著者
大平 充宣 石原 昭彦
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.165-171, 2002-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
28
著者
大平 充宣
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

3週齢のWistar系雄ラットをコントロール、beta-GPA(beta-guanidinopropionicacid)、及びクレアチンの3群に分け、それぞれ粉末飼料、1%濃度でbeta-GPA又はクレアチンを混入した餌をpair feedingした。約9週間の飼育後、各実験を実施した。その結果、特別なトレーニングは実施せず、しかも、安静時のアデノシン・3・リン酸(ATP)及びクレアチンリン酸(PCr)含有は低下したにもかかわらず、beta-GPA投与により水泳及びトレッドミル走運動の持久力が改善された。しかし、トレッドミル走で測つた最大酸素摂取量(VO_2max)は、他群と変わらなかった。もともと持久性の高いヒラメ筋では変わらなかったが、速筋である長指伸筋の持久性は大きく向上した。しかも、収縮及び弛緩時間が延長し、遅筋化が顕著であった。筋の解糖系酵素活性は正常以下であったが、ミトコンドリア酵素活性は顕著に高まっていた。筋線維タイプも遅筋化していた。しかし、血中ヘモグロビン濃度などはむしろ低い傾向があり、しかも心容積は有意に小さいにもかかわらず、持久力が向上したのは、このように筋の有酸素性代謝能の改善や遅筋化に大きく影響されていることが示唆される。筋中グリコーゲン含有量の増加も認められたが、運動及び食餌療法によりグリコーゲンレベルを一定にしても、持久性は変わらず、グリコーゲン量の影響ではないこともわかった。VO_2maxが変わらなかったのは、心容積の縮小などにより示されるように、心拍出量や酵素運搬能の改善が起きなかったためであると思われる。クレアチンの長期投与は、運動能力には顕著な影響を及ぼさなかったが、筋の速筋化、ミトコンドリア酵素活性の抑制、グリコーゲン量の低下などが起き、beta-GPA投与とほぼ逆の効果が得られた。
著者
大石 康晴 福岡 義之 石原 昭彦 大平 充宣 谷口 紘八 松元 尚大
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.193-200, 2001-04-01
参考文献数
29
被引用文献数
3

本研究は, ウィスター系成熟雄ラットを用いて, 左脚骨格筋に直接熱ストレスを負荷し, 筋温を42℃で1時間維持した後の回復期におけるHSP60, HSP72, およびHSC73発現量の経時的変化を検討した.その結果, 遅筋のヒラメ筋では熱ストレス後の回復0~4時間までの間に, 分析したすべての熱ショックタンパク質に有意な増加がみられた.一方, 足底筋では, 熱ストレス終了直後にHSP60の一過性の増加がみられたものの, HSP72とHSC73の発現量にはまったく変化は認められなかった.このことは, 熱ストレスに対するヒラメ筋と足底筋の応答の違いを示すものであり, ヒラメ筋は足底筋と比較して熱ストレスに対して迅速に反応する能力を有することが示唆された.
著者
大平 充宣 田畑 泉
出版者
Japan Society of Physiological Anthropology
雑誌
The Annals of physiological anthropology (ISSN:02878429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.319-323, 1992-05-01 (Released:2008-02-08)
参考文献数
30
被引用文献数
3 4

Blood lactate level begins to increase at a certain work load or oxygen consumption which is called as anaerobic threshold (AT). However, numerous studies showed that anaerobic glycolysis is not the cause of the enhanced accumulation of blood lactate during exercise. Increased lactate production is seen even in fully aerobic muscles. Some studies suggest that elevation of lactate is due to a temporary imbalance between the rates of pyruvate formation by aerobic glycolysis and pyruvate utilization in the Krebs cycle. These results clearly suggest
著者
柴原 拓哉 大場 友裕 石原 達朗 田中 剛貴 大平 充宣 シバハラ タクヤ オオバ トモヒロ イシハラ タツロウ タナカ ゴウキ オオヒラ ヨシノブ Shibahara Takuya Oba Tomohiro Ishihara Tatsuro Tanaka Goki Ohira Yoshinobu
出版者
同志社大学スポーツ健康科学会
雑誌
同志社スポーツ健康科学 (ISSN:18834132)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.52-66, 2015-06

解説(Technical review)最大酸素消費量 (VO2 max) レベルは,有酸素性運動能力を示す良い指標で,その測定やそれを高めるためのトレーニングが実施されている.エリート選手におけるVO2 maxは,非鍛錬者よりも高いのは事実だが,エリート長距離走選手における値は,必ずしも彼らのベストレコードと正の相関はない.ランニングエコノミーやvelocity at VO2 maxも重要な持久性運動能力の指標である.VO2 maxは,心拍出量と筋における酸素消費量に影響されるので,各種トレーニングに対する心臓の形態的および機能的適応や骨格筋におけるミトコンドリアエネルギー代謝の適応パターン等を追求し,持久性運動パフォーマンスにおけるVO2 maxの貢献等に考察を加えてみた.It is well-known that the level of maximal oxygen consumption (VO2 max) is one of the good parameters, which indicate the aerobic athletic performance. Although it is true that the levels of VO2 max in elite athletes are clearly higher than those of non-athletes, some studies show that there is no correlation between the level of VO2 max and performance of distance running in elite runners. Running economy and velocity at VO2 max are other important parameters for endurance capacity. Since the level of VO2 max is influenced by the oxygen transport and utilization capacity, the morphological and functional adaptation of heart and skeletal muscles to various exercise trainings were reviewed in order to discuss the contribution of VO2 max to endurance exercise capacity.