著者
永田 昌明 渡辺 太郎 塚田 元
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.89-95, 2008-01-15
参考文献数
10

統計的機械翻訳」(statistical machine translation)は,互いに翻訳になっている2つの言語の文の対から翻訳規則や対訳辞書を自動的に学習し,言語翻訳を実現する技術である.この技術は過去10年間に大きく進歩し,アラビア語と英語のような語順が比較的近い言語対では,従来の翻訳手法より精度が高いと言われている.本解説では,上下2編に分けて,近年の自然言語処理で最もホットな話題である統計的機械翻訳の技術概要,および,評価型ワークショップを中心とした最先端の研究動向を報告する.
著者
堀 貴明 塚田 元
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.1020-1026, 2004-10-15
参考文献数
6
被引用文献数
1

音声認識技術の進展に伴い,数万単語以上の語彙を扱う音声認識が汎用のパーソナルコンピュータ上で動作するようになった.この背景には,これまでに培われた音声認識アルゴリズムの効率化に関する数々の研究成果がある.しかし,その一方で音声認識のアルゴリズムは複雑化し,システムの保守・拡張が困難になる傾向があった.近年,このような従来手法に代わるアプローチとして,重み付き有限状態トランスデューサ(Weighted Finite-State Transducer: WFST)による音声認識が注目を集めている.WFSTは確固たる理論に支えら,拡張性の高いシステムの構築と従来手法を凌ぐ高速な音声認識を実現する.本稿では,WFSTによる音声認識を紹介し,従来の音声認識との相違点を明らかにする.さらに,WFSTによってもたらされる音声認識の今後の展開について述べる.
著者
塚田 元 永田 昌明 隅田 英一郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.194-202, 2008-02-15

近年,統計的機械翻訳研究コミュニティが中心となって,コンテスト形式の評価型ワークショップが開かれている.この評価型ワークショップが,(上)統計的機械翻訳入門で紹介した統計翻訳技術の急速な進歩を後押しする立役者となった.本稿では,代表的な評価型ワークショップを紹介するとともに,これを背景に進展した自動評価などの技術動向を解説する.また,これらのワークショップに日本から参加している研究機関の翻訳システムを紹介することで,日本における統計的機械翻訳研究の動向も合わせて報告する.
著者
土屋 宣明 吉田 清志 臼井 冨太 塚田 元尚
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.429-434, 2004-09-15
参考文献数
15
被引用文献数
3 7

最近レタス根腐病が,日本におけるレタスの主産地である長野県において深刻な問題になっている.一方レタス根腐病に抵抗性を有し,夏における栽培に適した玉レタス品種は存在しなかった.我々はレタス根腐病レース1に抵抗性を有し,夏の栽培に適した玉レタス品種'シナノホープ'を育成した.'シナノホープ'は晩抽性を有する玉レタス選抜系統とレタス根腐病レース1に抵抗性を示す玉レタス育成系統の交雑後代から育成された.'シナノホープ'のレタス根腐病レース1に対する抵抗性は父本と同程度であり,長野県内産地で盛夏期に栽培されたレタス品種に比べ高かった.'シナノホープ'の葉色は緑色で,葉の光沢は多かった.黄緑の切れ込みはやや浅く,黄緑の波打ちはやや少であった.収極球の外観品質は,優れる〜かなり優れるであった.また'パトリオット'と同程度の早晩性を示し,抽だい性も盛夏期栽培に必要な晩抽性を具備していた.
著者
林 克彦 塚田 元 須藤 克仁 Kevin Duh 山本 誠一
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2010-NL-196, no.1, pp.1-7, 2010-05-20

階層句機械翻訳では言語間の大局的な単語並び換わりを同期文脈自由文法によって表現することができるが,日英のような文法の大きく異なる言語間の翻訳ではその単語並び換わりを評価するためのモデルが充分であるとは言えない.本稿では階層句機械翻訳におけるこの問題を解決するために単語並び換えモデルを特徴量に導入することを提案する.提案手法では同期文脈自由文法の各ルールに並び換えされた原言語の文字列を追加することで,探索中の単語並び換えモデルの計算を効率良く行っている.日英旅行会話データを用いた実験では従来手法に比べ,提案手法の方がより適切な単語並びの翻訳結果を選択することができ,より高い翻訳精度を達成することができた.