著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.8, pp.1-8, 2014-12-01

動物園では,その業務における中心的な情報システムとして,日々の飼育活動や診療経過を記録・蓄積する飼育日誌システムが用いられている.このシステムには,飼育員や獣医師によって日々観察される出来事や飼育状況が記録され,そのデータを飼育管理や治療,繁殖などに活用している.著者らは,動物園の活動における情報通信技術の活用に向け,飼育日誌システムに,動物舎に設置したセンサーのデータをネットワーク経由で統合した "飼育管理システム" を構築し,京都市動物園で運用を開始している.本稿では,このシステムについて,その概要を述べた上で,このシステムを踏まえ,動物園での情報通信技術の活用手法について検討する.In a zoo, an "animal husbandry management system" is used for keeping records of animal individuals and incidents in husbandry activities. Veterinaries and keepers record incidents and medical treatment in this system every day. These recorded informations are used on breeding and treatment of animals. In this paper, we describe the zoo animal husbandry management system we developed and are operating in the Kyoto City Zoo. This system can store and display measurement data of sensors installed in a zoo, in addition to incident and medical records. Measurement data are gathered to the system through the wireless mesh network, which covers almost the whole area of Kyoto City Zoo. Based on this system, we also discuss about directions and problems for utilization of information and communication technologies in a zoo.
著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.36-45, 2017-02-22

動物園の主要な社会的役割に環境教育・命の教育があるが,学校の遠足・校外学習を含め,多くの来園者は動物を単に眺めるにとどまり,十分な観察・学習ができていないと指摘されている.この課題に対し,著者らは,動物の行動やその意味への理解を促す教育プログラムでの利用を想定し,単に動物を「眺める」にとどまらない,より深い動物観察の機会を来園者に提供するための,動物行動観察支援システムを開発した.このシステムでは,プログラムへの参加者は,タブレット端末を用い,観察対象の動物の位置・行動を時系列データとして記録する.このようにして記録された行動データは,システムによりデータベースに集約される.著者らは,本システムの評価実験を行い,被験者の動物への理解が高まったことを検証した.その一方で,本システムを用いた教育プログラムの開発に向けた課題も明らかになった.
著者
水尾 愛 大島 由子 今西 亮 北田 祐二 笠原 道子 橋崎 文隆 和田 晴太郎 松永 雅之 高井 進 大沼 学 翁長 武紀 萩原 克郎 真田 良典 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.77-80, 2009-03
参考文献数
16
被引用文献数
1

生体内の酸化ストレスを評価する一般的な生体指標である尿中8-hydroxyguanosine(以下,8-OHdG)量を国内飼育下の9頭のニシローランドゴリラにおいて定量した。検査対象個体に原虫感染が認められたが,臨床症状は観察されなかった。全個体の8-OHdG値(ng/mg creafinine)の範囲は4.3〜193.1,各個体の中央値の幅は6.8〜52.4であった。原虫陽性と陰性個体との8-OHdG値の比較を行い,有意差は認められなかった(>0.05)。
著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2016-IS-138, no.7, pp.1-8, 2016-11-26

動物園における業務は,動物の飼育や,来園者向けサービス等,日々変化する状況への対応が求められる非定型的な業務が大半である.京都市動物園では,これらの業務の記録を,自由形式のテキストを中心とした 「飼育日誌」 としてシステムに蓄積し,検索可能としている.しかし,記録者の主観や日々の課題意識の変化等により質にばらつきが生じやすいため,このような自由形式の記録は,日常の業務報告としては十分であっても,飼育知識として事後に活用することが困難である等といった課題がある.本研究は,著者らがこれまでに開発した,飼育日誌管理システムで,これらの課題を解決することを目的としている.その方策を検討するため,著者らは,2014 年度に京都市動物園で作成された飼育日誌を対象として,主題や,その時系列的な変化等について分析を行った.本稿では,この分析について説明し,課題解決に向けた検討を行う.