著者
久恒 靖人 松下 恒久 野田 顕義 天神 和美 佐治 攻 榎本 武治 民上 真也 福永 哲 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.875-878, 2015-11-30 (Released:2016-03-02)
参考文献数
8

性的嗜好により経肛門的異物挿入で直腸穿孔となった症例を経験した。症例1,64歳男性。以前よりホースを肛門に挿入する自慰行為を行っていた。受傷当日も,ホースを使用した自慰行為を施行していたが,行為後より腹痛を認め,経過観察するも症状悪化したため近医へ救急搬送された。近医で処置困難と診断され当院へ紹介となった。精査にて直腸穿孔を認め,ホースによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。症例2,75歳男性。友人に肛門へソーセージを挿入された。その後,ソーセージの排泄は認めず,腹痛増悪したため近医を受診された。イレウスと診断され,当院紹介受診。精査にてソーセージによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。性的行為による経肛門的直腸異物挿入での直腸穿孔はまれであるため若干の文献的考察を加え報告する。
著者
久恒 靖人 松下 恒久 野田 顕義 天神 和美 佐治 攻 榎本 武治 民上 真也 福永 哲 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.875-878, 2015

性的嗜好により経肛門的異物挿入で直腸穿孔となった症例を経験した。症例1,64歳男性。以前よりホースを肛門に挿入する自慰行為を行っていた。受傷当日も,ホースを使用した自慰行為を施行していたが,行為後より腹痛を認め,経過観察するも症状悪化したため近医へ救急搬送された。近医で処置困難と診断され当院へ紹介となった。精査にて直腸穿孔を認め,ホースによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。症例2,75歳男性。友人に肛門へソーセージを挿入された。その後,ソーセージの排泄は認めず,腹痛増悪したため近医を受診された。イレウスと診断され,当院紹介受診。精査にてソーセージによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。性的行為による経肛門的直腸異物挿入での直腸穿孔はまれであるため若干の文献的考察を加え報告する。
著者
勝又 健太 榎本 武治 大坪 毅人 樋渡 正樹 塚本 芳嗣 亀井 奈津子 嶋田 仁 小林 慎二郎 芦川 和広 民上 真也
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.481-486, 2020-06-01 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

症例は84歳の男性で,食後の腹痛を主訴に当院を受診した.既往として6年前に胃癌で幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建,1年前に胆囊結石,総胆管結石,傍乳頭十二指腸憩室症候群で胆囊摘出術,胆管十二指腸吻合術を施行されていた.腹部MRIで輸入脚内に低信号の構造物を認め,結石の嵌頓による輸入脚症候群と診断し,緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹,Treitz靱帯より5 cm肛門側の空腸に結石を触知した.空腸の一部に切開を加え摘出,単純縫合で閉鎖した.術後23日目に軽快退院した.摘出された結石はステアリン酸カルシウムが主成分であった.ステアリン酸カルシウムは胆囊結石のうち,ビリルビンカルシウム石に比較的多く含有されるほか,服用薬で酸化マグネシウムに含有されていた.本例は胃石を核として周囲にステアリン酸カルシウムが沈着したものと考えられた.胃石由来のステアリン酸カルシウム腸石による輸入脚症候群は非常にまれな疾患であるので報告する.
著者
清川 博史 清木 元治 伊東 文生 安田 宏 及川 律子 石井 俊哉 山本 博幸 月川 賢 大坪 毅人 峰岸 知子 越川 直彦
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.139-150, 2015

<b>【背景】</b>大腸癌の診断および術後管理において腫瘍マーカーの臨床的意義は大きい。ラミニン<i>γ</i>2単鎖(Ln-<i>γ</i>2)の発現は様々な腫瘍浸潤先進部において著しく亢進することが報告されており,これはLn-<i>γ</i>2が浸潤性の腫瘍マーカーとして有用である可能性を強く示唆している。我々は,Ln-<i>γ</i>2を選択的に認識するモノクローナル抗体を用いてLn-<i>γ</i>2の定量ELISA法を開発した。<br/><b>【方法】</b>定量ELISA法により78症例(健常者51例,良性疾患8例,大腸癌19例)における血清中のLn-<i>γ</i>2の定量を行った。同時に,化学発光免疫測定法 (chemiluminescent immunoassay: CLIA) を用いてCarcinoembryonic antigen (CEA) とCarbohydrate antigen 19-9 (CA19-9) を測定し診断能について比較検討を行った。<br/><b>【結果】</b>Ln-<i>γ</i>2の中央値は,健常者241.9 pg/mL,良性疾患138.8 pg/mLであり,一方大腸癌においては323.0 pg/mLと非癌症例より有意に高値であった(<i>p</i> = 0.0134)。大腸癌症例と非癌症例とを区別するLn-<i>γ</i>2のカットオフ値を315.8 pg/mLとすると大腸癌症例の57.9%に陽性であった。Ln-<i>γ</i>2とCEA併用における大腸癌陽性率は78.9%であり,CEAとCA19-9併用での陽性率57.9%よりも高率であった。大腸癌の各病期における陽性率では,いずれのマーカーにおいても進行期は高率であったが,CEA,CA19-9におけるStage I/IIの陽性率は低率であった。一方,Ln-<i>γ</i>2はStage I/IIにおいて陽性率50.0%とより高率であった。<br/><b>【結語】</b>血清Ln-<i>γ</i>2は大腸癌診断において既存の腫瘍マーカーを補助可能なバイオマーカーとなる可能性がある。
著者
小林 慎二郎 瀬上 航平 三浦 和裕 四万村 司 櫻井 丈 小泉 哲 牧角 良二 月川 賢 宮島 伸宜 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.595-598, 2011-05-31 (Released:2011-07-12)
参考文献数
21
被引用文献数
5

膿瘍形成性虫垂炎に対する緊急手術では拡大手術移行の可能性や合併症発生率が高い。当院では2008年から膿瘍形成性虫垂炎に対して保存的治療で膿瘍を沈静化させ手術希望があれば約3ヵ月後に虫垂切除を行うinterval appendectomy(以下,IA)を行っている。膿瘍形成性虫垂炎32例について検討した。32例中29例(91%)が平均17.2日の入院期間で保存的治療に成功した。29例のうち,手術希望のあった16例に対してIAを施行した。16例のうち14例(87.5%)が腹腔鏡下虫垂切除術を完遂した。手術症例16例における平均手術時間は96分で,手術時平均入院期間は9.4日であった。また手術症例において合併症の発生は1例も認めなかった。総入院日数が長いことが課題であるが,拡大手術移行が少なく,合併症もない本治療方針は膿瘍形成性虫垂炎に対して有効であると考えられた。
著者
内田 数海 高崎 健 次田 正 山本 雅一 大坪 毅人 秋山 和宏 片桐 聡
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.1445-1448, 1997-07-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
21

電解酸性水による手洗い消毒の有効性を判定する目的で,電解酸性水,手洗い用ポビドンヨード液,滅菌蒸留水でそれぞれ手洗いを施行し,手洗い前,手洗い直後,手術終了時について経時的に手指上の細菌を比較検討した.その結果,電解酸性水には手洗い用ポビドンヨード液とほぼ同程度の消毒効果が認められ,術前手洗いに十分利用可能であると考えられた.
著者
西尾 乾司 小林 慎二郎 櫻井 丈 牧角 良二 月川 賢 大坪 毅人
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.593-597, 2010 (Released:2011-08-25)
参考文献数
11

症例は77歳,男性.既往歴に鼠径ヘルニアで手術歴があった.腹痛を主訴に当院の消化器内科を受診し,イレウスの診断で入院となった.入院後イレウス管を挿入され腸管の減圧状態は良好であったが,イレウス管挿入から5日目に突然の腹痛が出現した.CT検査を施行したところイレウス管の先進部を中心とした小腸に同心円状の多層構造が認められ,小腸内に腸間膜脂肪および腸管が巻き込まれていた.腸重積と診断し,陥入腸管の循環障害が疑われたため手術を施行した.口側腸管が肛門側腸管に順行性に約100cmの長さにわたって陥入していた.また重積部位から1m以上肛門側小腸に策状物による内ヘルニアが生じており,これがイレウスの原因と考えられた.イレウス管が原因となった腸重積症のこれまでの本邦報告例を集計し,文献的考察を加えて報告する.