著者
原田 智仁 土屋 武志 二井 正浩 中本 和彦 田中 伸
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

地歴相関カリキュラムに関しては,①地誌的構成を基本に文化圏の通史を組み込む地歴相関,②世界史構成を基本に系統地理を組み込む地歴相関,③比較文化の視点から世界史と地理を関連付ける地歴相関,④既存の地理・歴史の枠組を超越する多学問的地域研究,の4つの相関の論理を明らかにした。歴史総合カリキュラムに関しては,①グローバルヒストリーの視点による歴史の総合,②タテとヨコの大観学習による歴史の総合,③歴史家体験活動という学習方法による歴史の総合,の3つの総合の論理を明らかにした。
著者
土屋 武志
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-97, 2002-03-31

本稿は,愛知教育大学のカリキュラム改革の一端として実施されている教養教育の改革に関して,主題科目「平和と人権」の概要を報告するものである。1年次から3年次にわたる4セメスターを一貫したテーマで追及する「主題科目「は,教養教育の新しいタイプであり,有効性の検証が必要とされている。「平和と人権」では,入門講座時点からグループ研究活動を取り入れ,また,外部講師による特別授業を実施するなどカリキュラム開発を行っている。その現状報告である。
著者
土屋 武志
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育 : 共通科目研究交流誌
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-56, 2003

本稿は,大学の教養教育における東アジア史認識の意義とその改善の方向性を明確化することを試みたものである。学習者は,大学教育において,物事を自由に見る経験を得る機会を持つ。大学の教養教育において,その経験を与えることは,重要な教育的意味を持っている。大学の教師特に歴史担当者は,当然のこととはいえ,自身の歴史解釈が絶対的真実とは限らないことを常に自覚して学習者の自由な思考を保証する授業を計画する必要がある。と同時に,受講者である学生自身に「歴史」の持つこの特性を理解させる必要がある。そしてそれは,講義による一方的な伝達という方法でなく,学生自身が調査し,その収集した情報を批判的に検討しあったり,討論したりする方法を用いて,経験的に気づかせ理解させるような授業によるべきである。
著者
ナスティオン 土屋 武志
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.101-110, 2003-03-29

本論文は,教科書を通して日本とインドネシアが,どのようなナショナリズムを育ててきたのか,また現在,育てようとしているのかを分析した。第二次世界大戦以前の日本のナショナリズムの大きな力は,国家神道と呼ばれる宗教的な精神によって支えられていた。その意識(国家-天皇-神)は戦前日本の教科書を通して育てられた。戦後は日本国憲法および教育基本法の理念に基づき,民主主義や平和を愛する意識を育てることを重視する経緯をたどってきた。しかし,現在は一部の日本人が戦前のナショナリズムの復活を期待する傾向がみられる。近代的な国民国家形成期に日本は天皇を統一のシンボルとしてきたが,インドネシアの場合はこのような存在がなかった。多民族,多文化,多言語,多宗教,多島などの国として成立した国家を守り育てていくためにパンチャシラ(五原理)いわゆる「寛容的なイデオロギー」(多様性の中で統一)を作った。これを教育で強調し,インドネシア国民の社会的,政治的,文化的な統一を企図してきた。しかし,インドネシアの各時期によって,政府の政策は異なった特徴を持っている。