著者
二宮 泰三
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.137-146, 1987-10-31 (Released:2018-01-31)

Three new species of olivid gastropods of the genus Amalda are described. They are, A. (Baryspira) utopica, n. sp. from the Osumi Strait, Japan, A (Alcospira) zeigleri, n. sp. from off Turneffe Island, Gulf of Honduras, and A. (Gracilispira) albanyensis, n. sp. from Albany, West Australia.
著者
ロス バリー
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.223-229, 1978-11-30 (Released:2018-01-31)

Type material of tellinacean bivalves Nuttallia japonica (REEVE, 1857) and Nuttallia obscurata (REEVE, 1857) is illustrated and characterized. A figured specimen is designated lectotype of Psammobia olivacea JAY, 1857, which is a junior synonym of Nuttallia obscurata (REEVE).
著者
大塚 攻 長谷川 和範 木村 妙子 三宅 裕志 近藤 裕介 飯田 健 Honorio Pagliwan Ephrime Metillo
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1-4, pp.93-98, 2017-11-27 (Released:2018-01-11)
参考文献数
39

ウロコガイ科二枚貝ベッコウマメアゲマキScintilla philippinensis Deshayes, 1856の生体がフィリピン・パラワン島で採集されたが,外套膜とその膜上の突起,足を用いてウミウシ類及びカニ類に擬態と考えられる行動が観察された。ウミウシ類型の場合,外套膜を変形させて形態を似せる。カニ類型の場合には形態的類似性だけでなく足も用いて行動も真似る。ウロコガイ上科は他の動物に共生することで知られるが,擬態に関する知見は少ないので,今後のより詳細な研究が待たれる。
著者
三上 進 山田 俊郎
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.70-72, 1979-04-30 (Released:2018-01-31)

オオベソオウムガイの生きているままで, 殻及び軟体部の重量を推定するため, 飼育実験中に斃死した7標本につき, 総体重, 殻重量及び軟体部重量を計測した。これから殻と軟体部の重量比を算出し, 解体の際失われる体液, 殻房内に含まれる液体重量は極めて小さい事を明らかにした。これらの値をWARD他(1977)の報告したオウムガイの計測値について吟味した結果, 極めて近い値を示した。将来幾つかの解決すべき問題もあるが, 本調査で求められた殻・軟体比率は重要な基礎的資料と認められる。
著者
髙野 剛史 田中 颯 狩野 泰則
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1-4, pp.45-50, 2019-05-15 (Released:2019-06-06)
参考文献数
29

ハナゴウナ科Eulimidaeの腹足類は,棘皮動物を宿主とする寄生者である。同科のMucronalia属は形態および生態情報に乏しいグループで,タイプ種のフタオビツマミガイM. bicinctaは生貝での採集報告がなされていない。Warén(1980a)による殻形態に基づく属の概念では,つまみ状の原殻,内唇滑層,ならびに中央部の突出した外唇を有することが重要視されている。また2既知種がクモヒトデ寄生性であることが知られており,これが本属貝類に共通の生態とみなされている。本報では,神奈川県真鶴町の潮下帯より採取されたアカクモヒトデOphiomastix mixtaの腕に外部寄生するMucronalia属の1新種を記載した。Mucronalia alba n. sp.オビナシツマミガイ(新種・新称)原殻がつまみ状に突出すること,殻口内唇に滑層を有すること,また外唇は中央部が突出し横からみると大きく曲がることから,Mucronalia属の一種であると判断された。殻は本属としては細く塔型,最大5.5 mm,白色半透明である。後成殻は6.6巻,螺層は時に非対称に膨れ,螺塔は成長に伴い不規則に太くなる。外唇縁痕は不定期に現れ,僅かに褐色を呈する。殻口は細長い卵型。軸唇はまっすぐで,体層の軸から20°傾く。原殻は淡い褐色。本種の殻形は,同じく日本に産するヤセフタオビツマミガイM. exilisと,オーストラリアのクイーンズランドから記載されたM. trilineataに似る。一方これら2種は殻に褐色の色帯を有し,また軸唇の傾きが弱い。オマーンをタイプ産地とするM. lepidaとM. oxytenes,メキシコ西岸のM. involutaはいずれも本種と同様白色の殻をもつが,前2種は殻が太く螺層の膨らみが弱い点で,またM. involutaは本種と比してはるかに小型である点で区別される。タイプ種であるフタオビツマミガイM. bicincta,オマーンに産するM. bizonula,スリランカのM. exquisitaは,色帯のある円筒形の殻をもつ点で本種と明瞭に異なる。上述の種のほか,コガタツマミガイ“M.” subulaやヒモイカリナマコツマミガイ“M. lactea”がMucronalia属として扱われることがある。しかしながら,前者は殻口外唇が湾曲せず,カシパンヤドリニナ属Hypermastusに含めるのが妥当である。後者は,殻形態,寄生生態および予察的な分子系統解析(髙野,未発表)により,セトモノガイ属Melanellaの一種であると考えられた。しかしながら,Eulima lactea A. Adams in Sowerby II, 1854が同じMelanellaに所属すると考えられるため,ヒモイカリナマコツマミガイに対するlactea A. Adams, 1864は主観新参ホモニムとなる。そこで,ヒモイカリナマコツマミガイに対する代替名としてMelanella tanabensisを提唱した。東アフリカのザンジバル諸島産で,同じくヒモイカリナマコに内部寄生する“Mucronalia” variabilisもセトモノガイ属に含めるのが妥当と考えられ,本論文で属位を変更した(Melanella variabilis n. comb.)。
著者
奥谷 喬司 土田 真二
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3-4, pp.125-133, 2005-01-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
6

海洋科学研究開発機構(JAMSTEC)の無人深海探査機ハイパードルフィンによって,小笠原諸島西方の海形海山の中腹,水深912mにおいてハワイヒカリダンゴイカの小群が発見された。いずれの個体も海底面すれすれのところでホーバリングを行っており,海底に付いているものや高い位置で遊泳しているものは見られなかった。各個体ともまちまちな方向を向いており,海流に支配されているようには見えない。本種はこれまでもハワイ他西太平洋各地に分布していることは知られていたが,これまでの採集はおおむね開放ネットによるものであり,中層浮遊性とされていたが,今回の観察により漸深海底帯で,近底層性の生活を送っていることが判った。この観察の時,9標本が採集されたが,いずれも雌で,ハワイから採集されたタイプ標本も,またサモア北方のコンベ礁から採集されたものも雌で,雄の報告はない。また,Nesisは琉球や小笠原など日本近海を分布範囲にあげているが,それらの詳細についての報告は見あたらない。これらの標本と過去の形態記載と比較も行い,腕長式などにかなりの種内変異があることも確かめられた。
著者
馬場 菊太郎
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.141-149, 1989-10-31 (Released:2018-01-31)

The chief specific name used here is Ceratosoma trilobatum (J. E. Gray, 1827) (s. l.) which is said to comprise C. cornigerum (Adams & Reeve in Adams, 1850) (s. s.) as a junior synonym. In Japan there occur three sorts of color variation among the individual specimens of C. trilobatum (in the meaning of C. cornigerum s. s.). C. bicolor Baba, 1949 is left for further study.
著者
板垣 博
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.169-_180-3_, 1965-12-30 (Released:2018-01-31)

マメタニシの殻形は雌雄によって差はないが雄のものがやや細長である.歯舌の1列は中歯(1コ), 側歯(2コ), 内縁歯(2コ), 外縁歯(2コ)からなり, それぞれの歯の小鉤には個体差がある.胃は2部からなり, 前部の方が広くて中央に胃楯があり, 後部には晶体と晶体嚢がある.陰茎には鞭状体があるが, その作用は不明である.陰茎基部の皮下には長い盲管があり, その開口は鞭状体の先端にある.この盲管内に白色粘液を含み, その中に円形と洋なし状の細胞がある.陰門は産卵門とは遠く離れ, 陰門は外套腔の奥に, 産卵門は肛門の少し後方に開く.中枢神経系は9神経節, 足神経系は2神経節からなる.血管は発達が悪いが, 血とうはよく発達している.排出孔は直接に外套腔の奥に開き, 尿管はない.
著者
奥谷 喬司 中村 征夫 関 勝則
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.237-239, 1995-09-30 (Released:2018-01-31)
参考文献数
4

著者の一人関は1991年夏, また, 中村は1995年5月, 根室海峡羅臼沖で卵塊を腕に抱えて遊泳しているイカを撮影した。これまでタコ類の卵保護や保育は知られていたが, イカ類の卵保育はいまだかって一例の報告もない。今回標本を直接研究することはできなかったが, 開眼類イカの卵保育行動の世界最初の発見となるので速報する。
著者
堀 成夫 福田 宏
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.175-190, 1999-12-31 (Released:2018-01-31)
参考文献数
21

During detailed examination of unidentified specimens of the Pyramidellidae in the Yamaguchi Museum and the Hagi City Museum, nine hitherto undescribed species were recognized, and here described as new : Ondina elachisinoides, Chrysallida stupa, Trabecula truncatelliformis, Egilina kotoeae, Eulimella toshikazui, Turbonilla kuraenohamana, T. gloriamishimana, Pyrgiscus yoshikoae and Yoshishigea choshuana. A new genus, Yoshishigea is also elected.
著者
酒井 治己 栗原 善宏 古内 友樹 岡田 あゆみ 竹内 基 柿野 亘 須田 友輔 後藤 晃
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.47-66, 2022-08-26 (Released:2022-08-26)
参考文献数
21

カムチャツカ・サハリン・千島・日本列島地域から記載されたカワシンジュガイ属 Margaritifera 担名タクサのタイプ標本を調査した結果,この地域を通して2種の存在が確認され,それぞれカワシンジュガイMargaritifera laevis(Haas, 1910)及びコガタカワシンジュガイM. kurilensis(Zatravkin & Starobogatov, 1984)に同定された。前種は前閉殻筋痕上縁が丸く擬主歯が比較的小さいこと,一方後種は前閉殻筋痕上縁が角張っており擬主歯が比較的大きく頑丈なことによって特徴づけられる。コガタカワシンジュガイにしばしば適用されてきたM. middendorffi (Rosén, 1926)は M. laevisの新参異名であると判断された。また,M. middendorffi の新参異名とされてきた M. togakushiensis Kondo & Kobayashi, 2005 は,M. kurilensis の新参異名と判断された。
著者
木村 妙子 関口 秀夫
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.307-318, 1994-12-31 (Released:2018-01-31)

ホトトギスガイMusculista senhousiaとコウロエンカワヒバリガイLimnoperna fortunei kikuchiiは, 静岡県西部に位置する浜名湖の奥部の潮間帯に優占するイガイ類である。筆者らはこれらの幼生を室内飼育し, 得られた試料をもとに2種のD型幼生から初期稚貝までの外部形態および交装を比較した。試料はSEMと光学顕微鏡を用いて観察した。その結果, D型幼生, 殻頂期幼生および初期稚貝のすべての成長段階で2種の間には, 形態に相違が認められた。D型幼生ではコウロエンカワヒバリガイの方がホトトギスガイよりも殻長が大きい傾向があったが, 計測値は重複しているので, D型幼生の種を殻長のみから同定することは困難である。しかし, D型幼生の交歯は, ホトトギスガイが14-15個であるのに対し, コウロエンカワヒバリガイでは9-11個と差異がみられた。殻頂期幼生では, ホトトギスガイの中央の交歯は小さくなり, 第1靱帯が交歯中央やや後方に形成される。殻の輪郭は卵型で, 殻頂は中央に位置する。これに対し, コウロエンカワヒバリガイでは, 殻頂期幼生の交歯は同大であり, 第1靱帯は交歯後端に形成される。殻の輪郭はほぼ三角形で, 殻頂は前方に偏る。初期稚貝では, ホトトギスガイは3種類の側歯を持つのに対し, コウロエンカワヒバリガイは側歯類を欠く。殻頂の位置は, コウロエンカワヒバリガイの方がホトトギスガイよりも前方に偏る。
著者
上島 励
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.161-173, 1995-09-30 (Released:2018-01-31)
参考文献数
12

"Succinea" lyrata Gould, 1859 and "S". horticola Reinhardt, 1877 are common succineid species that are widely distributed in Japan. Recently, these succineids have been assigned to the genus Neosuccinea, although they lack vaginal appendix which is diagnostic feature of Neosuccinea. Shinagawa & Yano (1983) pointed out similarities in male genitalia between these problematic succineids and N. kofui which has prominent vaginal appendix and suggested their close relationships. Since the current assignment of these problematic succineids to Neosuccinea is dubious, re-examination of their taxonomic relationships with N. kofui has been needed. However, taxonomic position of these succineids remained unsolved, because N. kofui could not been rediscovered after the original description. The present paper reports a rediscovery of N. kofui after 24 years absence in formal records. Although N. kofui had been recorded from no other place than the type locality, Kofu, Yamanashi Pref., the present study revealed that this species is widely distributed in the Kanto district. N. kofui seems to have been misidentified as "S". horticola in previous records, due to their close conchological similarities. The genital morphologies of "S". lyrata, "S". horticola and N. kofui are redescribed to clarify their taxonomic relationships. By comparing the genitalia of "S". lyrata and "S". horticola, I found no significant differences that warrant taxonomic separation. Since they are identical in conchological and anatomical traits, especially in their unique internal structure of penis, "S". horticola is synonymized with "S". lyrata. On the other hand, "S". lyrata is highly divergent from N. kofui not only in the absence of vaginal appendix, but also in internal morphology of penial complex, mode of insertion of vas deferens to epiphallus, internal structure of lower oviduct, morphology of vas deferens and unique connection between vagina and retractor muscle. Since penial complex of N. kofui and "S". lyrata are substantially different in their internal structures, their similarity in male genitalia is now proved to be superficial resemblance and hence their close relationships are not supported. Considering taxonomic significance of vaginal appendix together with many structural differences in various genital organs, the current taxonomy of "S". lyrata placed in Neosuccinea was rejected. Alternative generic assignment of "S". lyrata to Novisuccinea was also rejected. The current results show that "S". lyrata belongs to the genus Succinea (sensu lato).