著者
大内 一成 土井 美和子
雑誌
研究報告 ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-8, 2011-05-20

社会の高齢化に伴い,高齢者・障がい者など社会生活弱者の家庭内の生活状態を見守ることの重要性が増してきている.我々は,環境側へ機器を設置せず,携帯電話などの小型情報端末にすでに搭載されている加速度センサとマイクのみを活用した生活状態見守りを検討している.小型端末上での処理を念頭に置き,計算量を抑えた認識手法として,まず加速度センサを活用してユーザの動作状態を大まかに推定し,推定した状態に応じてマイクを起動して環境音の分析を行う方式を提案する.胸ポケットに格納した試作デバイスと PC の構成でリアルタイムに生活行動を認識する 「ActivityAnalyzer」 を開発し,実際の家庭生活のデータを収集して評価した結果,加速度センサのみで歩行,作業,安静の 3 状態を概ね 95% 以上の精度で分類でき,環境音の分析により,「歯磨き」,「電気シェーバーによる髭剃り」,「ドライヤーの使用」,「トイレ水洗/手洗い」,「掃除機がけ」,「皿洗い」,「アイロンがけ」の各作業を 75.8% の精度で,本人の学習データを用いた場合は 85.9% の精度で分類できた.In aging societies, such as that of Japan, there is a growing need to watch over elderly people. We propose a low-throughput recognition technique for in-home context awareness using only off-the-shelf sensors, namely, an accelerometer and a microphone, which are commonly applied in mobile phones. The proposed technique firstly estimates a user's movement condition roughly by acceleration sensing. Secondly, it classifies the working condition in detail by acoustic sensing based on the estimated condition. As a result of our experiment, three movement conditions are classified with more than 95% accuracy by acceleration sensing: quiet, walking, and working. Moreover, it classified working into brushing teeth, shaving, drying the hair with a blower, flushing the toilet, vacuuming, washing the dishes, and ironing with 75.8% accuracy by acoustic sensing and improved the accuracy to 85.9% by training subject's own data.
著者
大内 一成 小林 大祐 中洲 俊信 青木 義満
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.12, pp.941-951, 2017-12-01

近年,スポーツ界ではICTを活用したトレーニング,戦術分析の導入が進んでおり,画像認識技術を用いた試みも行われているが,ラグビーでは試合に出場する選手の数が1チーム15人と多く,接触/密集プレーが頻繁に発生するため,画像による分析は技術的にハードルが高く,これまで積極的に取り組まれていない.筆者らは,特徴量設計方式によるボール検出/追跡と,ディープラーニング方式による選手検出/追跡を行うハイブリッド型映像解析により,一つのカメラ映像からボール/選手の移動軌跡を精度良く二次元フィールド上にマッピングする技術を開発した.また,ディープラーニングによる自動的なプレー分類を行い,これまで人手で行われていた主要プレーのタグ付け作業の自動化を検討した.本技術は,ラグビーに限らず様々なスポーツへの活用が可能である.
著者
大内一成 鈴木 琢治 森屋 彰久 亀山 研一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ユビキタスコンピューティングシステム研究会 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.14, pp.29-36, 2007
被引用文献数
2

生活習慣病,メタボリック症候群などは,生活習慣が主な発症原因とされ,それらの予防のためには,食事,運動などの日頃の生活習慣管理が重要である.一方,不眠症で悩む人が多い現代社会においては,睡眠状態の管理も健康管理の上で非常に重要となってきている.そこで我々は,昼も夜もユーザの状況をリアルタイムに認識し,ユーザの生活習慣管理,快適な生活環境維持をサポートするウェアラブル機器を用いたヘルスケアサービスについて検討している.ユーザの脈波,加速度などの生体情報を日常生活において連続的に計測する腕時計型ウェアラブル生体センサと,携帯電話などの携帯情報端末で構成される手軽なシステムを想定している.実サービスを目指すに当たり,食事や運動などの生活習慣管理をタイムリーなアドバイスによりサポートするウェアラブル健康管理システム,脈波間隔の周波数解析から自宅でも手軽に睡眠状態をチェックできるウェアラブル睡眠管理システムを開発し,それぞれのシーンにおいてユーザの状況認識が可能であることを確認した.
著者
森屋 彰久 鈴木 琢治 大内 一成 亀山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.747, pp.71-75, 2005-03-18

現代人の日常生活において、起床時の不快感や定時刻の起床が困難な場合があり、快適な目覚めの提供という不眠改善のアプローチも必要である。また、REM睡眠時の起床が不快感を伴いにくいという経験的知見がある。本研究では、光電脈波センサから得られる心拍変動の周波数解析により得られる自律神経指標等と加速度センサから得られた情報を利用し、リアルタイムに睡眠中の被験者のREM睡眠を検出し加速度情報を考慮してアラームを鳴らす方法を紹介する。また、被験者の主観評価と共に、今回のアルゴリズムの適正を評価した。