著者
藤林 真美 永友 文子 石原 昭彦
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6, 2015-10-08 (Released:2015-10-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1

生活習慣病への罹患は動脈硬化を促し,健康寿命に影響を及ぼすことは周知である。運動は動脈硬化の予防・改善に有効であるが,運動習慣のある成人男性は36.1%,成人女性は28.2%にとどまっている。近年,植物に由来する芳香成分(精油)を用いて鎮静や癒しを求めるアロマテラピーが人気を博している。本研究では,「運動時に精油を芳香させることで心身が鎮静して,運動を楽に行える」と仮説を立てて検証を行った。10名の健康な中年女性(年齢:53.6±8.0,BMI:24.5±3.2)を対象に,自転車を用いた有酸素運動を20分間行わせた。運動前と運動中に心拍数および自覚的運動強度を測定した。運動中にグレープフルーツ精油(学名:Citrus paradisi)を芳香する精油試行と芳香を行わない対照試行の間でクロスオーバー試験を行った。その結果,精油試行では対照試行と比較して自覚的運動強度の変化率が有意に低下した。本研究から,精油芳香によって「運動を楽に行うこと」が期待でき,肥満の予防・改善を目指した運動処方に応用できると結論した。
著者
大平 充宣 石原 昭彦
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.165-171, 2002-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
28
著者
石原 昭彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

高齢期のヒトおよび実験動物(マウスおよびラット)を用いて筋萎縮および骨粗しょう症を抑制するための方法を検討した。30歳代(17名)、60歳代(15名)、70歳代(12名)、80歳代(9名)の女性を被験者として、最大努力での膝伸展筋力と踵骨の骨密度を測定した。さらに、60-80歳代の被験者には、最大努力の50%(最初の2ヵ月間)、70%(3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)、100%(さらに3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)で膝伸展筋力を発揮する運動を行った。30歳代に対して60-80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。さらに、60-70歳代に対して80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。最大努力の50%と70%の運動では、年齢に関係なく最大努力での膝伸展筋力に変化はみられなかった。一方、最大努力の100%の運動では、60歳代と70歳代において、最大努力での膝伸展筋力に有意な増大認められた。骨密度については、年齢および運動強度に関係なく変化はみられなかった。以上の結果より、60-70歳代では、強度の高い運動を継続することにより低下した筋力を改善できる可能性があること、一方、骨密度については、運動に関係なく改善がみられないことが明らかになった。高齢者でも日ごろより強度の高い運動を継続することにより比較的高い筋力を維持できることから、そのような運動プログラムを作成することが今後の課題となった。骨密度については、運動の影響を受けなかったことより、若いときから骨密度を高めておくことが重要であると考えられる。一方、実験動物を用いた研究では、運動量よりも運動強度に依存して高齢期の筋萎縮および骨粗鬆症を抑制できることが明らかになった。したがって、高齢期の骨粗鬆症および萎縮の抑制には強度の高い運動を継続することが必要であると結論された。
著者
大石 康晴 福岡 義之 石原 昭彦 大平 充宣 谷口 紘八 松元 尚大
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.193-200, 2001-04-01
参考文献数
29
被引用文献数
3

本研究は, ウィスター系成熟雄ラットを用いて, 左脚骨格筋に直接熱ストレスを負荷し, 筋温を42℃で1時間維持した後の回復期におけるHSP60, HSP72, およびHSC73発現量の経時的変化を検討した.その結果, 遅筋のヒラメ筋では熱ストレス後の回復0~4時間までの間に, 分析したすべての熱ショックタンパク質に有意な増加がみられた.一方, 足底筋では, 熱ストレス終了直後にHSP60の一過性の増加がみられたものの, HSP72とHSC73の発現量にはまったく変化は認められなかった.このことは, 熱ストレスに対するヒラメ筋と足底筋の応答の違いを示すものであり, ヒラメ筋は足底筋と比較して熱ストレスに対して迅速に反応する能力を有することが示唆された.
著者
近藤 浩代 藤野 英己 石原 昭彦
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

糖尿病合併症は微小血管障害に起因する臓器の機能不全による. また, 微小血管において慢性炎症を引き起こし,毛細血管を退行させる. 一方, 運動による血流増加は毛細血管の退行を抑制させることができる. また, 経皮的な二酸化炭素の吸収はボーア効果による血流促進効果をもつことが報告されている. そこで本研究では二酸化炭素経皮吸収による筋毛細血管退行の予防効果を検証した.さらに超音波照射による炎症抑制や代謝促進効果についても検証する計画である.平成29年度は二酸化炭素経皮吸収による糖尿病性毛細血管退行の予防効果について検証した.慢性的な高血糖曝露は骨格筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性の低下や毛細血管の退行を引き起こした.一方,経皮的二酸化炭素吸収は高血糖曝露によるCS活性低下や毛細血管退行を抑制し,血糖の上昇を抑制した.さらに骨格筋の代謝や血管新生に関するeNOS, PGC-1α, COX Ⅳ, VEGFタンパク質発現量を増加させ,血管新生抑制因子(TSP-1)の低下が認められた.これらの結果から経皮的二酸化炭素吸収は骨格筋の代謝や血管新生に関わる因子を増加させ,血管新生抑制因子を低下させることで高血糖曝露による骨格筋の酸化的リン酸化機能低下や毛細血管退行を抑制することが明らかとなった.また,超音波照射による効果を検証するためにC2C12筋芽細胞を使用して予備検討を実施した.C2C12筋芽細胞の超音波照射ではインテグリン/focal adhesion kinase (FAK)のリン酸化の増加が観察され,P38MAPKリン酸化が減少させ, 炎症モデルにおいてTNFaの発現を超音波照射で軽減させる効果を観察した.
著者
石原 昭彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

高齢者を用いて最大努力での大腿屈曲及び伸展筋力、大腿部の血流量、酸化ストレス度を測定した。さらに最大努力による筋運動の効果を検討した。加齢に伴い屈曲及び伸展筋力が低下した。筋力と血流量の間には高い相関が認められた。60歳代と70歳代では、運動前と比較して運動後に屈曲及び伸展筋力、血流量が増大した。60歳代では、運動により酸化ストレス度が減少した。以上の結果より、年齢が若いほど筋運動の効果が顕著に認められること、筋力の増大には血流量の増大が関係していること、運動により活性酸素の産生が抑制されることが明らかになった。