- 著者
-
小山 照幸
- 出版者
- 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
- 雑誌
- 聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.4, pp.151-161, 2023 (Released:2023-05-16)
- 参考文献数
- 31
目的:心臓リハビリテーション(以下,心リハ)は近年,急速に普及が進んでいるが,最近,流行している新型コロナウイルス感染症により,通常の診療に影響が出ている。今回,保険診療の面から心リハ治療のこれまでの経過と現状を調査した。調査方法:厚生労働省が公表している社会医療診療行為別統計の,平成21年から令和3年までの「心大血管疾患リハ料」の算定回数,点数を調べ,年次変化および年齢階級別割合・年次変化,令和元年から令和3年の入院外・入院別年次変化を検討した。結果:算定回数は,平成21年99,865回,令和元年791,226回で,10年間で約8倍になった。しかし令和2年は前年より18%減少したが,令和3年は令和元年の95.7%まで回復していた。算定点数は,平成21年21,210,079点,令和元年186,409,625点で,10年間で約9倍に増加していたが,令和2年は前年より16%減少していた。令和3年は令和元年の97.2%まで回復していた。年齢階級別では,70歳以上が78%,85歳以上が32%を占めており,80歳代前半の増加率が最も多かった。令和2年には主に入院外の45歳から89歳にかけて減少しており,中でも70歳代後半の減少が著しかった。結論:保険診療上,心大血管疾患リハ料算定回数,点数は,令和元年までは増加していたが,令和2年に減少しており,新型コロナウイルス感染症の流行が影響したと考えられた。