著者
毛利 るみこ 大庭 一郎
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.400-418, 2017-03-01 (Released:2017-06-26)

本稿は,今後の公立図書館長の養成に資するため,館長に求められる能力・知識・技術について全国の公立図書館長を対象に行った質問紙調査の結果に基づいて考察した。本調査によって,館長の業務内容等の実態が明らかになるとともに,職務を遂行する上で,特に「判断・決定能力」等の10項目に対する必要性が高く,知識・技術としては「地域社会に関する知識」等の4項目に対する必要性が高いこと等が明らかとなった。結果を踏まえ,各能力の必要性の違いや館長に求められる図書館に関する専門的能力,知識・技術等について考察した。
著者
水嶋 英治 吉田 右子 白井 哲哉 宇陀 則彦 逸村 裕 大庭 一郎 坂口 哲男 原 淳之 平久江 祐司 松村 敦
出版者
筑波大学
雑誌
21世紀図書館情報専門職養成研究基盤アーカイブ構築:図書館情報専門職の再検討
巻号頁・発行日
pp.1-139, 2017-03-31

筑波大学図書館情報メディア系には、日本の図書館専門職養成の中核的機関の一つであった図書館情報大学(現筑波大学図書館情報メディア系/知識情報・図書館学類)およびその前身校の約一世紀にわたる図書館専門職養成の沿革にかかわる歴史的資料が残されている。本研究ではこれらの資料を対象に、図書館専門職にかかわる包括的なコレクションを整備し、利用のための仕組みを実装した「21世紀図書館情報学アーカイブズ」のプロトタイプモデルを構築した。さらにこのアーカイブを用いて、歴史資料コレクションのアーカイビングにかかわる技術的・社会的課題について総合的に検討するとともに、20世紀の日本の図書館界を俯瞰的に把握し館種を超えたマクロな視座から、図書館専門職の歴史的再検討を試みた。
著者
大庭 一郎
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.184-197, 2002-11-01

日本図書館協会の「専門性の確立と強化を目指す研修事業検討ワーキンググループ」と図書館問題研究会の「職員問題委員会」は,1998年以降,相次いで職務区分表の作成に取り組み,2000年に3点の職務区分表が発表された。本稿の目的は,公共図書館用の職務区分表(2点)を対象として,職務区分表の作成過程と概要,職務区分表における貸出業務の位置づけ,職務区分表の役割を明らかにすることである。その結果,両団体の職務区分表作成への取り組みは評価できるが,専門的職務と非専門的職務の区分について,図書館界としての理論的・実践的な共通理解が十分得られていないこと,が明らかになった。
著者
水嶋 英治 吉田 右子 宇陀 則彦 白井 哲哉 逸村 裕 大庭 一郎 阪口 哲男 原 淳之 平久江 祐司 松村 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究はアーカイブ技術を導入し「21世紀図書館情報専門職養成研究基盤アーカイブ」を構築するとともに日本の図書館専門職養成史を再検討することを目的とする。筑波大学図書館情報メディア系の前身組織関係資料の解明に向け、図書館情報専門職教育関係史料に関して包括的研究を実施した。本研究で遂行した研究課題は(1)文献資料・実物資料の精査と電子化のための選別・整理および文献資料補足のための聞き取り調査(2)現物資料の整理・展示および組織化、文献資料の部分的電子化、多言語インタフェース設計(3)図書館職養成史に関わる現物資料群の同定とアーカイブ活用可能性の検討(4)図書館情報学教育史の批判的再検討である。
著者
大庭 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、経営学の組織論と人的資源管理の理論を活用しながら、日米の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の区分について分析・考察し、日本の公共図書館における新しい職員制度のあり方を解明することである。研究の結果、日米では労務管理と公務員制度に違いがあるが、図書館の専門的職務と非専門的職務を区分し、専門的職務とそれに必要な専門的知識を明確にし、図書館員が専門的職務に専念できる体制を整備する必要があること、が明らかになった。
著者
大庭 一郎
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.111-127, 1998-12-30

「司書および司書補の職務内容」(以下,「職務内容」と略す)は, 1950年9月に, 文部省が文部事務次官通牒(文社施第370号)として通達した文書で, 図書館の専門的職員としての司書と司書補の職務内容を示している。本稿の目的は,「職務内容」の成立過程, 内容, 基本的性格を明らかにすることである。そのため,「職務内容」と関連文献の計39点を収集・分析し, 更に,「職務内容」の成立事情に詳しい3人の方にインタビューを行なった。その結果, 以下のことが明らかになった。1)「職務内容」の主な目的は, (1)新しく養成する司書と司書補の職務内容を明らかにし, 養成内容(教育教科)を明確化すること, (2)図書館に勤務する現職者に対する暫定資格付与の判断基準を提示することである。2)「職務内容」は, 図書館の専門的職員である司書と司書補の職務内容を明示したものである。3)「職務内容」に示された司書補の職務は, 米国の公共図書館における非専門的職務に対応している。4)「職務内容」は, 実質的には職務区分表である。5)司書補は, 専門的職員として位置づけられているが, 専門的職務と非専門的職務を担当するように考えられている。