著者
大塚 攻 長谷川 和範 木村 妙子 三宅 裕志 近藤 裕介 飯田 健 Honorio Pagliwan Ephrime Metillo
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1-4, pp.93-98, 2017-11-27 (Released:2018-01-11)
参考文献数
39

ウロコガイ科二枚貝ベッコウマメアゲマキScintilla philippinensis Deshayes, 1856の生体がフィリピン・パラワン島で採集されたが,外套膜とその膜上の突起,足を用いてウミウシ類及びカニ類に擬態と考えられる行動が観察された。ウミウシ類型の場合,外套膜を変形させて形態を似せる。カニ類型の場合には形態的類似性だけでなく足も用いて行動も真似る。ウロコガイ上科は他の動物に共生することで知られるが,擬態に関する知見は少ないので,今後のより詳細な研究が待たれる。
著者
三宅 裕志 窪寺 恒己 奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.38-41, 2005-07-30

Video images of a very large squid (ML 1m<) were taken by the ROV Hyper-Dolphin at a depth of 1161m near the bottom of Sagami Bay in March, 2004. It was tentatively identified as Gonatopsis sp. (Gonatidae), and may represent an undescribed species. It is surprising that the existence of such a large squid in Sagami Bay has not been recorded to date, despite a tremendous amount of sampling and fishing.
著者
奥谷 喬司 藤原 義弘 藤倉 克則 三宅 裕志 河戸 勝
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.61-64, 2004-06-30
被引用文献数
4

約1年半前に鹿児島県野間岬沖の水深約200〜250mに沈下されたマッコウクジラの死体に形成される生物群集の調査を行った結果,鯨骨上にはヒラノマクラ(少数のホソヒラノマクラ混在)の濃密な群生がみられた。本種の外套膜後端は筒状に丸まり,極めて長い"入水管"を形成し,また完全な管状になった出水管を持つほか,足もよく発達して活発に動き回るというイガイ科としては極めて特異な機能形態を持つことが判った。長い水管のため,本種が群生しているとあたかも鯨骨が細いマカロニで被われているようにさえ見える。ヒラノマクラの生体の観察は今回初めてと思われるので,速報する。
著者
三宅 裕志 山本 啓之 北田 貢 植田 育男 大越 健嗣 喜多村 稔 松山 和世 土田 真二
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.645-651, 2005-11-05
被引用文献数
1 4

シロウリガイ類は深海から採集すると通常2, 3日しか生存せず, 飼育を試みた報告は皆無であった。本研究では, シロウリガイ類の飼育の試みとして, 良好な健康状態で採集し, かつシロウリガイ類の共生細菌のエネルギー源(泥中の硫化水素)を確保するために, 圧力以外の現場環境をできる限り維持した状態で採集する装置のMTコアを開発した。また, シロウリガイ類は高酸素濃度に弱いため, 溶存酸素濃度制御装置により低酸素濃度環境を維持する飼育システムを製作した。シロウリガイとエンセイシロウリガイをそれぞれ相模湾初島沖水深1,150m〜1,160mの地点, 石垣島沖の黒島海丘の643mの地点で採集した。採集したシロウリガイは約1週間で死亡したが, 黒島海丘のエンセイシロウリガイは17日間生存した。また, エンセイシロウリガイでは2回放卵が確認された。以上のことから, エンセイシロウリガイは飼育が容易な種と考えられた。
著者
花田 美穂 中川 倫代 濱端 明美 三宅 裕志 天野 博雄
出版者
一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
雑誌
日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌 (ISSN:24337846)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.443-450, 2020-10-30 (Released:2020-11-24)
参考文献数
12

42歳男, 三陸の漁師。2014年エラコの巣に腕を接触し, 以降, エラコを扱うと顔, 上肢に掻痒を伴う皮疹が生じた。2015年, 2016年に, 全身の蕁麻疹, 嘔気, 呼吸苦, 意識レベル低下を伴う原因不明のアナフィラキシー (An) を生じ, 精査目的に当科を受診した。帰宅後, 納豆を自己判断で摂食し11時間後にAnが出現した。納豆によるAnを考え, プリックテスト (PRT) でポリγグルタミン酸 (PGA) 1, 10μg/ml, 1mg/ml, エラコ棲管のニンギョウヒドラ付着部, 納豆の粘稠成分で陽性であった。納豆による遅発性Anと診断した。エラコにはニンギョウヒドラというエダクダクラゲのポリプ世代が共生し, このポリプに刺されることで, クラゲPGAによる経皮感作が成立し遅発性納豆アレルギーを発症したと考えた。PGAは食品, 化粧品に含まれ, エラコ皮膚炎の既往のある人は, PGAによる遅発性Anを発症する危険性があるので注意が必要である。(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 3 (3) : 443-450, 2020)
著者
三宅 裕志 山本 啓之 北田 貢 植田 育男 大越 健嗣 喜多村 稔 松山 和世 土田 真二 Hiroshi Miyake Hiroyuki Yamamoto Mitsugu Kitada Ikuo Ueda Kenji Okoshi Minoru Kitamura Kazuyo Matsuyama Shinji Tsuchida 新江ノ島水族館:海洋研究開発機構(JAMSTEC) 新江ノ島水族館 新江ノ島水族館 新江ノ島水族館 石巻専修大学 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 海洋研究開発機構(JAMSTEC) Enoshima Aquarium:Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Enoshima Aquarium Enoshima Aquarium Enoshima Aquarium Ishinomaki Senshu University Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC) Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology Center (JAMSTEC)
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.645-651, 2005-11-05
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

シロウリガイ類は深海から採集すると通常2, 3日しか生存せず, 飼育を試みた報告は皆無であった。本研究では, シロウリガイ類の飼育の試みとして, 良好な健康状態で採集し, かつシロウリガイ類の共生細菌のエネルギー源(泥中の硫化水素)を確保するために, 圧力以外の現場環境をできる限り維持した状態で採集する装置のMTコアを開発した。また, シロウリガイ類は高酸素濃度に弱いため, 溶存酸素濃度制御装置により低酸素濃度環境を維持する飼育システムを製作した。シロウリガイとエンセイシロウリガイをそれぞれ相模湾初島沖水深1,150m~1,160mの地点, 石垣島沖の黒島海丘の643mの地点で採集した。採集したシロウリガイは約1週間で死亡したが, 黒島海丘のエンセイシロウリガイは17日間生存した。また, エンセイシロウリガイでは2回放卵が確認された。以上のことから, エンセイシロウリガイは飼育が容易な種と考えられた。