著者
初宿 成彦 安井 通宏 市川 顕彦 桂 孝次郎 河合 正人 中谷 憲一 山崎 一夫 大阪市立自然史博物館「都市の自然」調査グループ甲虫班
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.41-104, 2020-02-28

大阪市内の甲虫類 867 種を、市民による野外調査、標本検視、文献引用により記録した。そのう ちの 195 種がレッドリスト掲載に相当すると考えられた。これらには 1950 年代および 80 年代に消滅し たものが多い。現在、甲虫の種数は2つの大河川周辺で最も多く、ここに限定して存続しているもの、ま たかつて市街地周辺にも見られたものもある。また外来種のように新しく分布するようになったものもあ る。このような変遷の記録と概観は、稀少種のみならず、普通種を含めた多数の標本が保管されること により可能である。
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
no.74, pp.45-68, 2020-03-31

夏の夜明けと日没時に特徴的に鳴くヒグラシの分布について,大阪府全体での分布調査を市民 プロジェクトとして行なった.主に神社において,ヒグラシの有無を調べた.山地では広く分布する が,交通によって遮断されたエリアで分布を欠くことがある.平野では発生は見られないが,人為の 影響を受ける以前には,より広く分布していたと考えられる.
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.67-96, 2022-03-31

ヒメハルゼミの近畿地方における個体群産地を過去の利用可能な記録を含めて評価した.紀伊半島南部,淡路島南部,兵庫県西部・北部には多数の産地があるが,それ以外では社寺林に極めて局地的に分布する,または全く欠いているエリアもある.縄文時代からの森が現代まで途絶えることなく継続されてきた森において,ヒメハルゼミの個体群は存続してきた.古代以前の自然崇拝は現代では神社または寺院の形で受け継がれた.このような日本の伝統的宗教形態が深く関わっている.
著者
初宿 成彦
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.53-77, 2021-03-31

外来甲虫3種の分布について,主にインターネットを用いた市民調査として行なった.ムネア カオオクロテントウ(テントウムシ科)は2014年から2020年まで東京および大阪周辺で分布を徐々に 拡大させていく様相を緻密に記録できた.3大都市圏におけるユーカリハムシ(ハムシ科)の,近畿 周辺でのヨツモンカメノコハムシ(ハムシ科)の,それぞれ分布の現況を記録し,これらがまだ到達 していない地域についても,注目すべき寄主植物の位置について記述し,将来的に分布拡大速度を計 算できるようにした.インターネット時代において市民調査を行なう際の留意点にも言及した.
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
vol.73, pp.71-89, 2019-03-31

ハルゼミはマツ類につくセミで,かつては大阪府では丘陵地から山地にかけて広く分布するセミとして知られていたが,1970年代から顕著になった松枯れにより衰退した.2000年頃からインターネット媒体により,市民からハルゼミの鳴き声の情報を蓄積してきた.これらにより,大阪府では山地に細々と残る程度にまで減少していることがわかった.人為が影響する前には海岸部や平野にも広く分布していたこと,2030年頃までに大阪府からは絶滅することが推定される.
著者
長谷川 匡弘 石田 惣 松井 彰子 松本 吏樹郎 長田 庸平 初宿 成彦 植村 修二 和田 岳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.117-156, 2022-02-28

大阪府下から記録されている哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、昆虫類、その他無脊椎動物、コケ類、維管束植物について、主に明治時代以降に持ち込まれたと考えられる外来種を整理し目録を作成した。結果として哺乳類11種、鳥類12種、爬虫類3種、両生類2種、魚類45種、昆虫類・クモ類196種、その他無脊椎動物68種、コケ類3種、維管束植物種800種がリストアップされた。This list shows non-native species that are thought to have been introduced mainly after the Meiji era and were recorded in Osaka Prefecture. As a result, the following species were listed, Mammals: 11 species, birds: 12 species, reptiles: 3 species, amphibians: 2 species, fish: 45 species, insects and spiders: 196 species, other invertebrates: 68 species, mosses: 3 species, vascular plant species: 800 species.
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

マツ科トウヒ属は化石でしばしば見つかるが、球果や葉は種間で類似しているため、種の同定が困難なことが多い。そこでカサアブラムシ科昆虫が形成する虫こぶに注目してみたところ、別の昆虫種が作った虫こぶが異なった形状の虫こぶを作るのみにならず、同じ昆虫種が作った虫こぶでも植物側の種が異なれば、形状が異なることがわかった。形態の記載により、今後、植生史の研究への利用が期待される。
著者
初宿 成彦
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.205-211, 2012-10-05 (Released:2018-09-21)

気象台が記録している初鳴日と日平均気温に基づき,大阪市内の36年間(1976〜2011年)のクマゼミ成虫発生量の年変動を推定した.クマゼミは1980年代初めに増加し,現在まで多い状態が続いている.発生量には明瞭な周期性は見られなかった.
著者
初宿 成彦
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.863, pp.30-32, 2021-02
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.19-31, 2018-03-31

日本産トウヒ属6種の樹上には,9種のカサアブラムシにより,13種類の虫えいが形成される.トウヒ属の1樹種に対し,複数のカサアブラムシが虫えいを形成する場合でも,カサアブラムシの同一種が複数のトウヒ属樹種に虫えいを形成する場合でも,相互に虫えいに形態差が生じる.植物の種同定は従来から用いられてきた枝・葉・球果よりも,カサアブラムシ虫えい形態を用いたほうがより容易で,化石で産出した場合にトウヒ属の種同定が期待できる.第2世代成虫が羽化・脱出した後の乾燥した状態の虫えいについて,形態の記載を行い,分布地,宿主種,検索表を示した.
著者
初宿 成彦
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.205-211, 2012-10-05

気象台が記録している初鳴日と日平均気温に基づき,大阪市内の36年間(1976〜2011年)のクマゼミ成虫発生量の年変動を推定した.クマゼミは1980年代初めに増加し,現在まで多い状態が続いている.発生量には明瞭な周期性は見られなかった.
著者
守屋 成一 初宿 成彦
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.99-102, 2001-09-25
被引用文献数
2

The ragweed beetle, Ophraella communa LeSage, was found in Chiba Pref. in August 1996 for the fist time in Japan. The beetle severely damaged the ragweed, Ambrosia artemisiifolia L. and expanded its distribution rapidly. The insect has been found in 35 of 47 Prefectures till the end of 2000.