繁殖結果に有意な違いは認められなかった.京都ではキジバトは一年中繁殖を行ない,繁殖のピークは8月から10月であり,12月から3月の間は繁殖はほとんど記録されなかった.新しい巣を利用した繁殖と古巣を利用した繁殖の割合を比較すると,4月から6月には新しい巣が利用される割合が高く,古巣の利用される割合は10月から3月に高かった.一つの巣が繁殖に利用される回数は平均1.56回であり,最大では7回利用された巣もあった(n=123).巣が利用される回数に影響を与える要因について検討すると,巣が長い間存在しているほど,また巣が樹の中で低い位置にあるほど,利用される回数が多いという結果が得られた.キジバトの古巣利用に関わる要因を,周囲に存在する古巣の数や直前の繁殖経験などを考慮して分析した結果,周囲に存在する古巣の数の有意な影響は認められなかった.その一方で,直前の繁殖経験は古巣の利用に有意の影響を与えるという結果が得られた.すなわち,キジバトは新しい巣で繁殖したあと古巣で,古巣で繁殖したあと新しい巣で繁殖する傾向があった,また前回の巣場所から離れた場所で繁殖する場合,利用経験のない古巣を選ぶ傾向があった.前回の巣場所から次の巣場所までの距離は,繁殖に失敗したあとの方が,成功したあとよりも大きくなる傾向があった.しかし前回の巣場所から次の巣場所までの距離と,次の繁殖の結果との間に特に関係は認められなかった.2回以上利用された巣において,その利用者がかわったのは37.7%であり,34.8%の場合において利用者はかわらず,残りの例では判断を下すことができなかった(n=69).あるつがいが以前に利用したことのある巣を再び利用する場合,27例のうち26例において,その巣の直前の利用者もまた同じつがいであった(すなわち巣の側から考えると,利用者はかわらなかった).巣の利用者がかわった場合の直前の繁殖成効率は,かわらなかった場合に比べて有意に低かった.しかし利用者がかわった直後の繁殖結果は,かわらなかった場合と比べても有意な差は認められなかった.古巣が利用される割合に季節的な傾向が認められたが,キジバトは一年を通じて繁殖し繁殖期がはっきりしないため,繁殖期の初期に古巣利用の頻度が高いかどうかを充分に検討することはできなかった,周囲に存在している古巣の数はキジバトにおいては古巣利用に影響を与えておらず,単なる古巣の存在が古巣利用を促しているわけではないと考えられる.キジバトの新しく巣を造るか古巣を利用するかという選択に,その前の繁殖経験が影響を与えることがいくつかの分析の結果から示された.また古巣を利用する時,利用経験のある古巣を再び利用するか,それとも利用経験のない古巣を利用するかという選択にも繁殖経験が影響を与えていた.このことは,キジバトが古巣を選ぶ際にこの二種類の古巣を区別していることを示唆していると考えられる.
著者
和田 岳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

2度のホネホネサミットを開催し、日本各地の博物館等で骨格標本などを作製しているグループ・個人が集結する機会を持った。その機会にホネの全国ネットワーク「ホネット」を立ち上げ、メーリングリスト・研修の機会を通じて交流した。また、博物館や学校教育などの場で使えるホネの普及教育活動展開用キットを作成し、その活用について「ホネット」の場で意見交換を行った。