著者
伊勢戸 徹 齋藤 暢之 一柳 麻里香 森岡 美樹 細野 隆史 土田 真二 北山 智暁 佐々木 朋樹 齋藤 秀亮 久積 正具 佐藤 孝子 藤倉 克則 園田 朗 華房 康憲
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.43-53, 2019-04-01 (Released:2019-04-03)
参考文献数
18

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2007年に策定した「データ・サンプルの取り扱いに関する基本方針」に基づき,JAMSTECに帰属するデータ・サンプルを管理,公開し,その幅広い利用を推進している.調査航海で採取された生物サンプルについては,その情報をJAMSTECの情報管理部署がデータベースに登録し一元的に管理しつつも,サンプル自体は採取した研究者らがJAMSTEC内外の各機関に持ち帰って利用しており分散的に管理されている.つまり,生物サンプルは情報管理部署とJAMSTEC内外の研究者らによる共同管理体制をとっている.この生物サンプルの共同管理体制は一見特殊にも見えるが,自機関に帰属するサンプルについて,その所在を把握し,管理していくためには必然的な仕組みだとも言える.また,データベースを公開しており,登録されたサンプルに対して他者が利用申請をする機会を提供している.JAMSTECのサンプルには,これまで博物館やバイオリソースセンター等に保存され提供されてきたサンプルのように永続的に保存されるサンプルも含まれるが,研究者らが日々利用し消費されていくサンプルが多い.このため,JAMSTECの生物サンプル管理と利用の仕組みは,これまで他機関が実施してきた仕組みよりも広範なサンプルの利用機会を拡大しているものであり,サンプルから最大限の科学的成果を生み出し,社会に役立てていくことを目指すものである.
著者
奥谷 喬司 土田 真二
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3-4, pp.125-133, 2005-01-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
6

海洋科学研究開発機構(JAMSTEC)の無人深海探査機ハイパードルフィンによって,小笠原諸島西方の海形海山の中腹,水深912mにおいてハワイヒカリダンゴイカの小群が発見された。いずれの個体も海底面すれすれのところでホーバリングを行っており,海底に付いているものや高い位置で遊泳しているものは見られなかった。各個体ともまちまちな方向を向いており,海流に支配されているようには見えない。本種はこれまでもハワイ他西太平洋各地に分布していることは知られていたが,これまでの採集はおおむね開放ネットによるものであり,中層浮遊性とされていたが,今回の観察により漸深海底帯で,近底層性の生活を送っていることが判った。この観察の時,9標本が採集されたが,いずれも雌で,ハワイから採集されたタイプ標本も,またサモア北方のコンベ礁から採集されたものも雌で,雄の報告はない。また,Nesisは琉球や小笠原など日本近海を分布範囲にあげているが,それらの詳細についての報告は見あたらない。これらの標本と過去の形態記載と比較も行い,腕長式などにかなりの種内変異があることも確かめられた。
著者
三宅 裕志 山本 啓之 北田 貢 植田 育男 大越 健嗣 喜多村 稔 松山 和世 土田 真二
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.645-651, 2005-11-05
被引用文献数
1 4

シロウリガイ類は深海から採集すると通常2, 3日しか生存せず, 飼育を試みた報告は皆無であった。本研究では, シロウリガイ類の飼育の試みとして, 良好な健康状態で採集し, かつシロウリガイ類の共生細菌のエネルギー源(泥中の硫化水素)を確保するために, 圧力以外の現場環境をできる限り維持した状態で採集する装置のMTコアを開発した。また, シロウリガイ類は高酸素濃度に弱いため, 溶存酸素濃度制御装置により低酸素濃度環境を維持する飼育システムを製作した。シロウリガイとエンセイシロウリガイをそれぞれ相模湾初島沖水深1,150m〜1,160mの地点, 石垣島沖の黒島海丘の643mの地点で採集した。採集したシロウリガイは約1週間で死亡したが, 黒島海丘のエンセイシロウリガイは17日間生存した。また, エンセイシロウリガイでは2回放卵が確認された。以上のことから, エンセイシロウリガイは飼育が容易な種と考えられた。
著者
土田真二
出版者
海洋科学技術センター(JAMSTEC)
雑誌
JAMSTEC深海研究
巻号頁・発行日
vol.(16-I.生物学編), 2000-03-27
著者
土田 真二
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、調査船「かいれい」によるマリアナ海溝の調査航海(平成29年5月5日-25日)に参加し、マリアナ海溝における魚類の生息限界に関する情報を得るため、ミニランダー(自己浮上式カメラシステム)を投入し、データの取得を行った。ミニランダーの投入は、計3回実施した。1回目および、2回目は、ミニランダーに搭載したトランスポンダによる音響測位の結果から、それぞれ水深8146mおよび7498mに設置されたことを確認した。3回目は、SeaBird社製CTDプロファイラー(SBE-19)の圧力センサーにより計測し、8178mに設置されたことを確認した。1回目は、連続撮影続として6時間24分19秒に渡る海底の映像を記録した。ヨコエビ類などを確認することはできたが、魚類は確認できなかった。2回目は、インターバル撮影とし、3時間毎に59分54秒の映像を記録した。8シーケンス、21時間59分54秒に渡る撮影に成功した。ヨコエビ類やアミ類とともに、マリアナスネイルフィッシュがランダー着底後の3時間39分に出現し始め、撮影終了まで多数確認された。最大、1フレームに6個体確認でき、餌となるマサバに螺集したヨコエビ類を捕食する行動も記録された。3回目もインターバル撮影とし、3時間毎に52分54秒の映像を記録した。12シーケンス、33時間52分54秒に渡る撮影に成功した。ランダーが着底すると、ヨコエビ類がすぐに餌のマサバに螺集し、周辺を遊泳するアミ類も記録された。ランダー着底後、17時間36分53秒に、マリアナスネイルフィッシュの映像を捉えることに成功した。その後最終シーケンスまで出現したが、すべて1フレームに最大1個体しか確認できず、外見から判断できる肝臓の形態から、同一個体であると判断した。これにより、圧力センサーによって深度計測された魚類の最深記録となった。
著者
土田 真二 藤原 義弘 藤倉 克則
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF BENTHOLOGY
雑誌
日本ベントス学会誌 = Japanese journal of benthology (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.84-88, 2003-06-27
被引用文献数
4 15 1

The spatial distribution around hydrothermal vents, population structure, and relative growth parameters of the galatheid crab Shinkaia crosnieri were examined. Surveys were done by the Shinkai 2000 on the Hatoma and Dai-yon Yonaguni Knolls in the southern Okinawa Trough. On the Hatoma Knoll, S. crosnieri inhabited areas (temp. 4.0-6.2°C) about 0.2-2 m away from the active vent (temp. 301°C). In the outer area of the habitat of S. crosnieri (temp. 3.0-3.7°C), dense beds of Bathymodiolus mussels occurred and aggregations of Alvinocaris shrimp were observed. In this survey, 248 specimens of S. crosnieri were collected. Small, probably just post-metamorphic juveniles and large, mature adults co-occurred. Chelipeds of males were proportionally larger than those of females, while abdomens of females were proportionally larger than those of males. Larger chelipeds in males are thought to have evolved through male-male competition for females, and wider abdomens in females are thought to be related to the attachment of fertilized eggs to the abdominal appendages.
著者
三宅 裕志 山本 啓之 北田 貢 植田 育男 大越 健嗣 喜多村 稔 松山 和世 土田 真二 Hiroshi Miyake Hiroyuki Yamamoto Mitsugu Kitada Ikuo Ueda Kenji Okoshi Minoru Kitamura Kazuyo Matsuyama Shinji Tsuchida 新江ノ島水族館:海洋研究開発機構(JAMSTEC) 新江ノ島水族館 新江ノ島水族館 新江ノ島水族館 石巻専修大学 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 海洋研究開発機構(JAMSTEC) Enoshima Aquarium:Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Enoshima Aquarium Enoshima Aquarium Enoshima Aquarium Ishinomaki Senshu University Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC)
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.645-651, 2005-11-05
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

シロウリガイ類は深海から採集すると通常2, 3日しか生存せず, 飼育を試みた報告は皆無であった。本研究では, シロウリガイ類の飼育の試みとして, 良好な健康状態で採集し, かつシロウリガイ類の共生細菌のエネルギー源(泥中の硫化水素)を確保するために, 圧力以外の現場環境をできる限り維持した状態で採集する装置のMTコアを開発した。また, シロウリガイ類は高酸素濃度に弱いため, 溶存酸素濃度制御装置により低酸素濃度環境を維持する飼育システムを製作した。シロウリガイとエンセイシロウリガイをそれぞれ相模湾初島沖水深1,150m~1,160mの地点, 石垣島沖の黒島海丘の643mの地点で採集した。採集したシロウリガイは約1週間で死亡したが, 黒島海丘のエンセイシロウリガイは17日間生存した。また, エンセイシロウリガイでは2回放卵が確認された。以上のことから, エンセイシロウリガイは飼育が容易な種と考えられた。